■2013年行政書士試験・法令記述式問題

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■行政法、訴えの利益(2013−44)【判例問題】

Aが建築基準法に基づく建築確認を得て自己の所有地に建物を建設し始めたところ、隣接地に居住するBは、当該建築確認の取消しを求めて取消訴訟を提起すると共に、執行停止を申し立てた。執行停止の申立てが却下されたことからAが建設を続けた結果、訴訟係属中に建物が完成し、検査済証が交付された。
最高裁判所の判例によると、この場合、1)建築確認の法的効果がどのようなものであるため、2)工事完了がBの訴えの訴訟要件にどのような影響を与え、 3)どのような判決が下されることになるか。40字程度で記述しなさい。

■解説

【難易度】普通。最判昭和59年10月26日からの出題である。1)が若干難しかったかもしれないが、2)と3)は容易であっただろう。

1) 建築確認の法的効果。建築確認(建築基準法6条1項)は、建築行為を適法ならしめる法的効果を有するのみというのが判例である。なお建築確認は、行政行為の分類論では「確認」に分類される。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)82頁。

2) A建物の工事完了とBによる訴えの訴訟要件。工事完了後、建築確認は1)で述べた法的効果が消滅するものと解されるので、建築確認を争う当該訴訟は訴えの利益を欠くものとなる。なお「『狭義』の訴えの利益を欠く」という記述をしないと減点対象になるか否かは、微妙である(この判例は「訴えの利益は失われる」としか言及していない)。塩野宏『行政法U』第4版(2005年、有斐閣)128頁、前掲櫻井他292頁。

3) 下される判決。建築確認は、建物工事完了後はその法的効果を失い(処分の効果が完了する)ので訴えの利益を欠く。訴えの利益の有無は訴訟要件であるから、これを欠けば却下判決が下される。前掲塩野127頁、櫻井他266頁。

解答としては次のようになろうか。
「建築を適法化する効果をもつが、工事完了後は狭義の訴えの利益が消滅し、却下判決が下される。」(44文字)

正直なところ45文字だとマスの数が足りず、文字数内に文章をまとめるにはちょっと苦労するかもしれない。

■民法、代理(2013−45)【条文知識問題】

Aは、Bに対し、Cの代理人であると偽り、Bとの間でCを売主とする売買契約(以下、「本件契約」という。)を締結した。ところが、CはAの存在を知らなかったが、このたびBがA・B間で締結された本件契約に基づいてCに対して履行を求めてきたので、Cは、Bからその経緯を聞き、はじめてAの存在を知るに至った。他方、Bは、本件契約の締結時に、AをCの代理人であると信じ、また、そのように信じたことについて過失はなかった。Bは、本件契約を取り消さずに、本件契約に基づいて、Aに対して何らかの請求をしようと考えている。
このような状況で、AがCの代理人であることを証明することができないときに、Bは、Aに対して、どのような要件の下で(どのようなことがなかったときにおいて)、どのような請求をすることができるか。「Bは、Aに対して、」に続けて、下線部について、40字程度で記述しなさい(「Bは、Aに対して、」は、40字程度の字数には入らない)。

■解説

【難易度】難しい。

1) 「Aは、Bに対し、Cの代理人であると偽り本件契約を締結した」。ここから無権代理が問題となる事案であることが分かる。なおこの事案では、表見代理は問題とならない。問題文からは、CがAの代理権が存在しているかのような外観作出に関与しているとは読み取れないからである。

2) 無権代理について、無権代理の相手方(B)が取り得る手段は「表見代理」の主張の他、3つある。「催告」「本件契約の取消」「無権代理人の責任追及」(114、115、117条)である。ただ本問では、「催告」や「本件契約の取消」については、検討を要しない。なおBが本件契約を取消した場合、契約は初めからなかったことになるので、催告や無権代理人の責任追及、表見代理の主張はできなくなる

3) 最終的にBがとるのは117条に基づく責任追及であり、これを論ずることになろう。なお117条の要件のうち、「無権代理であること」「Bが本件契約を取消していないこと」、「Bが、Aの代理権不存在につき善意無過失であること」は、問題文からわかるので論述の必要はなかろう。

解答としては次のようになろうか。
Bは、Aに対して、「本人Cの追認を得られず、かつAに行為能力がある場合、本件契約の履行か損害賠償を請求し得る。」(45文字)

本問につき、山田−河内−安永−松久『民法T』第3版補訂(有斐閣、2007年)179−184頁、内田貴『民法T』第2版(1999年、東大出版会)147−152頁参照。

■民法、即時取得(2013−46)

Aの指輪が、Bによって盗まれ、Bから、事情を知らない宝石店Cに売却された。Dは、宝石店Cからその指輪を50万円で購入してその引渡しを受けたが、Dもまたそのような事情について善意であり、かつ無過失であった。
盗難の時から1年6か月後、Aは、盗まれた指輪がDのもとにあることを知り、同指輪をDから取り戻したいと思っている。この場合、Aは、Dに対し指輪の返還を請求することができるか否かについて、必要な、または関係する要件に言及して、40字程度で記述しなさい。

■解説

【難易度】普通。

1) Dが、本件指輪が盗品であることにつき善意無過失であろうと、この指輪の所有権はAにある筈である。しかし民法は、動産の占有に公信力を付与し、Dが指輪の所有権を取得できる場合を認めている。これが即時取得である(192条)。
Dは、本件指輪が盗品であったことにつき、善意無過失であるから即時取得の成立は認められるだろう(「平穏公然」の要件は186条1項で推定される。なお「善意」は186条1項、「無過失」は188条で推定される〔後者につき最判昭和41年6月9日〕)。

2) しかし民法は、即時取得の目的物が「盗品、遺失物」の場合、真の権利者の保護のため即時取得を猶予する制度を有している(193条)。この結果Dの即時取得は「2年間猶予される」(問題文の「盗難の時から1年6か月後」に注意)ことになりそうだが、これについては193条の特則たる194条で修正がくわえられている。

3) 194条は、「占有者(D)が、盗品を、公の市場(一般の店舗。ここでは宝石商C)において、善意で買い受けたときは、被害者(A)は、占有者(D)が支払った代価(50万円)を弁償しなければ、その物(Aの指輪)を回復することができない」規定するが、本問はこれを記述することになる。

解答としては次のようになろうか。
「Aは、DがCに支払った代価50万円を弁償しなければ、盗まれた指輪を回復することができない。」(45文字)

本問につき、淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』第2版(有斐閣、2007年)89−99頁、内田貴『民法T』第2版(1999年、東大出版会)440−450頁参照。