■2016年行政書士試験・民法第2問(総則)

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■無権代理(2016−28)【判例問題】

Aが所有する甲土地につき、Aの長男BがAに無断で同人の代理人と称してCに売却した(以下「本件売買契約」という。)。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1) Aが死亡してBが単独相続した場合、Bは本人の資格に基づいて本件売買契約につき追認を拒絶することができない。

2) Bが死亡してAの妻DがAと共に共同相続した後、Aも死亡してDが相続するに至った場合、Dは本人の資格で無権代理行為の追認を拒絶する余地はない。

3) Aが本件売買契約につき追認を拒絶した後に死亡してBが単独相続した場合、Bは本件売買契約の追認を拒絶することができないため、本件売買契約は有効となる。

4) Bが死亡してAが相続した場合、Aは本人の資格において本件売買契約の追認を拒絶することができるが、無権代理人の責任を免れることはできない。

5) Aが死亡してBがAの妻Dと共に共同相続した場合、Dの追認がなければ本件売買契約は有効とならず、Bの相続分に相当する部分においても当然に有効となるものではない。

■解説

【難易度】やや難しい。

1) 正しい。本人が死亡し、「無権代理人が本人を相続」した場合の代理行為はどうなるか。この場合判例は、相続により本人自ら法律行為をしたしたのと同様の法律上の地位が発生し、代理行為は当然有効になると解している(最判昭和40年6月18日)。山田−河内−安永−松久『民法T』第3版補訂(2007年、有斐閣)186頁。

2) 正しい。最判昭和63年3月1日である。前掲山田他189頁。

3) 誤り。よってこれが正解である。「追認拒絶後」本人が死亡し、「無権代理人が本人を相続」した場合の代理行為はどうなるか。この場合判例は、本人の追認拒絶により代理行為の効果が本人に及ばないことが確定的となるのであり(本件売買契約が有効になるのではない)、無権代理人が相続しても拒絶の効果には影響しないとしている(最判平成10年7月17日)。前掲山田他187−188頁。この場合相手方は民法117条の責任を追及していくことになる。

4) 正しい。無権代理人が死亡し、「本人が無権代理人を相続」した場合の代理行為はどうなるか。元々本人が有していた追認拒絶権を行使することができるが(相続により無権代理行為が有効になるものではない)、本人は無権代理人の地位を相続しているので、117条の責任を負うというのが判例である(最判昭和37年4月20日、最判昭和48年7月3日)。前掲山田他188頁。

5) 正しい。最判平成5年1月21日である。「追認権の不可分的帰属・共同行使の必要という解釈」から、代理行為は−前記40年判決と異なり−当然有効とならないという結論が導かれている。前掲山田他187頁。