■2016年行政書士試験・民法第1問(総則)

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■時効の援用権者(2016−27)【判例問題】

AのBに対する甲債権につき消滅時効が完成した場合における時効の援用権者に関する次のア)−オ)の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものの組合せはどれか。

ア) Aが甲債権の担保としてC所有の不動産に抵当権を有している場合、物上保証人Cは、Aに対して債務を負っていないが、甲債権が消滅すれば同不動産の処分を免れる地位にあるため、甲債権につき消滅時効を援用することができる。

イ) 甲債権のために保証人となったDは、甲債権が消滅すればAに対して負っている債務を免れる地位にあるため、甲債権につき消滅時効を援用することができる。

ウ) Bの詐害行為によってB所有の不動産を取得したEは、甲債権が消滅すればAによる詐害行為取消権の行使を免れる地位にあるが、このような利益は反射的なものにすぎないため、甲債権につき消滅時効を援用することができない。

エ) Aが甲債権の担保としてB所有の不動産に抵当権を有している場合、Aの後順位抵当権者Fは、Aの抵当権の被担保債権の消滅により直接利益を受ける者に該当しないため、甲債権につき消滅時効を援用することができない。

オ) Aが甲債権の担保としてB所有の不動産に抵当権を有している場合、同不動産をBから取得したGは、甲債権が消滅すれば抵当権の負担を免れる地位にあるが、このような利益は反射的なものにすぎないため、甲債権につき消滅時効を援用することができない。

1) ア)、イ)

2) ア)、エ)

3) イ)、オ)

4) ウ)、エ)

5) ウ)、オ)

■解説

【難易度】やや難しい。

時効の援用権者について定める民法145条の「当事者」の範囲が問題となる。判例はこれにつき、時効によって「直接に利益を受ける者」(大判明治43年1月25日)としているが、この基準は「曲者で、あまり判断基準として機能していない」というのが実情である。山田−河内−安永−松久『民法T』第3版補訂(2007年、有斐閣)226頁、内田貴『民法T』第2版(1999年、東大出版会)308頁。

ア) 正しい。物上保証人は被担保債権の消滅時効を援用できる(最判昭和42年10月27日)。前掲山田他227頁。

イ) 正しい。保証人は主たる債務の消滅時効を援用できる(大判大正4年7月13日)。前掲山田他227頁。

ウ) 誤り。詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の有する債権の消滅時効を援用できる(最判平成10年6月22日)。前掲山田他228頁。

エ) 正しい。後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用できない(最判平成11年10月21日)。前掲山田他228頁。

オ) 誤り。担保不動産の第三取得者(抵当権が設定、登記されている不動産を譲り受けた者)は、被担保債権の消滅時効を援用できる(最判昭和48年12月24日)。前掲山田他227頁。

よって正解は5)となろう。