■2016年行政書士試験・行政救済法第6問

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■行政事件訴訟法(2016−19)【条文知識問題】

処分性に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはどれか。

1) 保育所の廃止のみを内容とする条例は、他に行政庁の処分を待つことなく、その施行により各保育所廃止の効果を発生させ、当該保育所に現に入所中の児童およびその保護者という限られた特定の者らに対して、直接、当該保育所において保育を受けることを期待し得る法的地位を奪う結果を生じさせるものであるから、その制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視し得るものということができる。

2) 建築基準法42条2項に基づく特定行政庁の告示により、同条1項の道路とみなされる道路(2項道路)の指定は、それが一括指定の方法でされた場合であっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるも のであり、個人の権利義務に対して直接影響を与えるものということができる。

3) (旧)医療法の規定に基づく病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められており、これに従わない場合でも、病院の開設後に、保険医療機関の指定を受けることができなくなる可能性が生じるにすぎないから、この勧告は、行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たらない。

4) 市町村の施行に係る土地区画整理事業計画の決定は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ、実効的な権利救済を図るという観点から見ても、これを対象とした抗告訴訟の提起を認めるのが合理的である。

5) 都市計画区域内において工業地域を指定する決定が告示されて生じる効果は、当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的な権利制限にすぎず、このような効果を生じるということだけから直ちに当該地域内の個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があったものとして、これに対する抗告訴訟の提起を認めることはできない。

■解説

【難易度】普通。

1) 正しい。最判平成21年11月26日。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)111頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)274頁。

2) 正しい。最判平成14年1月17日。前掲塩野112頁、櫻井他274−275頁。

3) 誤り。判例は、当該勧告が行政指導であるとしつつ、これに従わない場合相当程度の確実さをもって保険医療機関の指定を受けることができなくなり、実際上病院の開設を断念せざるを得なくなるということを理由に、勧告の処分性を肯定した(最判平成17年7月15日)。前掲塩野117−118頁、櫻井他273頁。

4) 正しい。最大判平成20年9月10日。前掲塩野112−113頁、櫻井他276頁。なおこれは、旧判例(最大判昭和41年2月23日。青写真論)を判例変更したものである。

5) 正しい。最判昭和57年4月22日。前掲塩野113頁、櫻井他276頁。