■2016年行政書士試験・行政救済法第5問

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■行政事件訴訟法(2016−18)【判例問題】

行政事件訴訟に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものはどれか。

1) 地方税法に基づく固定資産税の賦課処分の取消訴訟を提起することなく、過納金相当額の国家賠償請求訴訟を提起することは、結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られることになるため、認められない。

2) 供託法に基づく供託金の取戻請求権は、供託に伴い法律上当然に発生するものであり、一般の私法上の債権と同様、譲渡、質権設定、仮差押等の目的とされるものであるから、その請求が供託官により却下された場合には、民事訴訟により争うべきである。

3) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づく発電用原子炉の設置許可の無効を主張する者は、その運転差止めを求める民事訴訟を提起できるからといって、当該許可処分の無効確認訴訟を提起できないわけではない。

4) 国民年金法に基づく裁定の請求に対して年金支給をしない旨の決定が行われた場合、当該年金の裁定の請求者は、公法上の当事者訴訟によって、給付されるべき年金の請求を行うことができるが、年金支給をしない旨の決定の取消訴訟を提起することは認められない。

5) 登録免許税を過大に納付した者は、そのことによって当然に還付請求権を取得し、その還付がなされないときは、還付金請求訴訟を提起することができるから、還付の請求に対してなされた拒否通知について、取消訴訟を提起することは認めら れない。

■解説

【難易度】難しい。

1) 誤り。判例はこのような国家賠償請求訴訟の提起を認容した(冷凍倉庫事件判決〔最判平成22年6月3日〕)。瑕疵を有する租税賦課処分によって税金を過納した場合、当該処分を取消したうえで過納金相当額を取戻すというのが原則である(公定力取消訴訟の排他的管轄)。これをせず、国家賠償訴訟で過納金相当額を請求し認容されるとすれば取消訴訟の縛りを免れはしないか、というのがここでの問題点である。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)348頁注4、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)87‐88頁。

2) 誤り。判例は、弁済供託が寄託契約の性質を有するとしたものの、供託法に基づく供託金の取戻請求に対する供託官の却下につき処分性を肯定した(最大判昭和45年7月15日)。同法上当該却下につき審査請求が法定されているからである。前掲塩野108頁、前掲櫻井他269頁。

3) 正しい。もんじゅ訴訟(最判平成4年9月22日)である。前掲塩野230頁、櫻井他325頁。「原子力発電施設の設置に対する民事上の差止訴訟は、原子炉設置許可の無効を前提としないので、民事の差止訴訟があるからといって、原子炉設置許可の無効確認訴訟が排斥されるものではない」(前掲塩野230頁)からである。

4) 誤り。判例は、当事者訴訟、取消訴訟ともに肯定していると言えようか(最判平成7年11月7日)。

5) 誤り。登録免許税法31条2項が簡易迅速に還付手続を受けるという地位を保障し、当該拒否通知がこの地位を否定する法的効果を持つという点から、拒否通知の処分性を肯定したのが判例である(最判平成17年4月14日)。前掲塩野116−117頁、櫻井他273頁。