■2016年行政書士試験・民法第6問(債権)

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■責任財産の保全(2016−32)【判例問題】

債権者代位権または詐害行為取消権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、正しいものはどれか。

1) 債権者は、債権の弁済期前であっても、債務者の未登記の権利について登記の申請をすることについて、裁判所の許可を得た場合に限って、代位行使することができる。

2) 債権者は、債務者に属する物権的請求権のような請求権だけでなく、債務者に属する取消権や解除権のような形成権についても代位行使することができる。

3) 債権者は、債務者に属する権利を、債権者自身の権利として行使するのではなく、債務者の代理人として行使することができる。

4) 甲不動産がAからB、AからCに二重に譲渡され、Cが先に登記を備えた場合には、AからCへの甲不動産の譲渡によりAが無資力になったときでも、Bは、AからCへの譲渡を詐害行為として取り消すことはできない。

5) 詐害行為取消権の立証責任に関しては、債務者の悪意と同様に、受益者および転得者側の悪意についても債権者側にある。

■解説

【難易度】やや難しい。民法改正に伴う補足事項がある(外部ブログ)。

1) 誤り。債権者代位権は、対象となる債権の期限到来前は行使できないのが原則であるが(民法423条2項本文)、「保存行為」については行使できる(423条2項但書。裁判上代位行使する必要もない)。本肢のような登記申請や債務者の有する債権につきその消滅時効を中断すること、が保存行為の例である。野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)88頁。

2) 正しい。債務者に一身専属する権利(身分法上の権利等)については債権者代位権の対象にならないが、それ以外の権利は対象となる(423条1項但書)。前掲野村他88頁以下。

3) 誤り。債権者は、債務者の代理人としてではなく、自己固有の資格において、債務者に属する権利を行使する(大判昭和9年5月22日)。つまり債権者は自身の名義で代位行使することになる。

4) 誤り。このような二重譲渡事例において、A→Cへの譲渡行為の取消を認めるのが判例である(最大判昭和36年7月19日)。BがAに対して有する特定物引渡請求権は履行不能になれば損害賠償債権に変わるので、これを債務者の一般財産で担保しなければならないことは、金銭債権と同様だからである。内田貴『民法V』初版(1996年、東大出版会)276頁。

5) 誤り。「債務者」の詐害意思を証明するのは「債権者」だが、「受益者、転得者」の詐害意思は「受益者、転得者」が立証する。つまり受益者、転得者が債権者を害する事実につき善意である旨を立証しなければならないと解されている。前掲野村他107−108頁。