■2012年行政書士試験・基礎法学1

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■判例(2012−1)【理論問題】

「判例」に関する次の記述のうち、明らかに誤っているものはどれか。

1) 判例は、一般的見解によれば、英米法系の国では後の事件に対して法的な拘束力を有する法源とされてきたが、大陸法系の国では法源とはされてこなかった。

2) 英米法系の国では、判決のうち、結論を導く上で必要な部分を「主文(レイシオ・デシデンダイ)」、他の部分を「判決理由」と呼び、後者には判例法としての拘束力を認めない。

3) 判例という語は、広義では過去の裁判例を広く指す意味でも用いられ、この意味での判例に含まれる一般的説示が時として後の判決や立法に大きな影響を与えることがある。

4) 下級審が最高裁判所の判例に反する判決を下した場合、最高裁判所は申立てに対して上告審として事件を受理することができる。

5) 最高裁判所が、法令の解釈適用に関して、自らの過去の判例を変更する際には、大法廷を開く必要がある。

■解説

【難易度】普通。

1) 正しい。なお日本法の解釈論においては、判例の法源性を肯定しこれに「事実上の拘束力」を認めるのが通説と言えようか。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)380−381頁。これに対し、判例に「法上の拘束力」を認める有力な異説もある。佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)32頁。

2) 誤り。判決のうち、「結論を導くうえで意味のある法的理由づけ」を「レイシオ・デシデンダイ」(ratio decidendi)といい、これと関係のない部分を「オビタ・ディクタム」(obiter dictum)という。そして判例としての拘束力を持つのは、レイシオ・デシデンダイの部分であると解されている。前掲芦部380頁、佐藤31頁。

3) 正しい。前掲芦部380頁。なお判例による立法形成について、団藤重光『法学の基礎』(1996年、有斐閣)172頁注3参照。

4) 正しい。例えば刑事訴訟法405条2号、民事訴訟法318条1項。

5) 正しい。裁判所法10条3号。