■2013年行政書士試験・基礎法学

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■法の解釈手法(2013−1)【理論問題】

次の文章にいう「第二段の論理の操作」についての説明として、妥当なものはどれか。

成文法規の解釈は、まず「文理解釈」に始まり、次いで「論理解釈」に移る。文理解釈は、成文法の文章および用語について法規の意義を確定し、論理解釈は、成文法の一般規定をば具体的な事件の上に当てはめるための論理的の筋道を考察する。論理解釈を行うに当っては、第一に「三段論法」が活用される。三段論法による法の解釈は、法規を大前提とし、事件を小前提として、結論たる判決を導き出そうとするのである。しかし、いかに発達した成文法の体系といえども、絶対に完全無欠ではあり得ない。故に、特殊の事件につき直接に三段論法を適用すべき明文の規定が欠けている場合には、更に第二段の論理の操作が必要となる。

1) 甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「反対解釈」である。

2) 乙についてのみ規定があり、甲に関する規定が欠けているのは、甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である、という理由から、甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは、「勿論解釈」である。

3) 甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「類推解釈」である。

4) 乙についてのみ規定があり、甲に関する規定が欠けているのは、甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である、という理由から、甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは、「拡大解釈」である。

5) 甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「縮小解釈」である。

■解説

【難易度】普通。問題文自体を読まず、端的に肢の正誤を判断すれば足りる。

1) 誤り。これは反対解釈ではなく、類推解釈である。「馬をつなぐべからず」という規定がある場合、「馬は牛でないからつないでよい」と解釈するのが反対解釈である。我妻栄(遠藤、川井補訂)『民法案内1私法の道しるべ』(勁草書房、2005年)147頁。

2) 誤り。これは勿論解釈ではなく、反対解釈である。

3) 正しい。なお類推解釈と拡張解釈は似ているが、前者では「甲≠乙」ということが前提になるが、後者は「乙の意味に甲を含ませる」解釈という点で異なる。例えば、刑法245条は電気を財物とみなしているが、これは、「電気は刑法の財物ではない」という理解を前提に、あえて財物についての規定を立法により電気に類推しているとも言い得る。一方−刑法245条の存在はともかく−、「電気も刑法の財物である」として、財物についての規定を電気にも適用するとすれば、それは拡張解釈と言える。前掲我妻149頁。

4) 誤り。これは拡大(拡張)解釈ではなく、反対解釈である。

5) 誤り。これは縮小解釈ではなく、類推解釈である。口語化前の民法192条は、「平穏且公然ニ動産ノ占有ヲ始メタル者カ−中略−権利ヲ取得ス」と定められていたが、この条文につき通説、判例は、「占有ヲ始メタル」を「『動産の取引行為によって』占有ヲ始メタル」と解釈していたが、これは縮小解釈の例である。なお現在の192条は、「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は」と定めているが、これは先の縮小解釈を立法化したものである。前掲我妻145頁。

■司法制度改革(2013−2)【知識問題】

司法制度改革審議会の意見書(平成13年6月公表)に基づいて実施された近年の司法制度改革に関する次のア)−オ)の記述のうち、明らかに誤っているものの組合せはどれか。

ア) 事業者による不当な勧誘行為および不当な表示行為等について、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が当該行為の差止めを請求することができる団体訴訟の制度が導入された。

イ) 一定の集団(クラス)に属する者(例えば、特定の商品によって被害を受けた者)が、同一の集団に属する者の全員を代表して原告となり、当該集団に属する者の全員が受けた損害について、一括して損害賠償を請求することができる集団代表訴訟の制度が導入された。

ウ) 民事訴訟および刑事訴訟のいずれにおいても、審理が開始される前に事件の争点および証拠等の整理を集中して行う公判前整理手続の制度が導入された。

エ) 検察官が公訴を提起しない場合において、検察審査会が2度にわたって起訴を相当とする議決をしたときには、裁判所が指定した弁護士が公訴を提起する制度が導入された。

オ) 日本司法支援センター(法テラス)が設立され、情報提供活動、民事法律扶助、国選弁護の態勢確保、いわゆる司法過疎地での法律サービスの提供および犯罪被害者の支援等の業務を行うこととなった。

1) ア)、イ)
2) ア)、オ)
3) イ)、ウ)
4) ウ)、エ)
5) エ)、オ)

■解説

【難易度】難しい。今後解きなおす価値のあまりない過去問であると思われる。

正解はイ)とウ)の3)である。

まず、イ)の集団代表訴訟(クラスアクション)を認める法律である消費者訴訟特例法が可決されたのは2013年12月であるから、そもそも2013年本試験の段階では集団代表訴訟は「導入されていない」。
またウ)の公判前整理手続(刑事訴訟法316条の2)は、2005年の刑事訴訟法改正に伴い導入されたものであるが、民事訴訟において公判前整理手続というものは存在しない。

なおア)の団体訴訟は消費者契約法、エ)の強制起訴制度は検察審査会法、オ)の法テラスは総合法律支援法にそれぞれ根拠を有する。