■2016年行政書士試験・行政救済法第7問

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■国家賠償法(2016−20)【条文知識問題】

A県内のB市立中学校に在籍する生徒Xは、A県が給与を負担する同校の教師Yによる監督が十分でなかったため、体育の授業中に負傷した。この事例につき、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当な記述はどれか。

1) Yの給与をA県が負担していても、Xは、A県に国家賠償を求めることはできず、B市に求めるべきこととなる。

2) Xが外国籍である場合には、その国が当該国の国民に対して国家賠償を認めている場合にのみ、Xは、B市に国家賠償を求めることができる。

3) B市がXに対して国家賠償をした場合には、B市は、Yに故意が認められなければ、Yに求償することはできない。

4) B市がYの選任および監督について相当の注意をしていたとしても、Yの不法行為が認められれば、B市はXへの国家賠償責任を免れない。

5) Xは、Yに過失が認められれば、B市に国家賠償を求めるのと並んで、Yに対して民法上の損害賠償を求めることができる。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。Yの選任監督者(B)と費用負担者(A)が異なる場合、費用負担者も国家賠償責任を負う(国家賠償法3条1項)ので、XはA県にも国家賠償を求めることができる(最判平成21年10月23日)。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)374−375頁。

2) 誤り。「Xが外国籍である場合には、その国が日本人に対して国家賠償を認めている場合に、Xは、B市に国家賠償を求めることができる」なら正しい(6条。相互保証主義)。前掲塩野316頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)391頁。

3) 誤り。Yに「故意又は重過失」があれば、B市はYに求償権を行使できる(1条2項)。

4) 正しい。国家賠償法は、民法の使用者責任と異なり「使用者の選任監督責任にふれていない」。前掲塩野318頁、櫻井他366頁。民法715条1項と国家賠償法1条1項の違いとして、前者には使用者の免責が規定されているが、後者には免責条項がない

5) 誤り。国、地方公共団体が1条1項に基づく損害賠償責任を負う場合、「公務員個人」は民法709条に基づく損害賠償責任を負わないというのが判例である(最判平成19年1月25日。なお最判昭和30年4月19日)。前掲塩野353頁、櫻井他366頁。