■2016年行政書士試験・民法第5問(物権)

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■根抵当権(2016−31)【条文知識問題】

Aは債権者Bのため、A所有の甲土地に、被担保債権の範囲をA・B間の継続的売買に係る売掛代金債権とし、その極度額を1億円とする根抵当権を設定した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

1) 元本確定前に、A・Bは協議により、被担保債権の範囲にA・B間の金銭消費貸借取引に係る債権を加えることで合意した。A・Bがこの合意を後順位抵当権者であるCに対抗するためには、被担保債権の範囲の変更についてCの承諾が必要である。

2) 元本確定前に、Bが、Aに対して有する継続的売買契約に係る売掛代金債権をDに対して譲渡した場合、Dは、その債権について甲土地に対する根抵当権を行使することはできない。

3) 元本確定前においては、Bは、甲土地に対する根抵当権をAの承諾を得てEに譲り渡すことができる。

4) 元本が確定し、被担保債権額が6000万円となった場合、Aは、Bに対して甲土地に対する根抵当権の極度額1億円を、6000万円と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金および債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額すること を請求できる。

5) 元本が確定し、被担保債権額が1億2000万円となった場合、甲土地について地上権を取得したFは、Bに対して1億円を払い渡して根抵当権の消滅を請求することができる。

■解説

【難易度】難しい。

@ 根抵当権とは、「継続的取引」から生ずる債務(問題文では「売掛代金債務」)を「最大限一定の額」(極度額。「1億円」)まで担保するために不動産に設定された抵当権である。
A この根抵当権を「箱」に例えると、箱の大きさが極度額である。この箱には入口と出口があり、継続的取引から生ずる債権が入口から根抵当権に入り、弁済されれば出口から出ていく。通常の抵当権では、債権が弁済されれば抵当権は消滅するが、根抵当権ではそれがない成立、存続、消滅について附従性がない)。
B そして特定の事由(民法398条の19、398条の20参照)が生ずれば、「元本の確定」が生ずる。これはいわば箱の入口と出口を閉じるものであり、この結果被担保債権の範囲が特定され、根抵当権は一般の抵当権とほぼ同様の状態になる。内田貴『民法V』初版(1996年、東大出版会)431頁参照。

1) 誤り。よってこれが正解である。根抵当権の被担保債権の範囲の変更には「後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない」(398条の4第2項)。箱の入り口の大きさを変えても、第三者には影響しないからである。前掲内田433頁。

2) 正しい。398条の7第1項。債権者が変われば債権のみが箱から出ていくだけだからである(随伴性がない)。前掲内田432頁。

3) 正しい。398条の12第1項。

4) 正しい。398条の21第1項。極度額>被担保債権額の場合における極度額減額請求権である。

オ) 正しい。398条の22第1項。極度額<被担保債権額の場合における根抵当権消滅請求権である。