■2015年行政書士試験・法令記述式第1問

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■行政法(2015−44)【条文知識問題】

Xは、Y県内で開発行為を行うことを計画し、Y県知事に都市計画法に基づく開発許可を申請した。しかし、知事は、この開発行為によりがけ崩れの危険があるなど、同法所定の許可要件を充たさないとして、申請を拒否する処分をした。これを不服としたXは、Y県開発審査会に審査請求をしたが、同審査会も拒否処分を妥当として審査請求を棄却する裁決をした。このため、Xは、申請拒否処分と棄却裁決の両方につき取消訴訟を提起した。このうち、裁決取消訴訟の被告はどこか。また、こうした裁決取消訴訟においては、一般に、どのような主張が許され、こうした原則を何と呼ぶか。40字程度で記述しなさい。

■解説

【難易度】易しい。

1) 「申請を拒否する処分」。都市計画法に基づく開発許可申請が拒否されたということである。

2) 「審査請求を棄却する裁決」。上記拒否処分についての審査請求も認められなかったということである。

3) 「裁決取消訴訟の被告」。ここでは裁決取消訴訟の「被告適格」(行政事件訴訟法11条1項)についての理解が問われる。当該訴訟の被告は、「裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体」(11条1項2号)だから、Y県開発審査会の所属する「Y県」となる。

4) 「こうした裁決取消訴訟―」。ここでは「原処分主義」(10条2項)についての理解が問われる。原処分主義の結果、Xは「裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない」即ち裁決取消訴訟においては、裁決固有の瑕疵のみ主張できる。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)94頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)263頁。

5) 「申請拒否処分と棄却裁決の両方につき取消訴訟を提起」。なおXは、処分の取消訴訟(3条2項)と裁決の取消訴訟(3条3項)の「両者」を提起したが、このような訴えも可能である。両訴訟は共に「関連請求」(13条3、4号)であり、これらの訴えを併合することが認められているからである(16条1項。訴えの客観的併合)。前掲塩野162頁以下、櫻井他302頁以下。

本問については3)、4)をまとめて解答することになる。

解答としては次のようになろうか。
「Y県が被告となり、裁決固有の瑕疵のみ主張が許される。この原則は原処分主義と呼ばれる。」(42文字)