■2016年行政書士試験・行政法総論第4問

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■行政契約(2016−25)【判例問題】

上水道の利用関係について、最高裁判所の判例に照らし、妥当な記述はどれか。

1) 市町村は、給水契約の申込みに応じる義務があるが、現に給水が可能であっても、将来において水不足が生じることが確実に予見される場合には、給水契約を拒むことも許される。

2) マンションを建設しようとする者に対して市町村がその指導要綱に基づいて教育施設負担金の納付を求めることは、それが任意のものであっても違法であり、それに従わない者の給水契約を拒否することは、違法である。

3) 市町村は、利用者について不当な差別的取扱いをすることは許されないから、別荘の給水契約者とそれ以外の給水契約者の基本料金に格差をつける条例の規定は、無効であり、両者を同一に取り扱わなければならない。

4) 水道料金を値上げする市町村条例の改正がなされると、給水契約者は、個別の処分を経ることなく、値上げ後の水道料金を支払う義務を負うこととなるから、給水契約者は、当該条例改正の無効確認を求める抗告訴訟を提起することが許される。

5) 水道料金を納付しない利用者に対する給水の停止措置は、市町村の条例を根拠とする公権力の行使であるから、これを民事訴訟で差し止めることは許されず、水道の給水停止の禁止を求める民事訴訟は不適法である。

■解説

【難易度】やや難しい。

1) 正しい。最判平成11年1月21日である。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)241頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)143−144頁。

2) 誤り。当該負担金納付の要求が「強制にわたるなど事業主の任意性を損うことがない限り、違法ということはできない」というのが判例である(最判平成5年2月18日)。前掲209頁、櫻井他143頁。

3) 誤り。別荘の給水契約者とそれ以外の給水契約者の基本料金に格差をつける規定それ自体が無効になるのではなく、この格差が「合理的な理由なく差別的取扱い」となっている場合、地方自治法244条3項に反し無効となる(最判平成18年7月14日)。前掲櫻井他26頁。

4) 誤り。前記平成18年判決は、「改正条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできないから、本件改正条例の制定行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない」としている。

5) 誤り。水道供給は給水契約の形式をとることから、1)のような給水契約拒否の事例と同様給水停止についても、民事訴訟で争い得ると解せよう。前掲塩野190頁以下、239頁以下参照、櫻井他125頁。なお最決平成15年10月10日(判例集未登載)。櫻井他128−129頁。