■2016年行政書士試験・民法第3問(物権)

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■共有(2016−29)【条文知識問題】

A、BおよびCが甲土地を共有し、甲土地上には乙建物が存在している。この場合に関する次のア)−オ)の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア) DがA、BおよびCに無断で甲土地上に乙建物を建てて甲土地を占有使用している場合、Aは、Dに対し、単独で建物の収去および土地の明渡しならびに土地の占拠により生じた損害全額の賠償を求めることができる。

イ) Eが、A、BおよびCが共有する乙建物をAの承諾のもとに賃借して居住し、甲土地を占有使用する場合、BおよびCは、Eに対し当然には乙建物の明渡しを請求することはできない。

ウ) Fが賃借権に基づいて甲土地上に乙建物を建てた場合において、A、BおよびCが甲土地の分割協議を行うとするときは、Fに対して分割協議を行う旨を通知しなければならず、通知をしないときは、A、BおよびCの間でなされた分割の合意 は、Fに対抗することができない。

エ) Aが乙建物を所有し居住している場合において、Aが、BおよびCに対して甲土地の分割請求をしたときは、甲土地をAに単独所有させ、Aが、BおよびCに対して持分に相当する価格の賠償を支払う、いわゆる全面的価額賠償の方法によって分割しなければならない。

オ) A、BおよびCが乙建物を共有する場合において、Aが死亡して相続人が存在しないときは、Aの甲土地および乙建物の持分は、BおよびCに帰属する。

1) ア)、イ)

2) ア)、ウ)

3) イ)、オ)

4) ウ)、エ)

5) エ)、オ)

■解説

【難易度】普通。

ア) 誤り。侵害行為の排除や明渡請求は、保存行為(民法252条但書)に該当するから各共有者「単独」でなし得る。しかし第三者の違法行為に対する損害賠償請求権は、各共有者につき持分に応じて分割帰属するので、各共有者は持分相当額の損害賠償請求しかできない(最判昭和41年3月3日)。淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』第2版(1994年、有斐閣)162−163頁。

イ) 正しい。最判昭和63年5月20日である。EはAの持分の限度で共有物全部を占有使用する権原を有するからである。前掲淡路他160−161頁。

ウ) 誤り。260条の問題である。同条は、「共有物について権利を有する者」(地上権者、賃借人、担保権者等)は「自己の費用で、分割に参加することができ」(1項)、「参加の請求があったにもかかわらず」その請求をした者を参加させず分割したときは、「その分割は、その請求をした者に対抗することができない」(2項)と規定するが、そもそも共有者の側に分割を事前に通知する義務はないと解されている。前掲淡路他164−165頁。よってこの規定が第三者保護のために有する意義は、かなり限定的なものである。前掲淡路他165頁。

エ) 誤り。例えば裁判による共有物の分割の場合、原則は現物分割による(最大判昭和62年4月22日参照)。但し「特段の事情」がある場合、即ち諸事情を総合考慮した結果Aに共有物の単独所有権を与えるのが相当であり、かつBCに対する持分価格の賠償によっても共有者間の実質的公平を害しない場合、本肢のような全面的価格賠償を認めるのが判例である(最判平成8年10月31日)。内田貴『民法T』第2版(1999年、東大出版会)375−376頁。

オ) 正しい。255条。