■2013年行政書士試験・行政救済法

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■行政不服審査法(2013−14)【条文知識問題】

行政不服審査法(以下「行審法」という。)と行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)の比較に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

1) 行訴法は、行政庁が処分をすべき旨を命ずることを求める訴訟として「義務付けの訴え」を設けているが、行審法は、このような義務付けを求める不服申立てを明示的には定めていない。

2) 行審法は、どのような行為が同法にいう処分に当たるとは明示的に定めていないが、行訴法も同じく、どのような行為が処分に当たるとは明示的には定めていない。

3) 行訴法は、取消訴訟の原告適格を処分等の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」に認めているが、行審法は、このような者に不服申立て適格が認められることを明示的には定めていない。

4) 行訴法は、訴訟の結果により権利を害される第三者の訴訟参加に関する規定を置いているが、行審法は、利害関係人の不服申立てへの参加について明示的には定めていない。

5) 行訴法は、取消訴訟における取消しの理由の制限として、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由とすることはできないと定めているが、行審法は、このような理由の制限を明示的には定めていない。

■解説

【難易度】

1) 正しい。行政事件訴訟法3条6項。

2) 正しい。この点については、宇賀克也『行政不服審査法の逐条解説』(2015年、有斐閣)197頁参照。

3) 正しい。行政事件訴訟法9条1項。一方行政不服審査法2条の「不服がある者」について、判例は「法律上の利益」がある者と解している(主婦連ジュース訴訟〔最判昭和53年3月14日〕)。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)24頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)236−237頁。

4) 誤り。よってこれが正解である。行政事件訴訟法22条。一方行政不服審査法については13条で参加人の制度が定められている。

5) 正しい。行政事件訴訟法10条1項。

■行政不服審査法(2013−15)【条文知識問題】

行政不服審査に関する原則の説明として、誤っているものはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

1) 自由選択主義…行政上の不服申立をするか、それをしないで直ちに出訴するかは当事者の選択に任せる主義。

2) 処分権主義…私人からの不服申立てがなくとも、行政庁が職権で審理を開始することができること。

3) 法改正に伴い削除。

4) 一般概括主義…適用除外規定に該当する処分を除き、原則として全ての処分について不服申立が可能なこと。

5) 書面審理主義…不服申立ての審理は、書面によることを原則としていること。

■解説

【難易度】

1) 正しい。行政事件訴訟法8条1項本文。前掲塩野102頁。

2) 誤り。処分権主義とは、訴訟の開始や、審判の対象範囲、訴訟の維持終了につき当事者に主導権を認める主義のことである。行政事件訴訟においてもこれが妥当する場面はある。前掲塩野157−158頁。

3) 法改正に伴い削除。

4) 正しい。2条。適用除外規定として7条。

5) 正しい。なお現在は、旧25条1項本文と異なり審査請求が書面審理主義による旨の明文規定はないが、改正法後も書面審理主義に変更はない。前掲宇賀136頁。

■行政事件訴訟法(2013−16)【条文知識問題】

いわゆる申請型と非申請型(直接型)の義務付け訴訟について、行政事件訴訟法の規定に照らし、妥当な記述はどれか。

1) 申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、一定の処分がされないことにより「重大な損害を生ずるおそれ」がある場合に限り提起できることとされている。

2) 申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、一定の処分をすべき旨を行政庁に命ずることを求めるにつき「法律上の利益を有する者」であれば、当該処分の相手方以外でも提起することができることとされている。

3) 申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、一定の処分がされないことによる損害を避けるため「他に適当な方法がないとき」に限り提起できることとされている。

4) 申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある」ことなどの要件を満たせば、裁判所は、申立てにより、仮の義務付けを命ずることができることとされている。

5) 申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、それと併合して提起すべきこととされている処分取消訴訟などに係る請求に「理由がある」と認められたときにのみ、義務付けの請求も認容されることとされている。

■解説

【難易度】やや難。

義務付け訴訟には、申請権を前提としない非申請型(行政事件訴訟法3条6項1号)と、申請した者が原告となり、行政に一定の処分をすべきとの義務付けを求める申請型(3条6項2号)がある。

1) 誤り。「重大な損害」の要件は、非申請型で要求される要件である(37条の2第1項)。

2) 誤り。非申請型の原告適格を有するのは「行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者」(37条の2第3項)であるが、申請型の場合は「法令に基づく申請又は審査請求をした者」(37条の3第2項)である。

3) 誤り。この要件が要求されるのは非申請型の場合であり(37条の2第1項)、申請型の場合では要求されていない。

4) 正しい。37条の5第1項。

5) 誤り。まず非申請型の本案勝訴要件は、行政庁がその処分をすべきことが明らかである、即ち当該処分が覊束処分であることが判明したこと又は裁量処分の場合はその処分をしないことが裁量権行使の濫用にあたること(37条の2第5項)である。一方申請型の本案勝訴要件は、非申請型の場合と同じであるが、これに「併合提起の訴訟に理由があると認められる場合」という要件が加わる(37条の3第5項)。前掲塩野251−253頁、前掲櫻井他333−334、338頁。

■行政事件訴訟法(2013−17)【判例問題】

A電力株式会社は、新たな原子力発電所の設置を計画し、これについて、国(原子力規制委員会)による原子炉等規制法*に基づく原子炉の設置許可を得て、その建設に着手した。これに対して、予定地の周辺に居住するXらは、重大事故による健康被害などを危惧して、その操業を阻止すべく、訴訟の提起を検討している。この場合の訴訟について、最高裁判所の判例に照らし、妥当な記述はどれか。

1) 当該原子炉の設置については、原子炉等規制法に基づく許可がなされている以上、Xらは、国を被告とする許可の取消訴訟で争うべきであり、Aを被告とする民事訴訟によってその操業の差止めなどを請求することは許されない。

2) 事故により生命身体の安全に直截的かつ重大な被害を受けることが想定される地域にXらが居住していたとしても、そうした事故発生の具体的な蓋然性が立証されなければ、原子炉設置許可の取消しを求めて出訴するXらの原告適格は認められない。

3) 原子炉設置許可の取消訴訟の係属中に原子炉の安全性についての新たな科学的知見が明らかになった場合には、こうした知見が許可処分当時には存在しなかったとしても、裁判所は、こうした新たな知見に基づいて原子炉の安全性を判断することが許される。

4) 原子炉の安全性の審査は、極めて高度な最新の科学的、専門技術的知見に基づいてなされるものであるから、そうした審査のために各分野の学識経験者等が作成した具体的な審査基準については、その合理性を裁判所が判断することは許されない。

5) 原子炉設置許可は、申請された計画上の原子炉の安全性を確認するにすぎず、実際に稼働している原子炉が計画どおりの安全性を有しているか否かは許可の有無とは無関係であるから、工事が完了して原子炉が稼働すれば、許可取消訴訟の訴えの利益は失われる。
(注)*核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律

■解説

【難易度】やや難。

1) 誤り。もんじゅ訴訟(最判平成4年9月22日)は、民事訴訟による差止請求を肯定するものと解される。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)149頁。

2) 誤り。判例は、Xの原告適格の有無につき事故発生の具体的蓋然性の証明を求めてはいない。原子炉からXが居住する地域までの距離を手掛かりに、Xの原告適格を認めているように思われる(もんじゅ訴訟)。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)136頁参照、前掲櫻井他284頁。

3) 正しい。原子炉安全性の判断は、「原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべき」であり、「現在の科学技術水準に照らし」当該調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点がある場合、原子炉設置許可処分は違法とされる(伊方原発訴訟〔最判平成4年10月29日〕、判断過程審査)。櫻井他119頁。

4) 誤り。「原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議」の中で用いられた「具体的審査基準に不合理な点」がある場合についても、原子炉設置許可訴訟における裁判所の判断対象となる(伊方原発訴訟)。

5) 誤り。このような訴えの利益の喪失にふれた判例はないと思われる。例えば伊方原発訴訟は、77年に稼働開始した伊方原発1号機をめぐるものであり、92年に最高裁判決が出されているが、訴えの利益がなくなるということにはふれていない。

■行政事件訴訟法(2013−18)【条文知識問題】

取消訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 取消訴訟の原告は、処分行政庁に訴状を提出することにより、処分行政庁を経由しても訴訟を提起することができる。

2) 裁判所は、必要があると認めるときは、職権で証拠調べをすることができるが、その結果について当事者の意見をきかなければならない。

3) 取消訴訟の訴訟代理人については、代理人として選任する旨の書面による証明があれば誰でも訴訟代理人になることができ、弁護士等の資格は必要とされない。

4) 裁判所は、処分の執行停止の必要があると認めるときは、職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止をすることができる。

5) 取消訴訟の審理は、書面によることが原則であり、当事者から口頭弁論の求めがあったときに限り、その機会を与えるものとされている。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。行政事件訴訟法には訴状の提出先については何も規定されていないので、民事訴訟の例に従い(行政事件訴訟法7条)訴状の提出先は裁判所となる(民事訴訟法133条1項)。前掲塩野7頁、櫻井他251−252頁。

2) 正しい。行政事件訴訟法24条。

3) 誤り。1)と同様の理由で訴訟代理人に関しても民事訴訟の例による(民事訴訟法54条1項)。つまり弁護士が訴訟代理人になるのが原則である(本人訴訟も可能である)。前掲塩野96頁。

4) 誤り。この場合の執行停止は職権によるのではなく、申立を必要とする(行政事件訴訟法25条2項)。

5) 誤り。この点も民事訴訟の例による(民事訴訟法87条1項)。つまり審理は口頭によるのが原則である。そもそも行政事件「訴訟」において書面審理を原則にするというのは、憲法82条違反となろう。

■国家賠償法(2013−19)【条文知識問題】

国の損害賠償責任についての国家賠償法と民法の適用関係に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 公権力の行使に該当しない公務員の活動に起因する国の損害賠償責任については、民法の規定が適用される。

2) 公権力の行使に起因する損害の賠償責任については、国家賠償法に規定がない事項に関し、民法の規定が適用される。

3) 公の営造物に該当しない国有財産の瑕疵に起因する損害の賠償責任については、民法の規定が適用される。

4) 国が占有者である公の営造物の瑕疵に起因する損害の賠償責任については、必要な注意義務を国が尽くした場合の占有者としての免責に関し、民法の規定が適用される。

5) 公権力の行使に起因する損害についても、公の営造物の瑕疵に起因する損害についても、損害賠償請求権の消滅時効に関しては、民法の規定が適用される。

■解説

【難易度】易しい。

1) 正しい。国家賠償法1条1項、前掲塩野325頁。

2) 正しい。国家賠償法4条。

3) 正しい。国家賠償法2条1項参照。前掲塩野357頁、櫻井他381頁。

4) 誤り。国家賠償法2条の立法の際、民法717条を公の営造物についてそのまま持ち込まず、717条のような占有者免責条項を設けなかった。つまり本肢のような免責は認められないということになる。前掲塩野355頁。

5) 正しい。国家賠償法4条。前掲塩野376頁。

■国家賠償法(2013−20)【判例問題】

国家賠償法に関する次のア)−オ)の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア) 経済政策の決定の当否は裁判所の司法的判断には本質的に適しないから、経済政策ないし経済見通しの過誤を理由とする国家賠償法1条に基づく請求は、そもそも法律上の争訟に当たらず、不適法な訴えとして却下される。

イ) 税務署長が行った所得税の更正が、所得金額を過大に認定したものであるとして取消訴訟で取り消されたとしても、当該税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていた場合は、国家賠償法1条1項の適用上違法とはされない。

ウ) 刑事事件において無罪の判決が確定した以上、当該公訴の提起・追行は国家賠償法1条の適用上も直ちに違法と評価されるが、国家賠償請求が認容されるためには、担当検察官に過失があったか否かが別途問題となる。

エ) 自作農創設特別措置法に基づく買収計画が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ当該買収計画につき取消し又は無効確認の判決を得る必要はない。

オ) 違法な課税処分によって本来払うべきでない税金を支払った場合において、過納金相当額を損害とする国家賠償請求訴訟を提起したとしても、かかる訴えは課税処分の公定力や不可争力を実質的に否定することになるので棄却される。

1) ア)、ウ)
2) ア)、オ)
3) イ)、エ)
4) イ)、オ)
5) ウ)、エ)

■解説

【難易度】やや難。

ア) 誤り。いわゆる郵便貯金目減り訴訟(最判昭和57年7月15日)である。政府による経済政策によりインフレが生じ、結果貯金が目減りしたことへの損害賠償を求めたのがこの事案である。判例は、訴訟要件でこの事案を処理したのではなく、物価の安定といった経済政策は政府の裁量に任せられており、経済政策がインフレを招いたとしても政治的責任はともかく、国家賠償法上の違法評価を受けることはないとして、請求を「棄却」したのである。

イ) 正しい。最判平成5年3月11日である。国家賠償法1条1項の違法性判断において、公務員の行為が結果特定の規範に違反していても、行為当時の状況を基準として当該公務員がなすべきことをしていたという観点から、違法性が否定されることがあり得るという立場である(行為不法説職務行為基準説)。前掲櫻井他370頁。つまり取消訴訟の違法と国家賠償法の違法は異なるという見解である。前掲塩野339頁。

ウ) 誤り。この事案でも職務行為基準説がとられている。つまり「当該公訴の提起・追行は国家賠償法1条の適用上も直ちに違法と評価されない」のである(最判昭和53年10月20日)。前掲塩野337−338頁、櫻井他374頁。

エ) 正しい。最判昭和36年4月21日である。国家賠償の前提として行政行為を取消訴訟で取消しておく等、行政行為の違法性を確定させておくことは必要ではない。前掲櫻井他87頁。塩野宏『行政法T』第5版増補(2009年、有斐閣)147−148頁。

オ) 誤り。ある課税処分に不可争力が発生していたとする。この場合取消訴訟とは別に過納金相当額を求める国家賠償請求訴訟を提起し得るとすると、問題が生じる。即ち、過納金の取戻し手段としての処分取消訴訟はふさがれているのに、国家賠償請求訴訟を用いて過納金相当額を請求し得るとすると、不可争力を潜脱することになりはしないか、ということである。これに対しては肯定説否定説があるが、判例(最判平成22年6月3日)は、肯定説をとり、国家賠償請求訴訟の提起を可能とした。前掲櫻井他87−88頁。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)348−349頁注4。

正解は3)のイ)、エ)となろう。