■2016年行政書士試験・行政法総論第3問

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■公定力(2016−10)【判例問題】

次のア)−エ)の記述のうち、法令および最高裁判所判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア) 行政処分の取消訴訟において、処分取消判決が確定したときであっても、同一処分に関する国家賠償訴訟において、被告は、当該処分を行ったことが国家賠償法上は違法ではないと主張することは許される。

イ) 行政処分が無効と判断される場合であっても、その効力の有無を争うためには抗告訴訟を提起する必要があり、当事者訴訟や民事訴訟においてただちに行政処分の無効を主張することは許されない。

ウ) 行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするに当たっては、あらかじめ当該行政処分について取消訴訟を提起し、取消判決を得ていなければならないものではない。

エ) 行政処分の違法性を争点とする刑事訴訟において被告人が処分の違法を前提とする主張をする場合には、あらかじめ当該行政処分について取消訴訟を提起し、取消判決を得ておかなければならない。

1) ア)、イ)

2) ア)、ウ)

3) イ)、ウ)

4) イ)、エ)

5) ウ)、エ)

■解説

【難易度】普通。

ア) 正しい。「取消訴訟と国家賠償訴訟の違法は、それぞれ異なる」(塩野宏『行政法U』第6版〔2019年、有斐閣〕339頁)からである。違法性相対論と呼ばれる。最判平成5年3月11日。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)372頁。

イ) 誤り。無効の行政行為については、「取消訴訟によらずとも、いかなる訴訟でも、その無効を前提として自己の権利を主張できる」(塩野宏『行政法T』第5版〔2009年、有斐閣〕176頁)。前掲櫻井他93頁。

ウ) 正しい。最判昭和36年4月21日。前掲塩野147−148頁、櫻井他87頁。

エ) 誤り。刑事訴訟には公定力が及ばない(最判昭和53年6月16日参照)。そもそも刑事裁判の問題は犯罪構成要件の解釈であり、更にここに公定力を持ち出すと、被告人は取消訴訟に勝訴できないから処罰されることになりかねないからである。前掲塩野150−151頁、櫻井他86頁。

よって正解は2)となろう。