■2013年行政書士試験・地方自治法

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■住民監査請求、事務監査請求(2013−21)【条文知識問題】

地方自治法の規定による住民監査請求と事務監査請求の相違について、妥当な記述はどれか。

1) 住民監査請求をすることができる者は、当該地方公共団体の住民のみに限られているが、事務監査請求については、当該事務の執行に特別の利害関係を有する者であれば、当該地方公共団体の住民以外でもすることができることとされている。

2) 住民監査請求については、対象となる行為があった日または終わった日から一定期間を経過したときは、正当な理由がある場合を除き、これをすることができないこととされているが、事務監査請求については、このような請求期間の制限はない。

3) 住民監査請求の対象となるのは、いわゆる財務会計上の行為または怠る事実であるとされているが、こうした行為または怠る事実は、事務監査請求の対象となる当該地方公共団体の事務から除外されている。

4) 住民監査請求においては、その請求方式は、当該行為の一部または全部の差止の請求などの4種類に限定されており、それ以外の請求方式は認められていないが、事務監査請求については、このような請求方式の制限はない。

5) 住民監査請求においては、監査の結果に不服のある請求者は、住民訴訟を提起することができることとされているが、事務監査請求においては、監査の結果に不服のある請求者は、監査結果の取消しの訴えを提起できることとされている。

■解説

【難易度】やや難。

1) 誤り。住民監査請求についての説明は正しいが(地方自治法242条1項)、事務監査請求の主体も当該地方公共団体の住民でなければならない(12条2項)。

2) 正しい。住民監査請求につき242条2項。

3) 誤り。住民監査請求についての説明は正しいが(242条1項)、事務監査請求の対象は「普通地方公共団体の事務の執行」(75条1項)であり、「行為または怠る事実」が除外されているということはない。

4) 誤り。住民監査請求ではなく、住民訴訟では請求方式が「4種類」に限定されている(242条の2第1項)。なお事務監査請求についての説明は正しい。

5) 誤り。事務監査の結果については処分性が認められない(直接国民の権利義務に関係しないので、と言うべきか。最判昭和39年10月29日。塩野宏『行政法U』第4版〔2005年、有斐閣〕95−96頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版〔2016年、弘文堂〕267頁)ので、取消の訴えを提起することは得ない。なお住民監査請求についての説明は正しい(242条の2第1項)。

■条例と刑罰(2013−22)【条文知識問題】

A市においては、地域の生活環境の整備を図るために、繁華街での路上喫煙を禁止し、違反者には最高20万円の罰金もしくは最高5万円の過料のいずれかを科することを定めた条例を制定した。この場合における次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 違反者に科される過料は、行政上の義務履行確保のための執行罰に当たるものであり、義務が履行されるまで複数回科すことができる。

2) 本条例に基づく罰金は、行政刑罰に当たるものであり、非訟事件手続法の定めに基づき裁判所がこれを科する。

3) 条例の効力は属人的なものであるので、A市の住民以外の者については、たとえA市域内の繁華街で路上喫煙に及んだとしても、本条例に基づき処罰することはできない。

4) 条例に懲役刑を科する旨の規定を置くことは許されていないことから、仮に本条例が違反者に対して懲役を科するものであれば、違法無効になる。

5) 長の定める規則に罰金を科する旨の規定を置くことは認められていないことから、本条例にかえて長の規則で違反者に罰金を科することは許されない。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。この条例に基づく過料は、執行罰ではなく秩序罰である。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)237、250頁、前掲櫻井他177、189頁。

2) 誤り。この条例に基づく罰金が行政刑罰であるという点は正しいが、行政刑罰は刑罰である以上、これを科するには刑事訴訟法の手続によることになる。前掲塩野248頁、前掲櫻井他187頁。

3) 誤り。新潟県公安条例事件(最大判昭和29年11月24日)である。条例の効力は、条例の規定や性質上住民のみを対象にしていると解される場合を除き、属地的なものであるので、A市以外の住民でも本条例に基づき処罰することができる。

4) 誤り。条例で懲役刑を科することも可能である(14条3項)。

5) 正しい。長の定める規則で過料を科することはできるが、懲役はできない(15条2項)。

■地方自治法概観問題(2013−23)【条文知識問題】

地方自治法の定める地方公共団体に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 地方公共団体の組合としては、全部事務組合と役場組合が廃止されたため、現在では一部事務組合と広域連合の二つがある。

2) 国と地方公共団体間の紛争等を処理する機関としては、自治紛争処理委員が廃止され、代わりに国地方係争処理委員会が設けられている。

3) 大都市等に関する特例としては、指定都市、中核市、特例市の三つに関するものが設けられている。

4) 条例による事務処理の特例としては、都道府県知事の権限に属する事務の一部を条例に基づき市町村に委ねることが許されている。

5) 特別地方公共団体である特別区としては、都に置かれる区のみがあり、固有の法人格を有する。

■解説

【難易度】普通。

1) 正しい。284条1項。

2) 誤り。自治紛争処理委員(251条)が廃止されたという事実はない。国地方係争処理委員会については250条の7以下。

3) 正しい。252条の19以下。

4) 正しい。252条の17の2第1項。

5) 正しい。2条、281条1項。

■住所(2013−24)【判例問題】

住所に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。争いがある場合には、最高裁判所の判例による。

1) 日本国民たる年齢満20歳以上の者で引き続き一定期間以上市町村の区域内に住所を有するものは、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。

2) 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、地方自治法の定めにより、条例の制定又は改廃を請求する権利を有するが、日本国籍を有しない者であっても、そこに住所を有していれば、こうした権利を有する。

3) 公職選挙法上の住所とは、各人の生活の本拠、すなわち、その人の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指す。

4) 都市公園内に不法に設置されたテントを起居の場所としている場合、テントにおいて日常生活を営んでいる者は、テントの所在地に住所を有するということはできない。

5) 地方自治法に基づく住民訴訟は、当該地方公共団体内に住所を有する者のみが提起することができ、訴訟係属中に原告が当該地方公共団体内の住所を失えば、原告適格を失う。

■解説

【難易度】普通。

1) 正しい。18条。

2) 誤り。直接請求の主体は日本国民である住民であり、かつ選挙権を有する者(74条参照)である。よって外国人は直接請求の権利を与えられていない。塩野宏『行政法V』第2版(2001年、有斐閣)164頁。

3) 正しい。最判昭和35年3月22日(判決文〔最高裁。pdfファイル〕)。

4) 正しい。最判平成20年10月3日(判決文〔最高裁。pdfファイル〕)。

5) 正しい。大阪高判昭和59年1月25日である。塩野宏『行政法U』第4版(2005年、有斐閣)244頁。