■2012年行政書士試験・行政救済法

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■行政不服審査法(2012−14)【条文知識問題】

行政不服審査法に基づく不服申立てに関する次の記述のうち、法令または判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 行政不服申立てにおいては、行政処分の取消しを求めることだけではなく、公法上の法律関係の確認を求めることも許される。

2) 行政不服審査法は、不服申立ての対象となる行政処分については、いわゆる一般概括主義を採用しており、不服申立てをすることができない処分を列挙してはいない。

3) 行政処分について審査請求の申立適格を有するのは、処分の相手方に限られ、それ以外の第三者は、他の法律に特別の定めがない限り、申立適格を有しない。

4) 憲法による適正手続の保障の趣旨は、不服申立ての審理手続にも及ぶので、その手続においても、口頭弁論主義が原則とされている。

5) 審査請求の裁決は、書面でしなければならず、緊急を要する場合であっても、口頭ですることは認められていない。

■解説

【難易度】

1) 誤り。行政不服審査法には、行政事件訴訟法4条のような公法上の法律関係の確認を求める手続というものは存在しない。

2) 誤り。一般概括主義の説明は正しいが、「不服申立をすることができない処分について列挙」する規定はある(7条)。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)11−12頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)235−236頁。

3) 誤り。2条の「行政庁の処分に不服がある者」の意義が問題となる。通説、判例はこれを「処分について不服申立をする法律上の利益がある者」(最判昭和53年3月14日。主婦連ジュース訴訟)と解している。よってこの利益があれば処分の相手方以外の第三者でも申立適格を有する。前掲塩野24頁、櫻井他236−237頁。

4) 誤り。過去頻出の肢である。審査請求の審理は「書面審理」が原則である。旧法25条1項はこの原則につき明文で定めていたが、新法の下でも明文規定はないものの書面審理主義に変更はないと解されている。宇賀克也『行政不服審査法の逐条解説』(2015年、有斐閣)136頁。

5) 正しい。50条1項。前掲塩野39頁、櫻井他238頁。

■行政不服審査法(2012−15)【条文知識問題】

行政不服審査法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

1) 審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、審査庁は、棄却裁決を行う。

2) 処分についての審査請求に理由があるときは、審査庁は、当該処分の取消しのみならず、処分庁に代わって一定の処分を行うことができる。

3) 不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言する。

4) 法改正に伴い削除。

5) 事情裁決は、行政事件訴訟法の定める事情判決と同様、処分が違法であるときに一定の要件の下で行われるものであって、処分が違法ではなく、不当であるにとどまる場合において行われることはない。

■解説

【難易度】

1) 誤り。この場合は棄却ではなく「却下」の裁決が出される(45条1項)。

2) 誤り。審査庁が「処分庁の上級行政庁」である場合は、処分の取消や変更は可能だが「処分庁に代わって一定の処分を行う」ことはできない(46条1項)。前掲宇賀198頁。

3) 正しい。49条3項。

4) 法改正に伴い削除。

5) 誤り。処分が不当な場合でも事情裁決をなし得ることは明記されている(45条3項)。

■行政事件訴訟法(2012−16)【条文知識問題】

処分取消訴訟と処分無効確認訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 取消訴訟、無効確認訴訟ともに、行政上の法関係の早期安定を図るという観点から、出訴期間の定めが置かれているが、その期間は異なる。

2) 取消判決は第三者に対しても効力を有すると規定されているが、この規定は、無効確認訴訟には準用されていない。

3) 執行停止について、取消訴訟においては執行不停止原則がとられているが、無効確認訴訟においては執行停止原則がとられている。

4) 取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができないが、この制限規定は、無効確認訴訟には準用されていない。

5) 無効確認訴訟は、取消訴訟の出訴期間経過後において、処分により重大な損害を生じた場合に限り提起することができる。

■解説

【注意】本問については正しい選択肢が2つ存在するので、受験者全員に加点措置が取られた。

1) 誤り。取消訴訟には出訴期間が存在するが(処分又は裁決があったことを知った日から6ヶ月。行政事件訴訟法14条1項本文)、無効確認訴訟にはない。

2) 正しい。取消判決の第三者効を定める32条1項は、無効確認訴訟には準用されていない(38条参照)。

3) 誤り。共に執行不停止が原則である(25条1項、38条3項)。

4) 正しい。ここで言う制限規定(10条1項)は、無効確認訴訟には準用されていない(38条参照)。

5) 誤り。このような要件は存在しない。

■行政事件訴訟法(2012−17)【条文知識問題】

行政事件訴訟法9条2項は、平成16年改正において、取消訴訟の原告適格に関して新設された次のような規定である。次の文章の空欄(ア)−(エ)に入る語句の組合せとして正しいものはどれか。

「裁判所は、処分又は裁決の(ア)について前項(行政事件訴訟法9条2項)に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の(イ)並びに当該処分において考慮されるべき(ウ)を考慮するものとする。この場合において、当該法令の(イ)を考慮するに当たつては、当該法令と(エ)を共通にする関係法令があるときはその(イ)をも参酌するものとし、当該(ウ)を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる(ウ)並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。」

1) ア)相手方 イ)趣旨及び目的 ウ)公共の福祉 エ)目的

2) ア)相手方以外の者 イ)目的とする公益 ウ)利益の内容及び性質 エ)趣旨

3) ア)相手方 イ)目的とする公益 ウ)相手方の利益 エ)目的

4) ア)相手方以外の者 イ)趣旨及び目的 ウ)利益の内容及び性質 エ)目的

5) ア)相手方以外の者 イ)目的とする公益 ウ)公共の福祉 エ)趣旨

■解説

【難易度】普通。

9条2項は、次のような規定になっている。

裁判所は、処分又は裁決の(ア相手方以外の者)について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の(イ趣旨及び目的)並びに当該処分において考慮されるべき(ウ利益の内容及び性質)を考慮するものとする。この場合において、当該法令の(イ趣旨及び目的)を考慮するに当たつては、当該法令と(エ目的)を共通にする関係法令があるときはその(イ趣旨及び目的)をも参酌するものとし、当該(ウ利益の内容及び性質)を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる(ウ利益の内容及び性質)並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。

よって正解は4)となる。

■行政事件訴訟法(2012−18)【判例問題】

行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(以下「行政処分」という。)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 医療法の規定に基づき都道府県知事が行う病院開設中止の勧告は、行政処分に該当しない。

2) 地方公共団体が営む簡易水道事業につき、水道料金の改定を内容とする条例の制定行為は、行政処分に該当する。

3) 都市計画法の規定に基づき都道府県知事が行う用途地域の指定は、行政処分に該当する。

4) (旧)関税定率法の規定に基づき税関長が行う「輸入禁制品に該当する貨物と認めるのに相当の理由がある」旨の通知は、行政処分に該当しない。

5) 地方公共団体の設置する保育所について、その廃止を定める条例の制定行為は、行政処分に該当する。

■解説

【難易度】やや難。

1) 誤り。当該勧告は行政指導であるとしつつ、この勧告に従わなければ相当程度の確実さを以て病院開設後保険医療機関の指定を受けることができなくなるという効果をもたらすものとして、勧告に処分性を肯定している(最判平成17年7月15日)。前掲塩野122−123頁、前掲櫻井他269頁。

2) 誤り。条例の制定自体は、行政庁による法の執行としての処分と同視できないという理由で、処分性を否定している(最判平成18年7月14日)。前掲塩野110頁、櫻井他273頁。

3) 誤り。都市計画法に基づく都市計画としての工業地域(用途地域)の指定は、不特定多数者に対する一般的抽象的なものであるとして、処分性は否定されている(最判昭和57年4月22日)。前掲塩野113頁、櫻井他276頁。

4) 誤り。この通知により、当該貨物は適法に輸入できなくなるという法律上の効果が発生しているという点をとらえ、ここにいう通知に処分性を肯定したのが判例である(最判昭和54年12月25日)。前掲塩野116頁、櫻井他272頁。

5) 正しい。最判平成21年11月26日である。当該条例の制定行為が、その施行により保育所が廃止され、保育を受けている児童及び保護者の保育を受けることを期待し得る法的地位を奪うことになる等を理由として、当該制定行為に処分性が肯定された。前掲塩野111頁、櫻井他274頁。

■国家賠償法(2012−19)【判例問題】

以下の文章は、国家賠償法2条1項に言及した最高裁判所判決の一節である。次の記述のうち、この判決の内容と明らかに矛盾するものはどれか。

「国家賠償法二条一項の営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物が有すべき安全性を欠いている状態をいうのであるが、そこにいう安全性の欠如、すなわち、他人に危害を及ぼす危険性のある状態とは、ひとり当該営造物を構成する物的施設自体に存する物理的、外形的な欠陥ないし不備によつて一般的に右のような危害を生ぜしめる危険性がある場合のみならず、その営造物が供用目的に沿つて利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合をも含み、また、その危害は、営造物の利用者に対してのみならず、利用者以外の第三者に対するそれをも含むものと解すべきである。すなわち、当該営造物の利用の態様及び程度が一定の限度にとどまる限りにおいてはその施設に危害を生ぜしめる危険性がなくても、これを超える利用によつて危害を生ぜしめる危険性がある状況にある場合には、そのような利用に供される限りにおいて右営造物の設置、管理には瑕疵があるというを妨げず、したがつて、右営造物の設置・管理者において、かかる危険性があるにもかかわらず、これにつき特段の措置を講ずることなく、また、適切な制限を加えないままこれを利用に供し、その結果利用者又は第三者に対して現実に危害を生ぜしめたときは、それが右設置・管理者の予測しえない事由によるものでない限り、国家賠償法二条一項の規定による責任を免れることができないと解されるのである。」
(最大判昭和56年12月16日民集35巻10号1369頁)

1) 営造物の利用により利用者に損害が発生したとしても、それが営造物の設置・管理者の予測しえない事由による場合には、国家賠償法2条1項の責任が認められないことがある。

2) 国家賠償法2条1項の営造物の設置又は管理の瑕疵には、営造物を構成する物的施設自体に物理的・外形的な欠陥がある場合も含まれる。

3) 営造物の利用により危害を生ぜしめる危険性があり、営造物の設置・管理者が特段の措置を講ずることなくこれを利用に供した場合であっても、利用者又は第三者への損害の発生がなければ国家賠償法2条1項の責任は認められない。

4) 営造物の供用によって利用者に対して危害が生じた場合には国家賠償法2条1項の責任が認められる余地があるが、第三者に対して危害が生じた場合には同項の責任が生じる余地はない。

5) 営造物の利用により危害を生ぜしめる危険性があり、営造物がそのような利用に供されている場合には、営造物を構成する物的施設自体に物理的な瑕疵がなくても、国家賠償法2条1項の営造物の設置又は管理の瑕疵があるということができる。

■解説

【難易度】易しい。過去問のレヴェルで十分対処できる問題である。なお出典元は大阪国際空港事件判決である。

1) 矛盾しない。国家賠償法2条の責任は結果責任ではない。これは「判例、学説のほぼ一致するところである」(前掲塩野363頁)。

2) 矛盾しない。判決文中において、「当該営造物を構成する物的施設自体に存する物理的、外形的な欠陥ないし不備によつて一般的に右のような危害を生ぜしめる危険性がある場合」に営造物の設置、管理の瑕疵がある、と指摘されている。

3) 矛盾しない。判決文中において、「営造物の設置・管理者において、かかる危険性があるにもかかわらず、これにつき特段の措置を講ずることなく、また、適切な制限を加えないままこれを利用に供し、その結果利用者又は第三者に対して現実に危害を生ぜしめたときは」、「国家賠償法二条一項の規定による責任を免れることができないと解される」、と指摘されている。そもそも賠償制度というのは損害の発生要件を要求しているというのは常識であり、判決文を読まなくてもこの肢の妥当性は判断できよう。

4) 矛盾する。過去頻出の肢である。国家賠償法2条責任は、営造物の利用者にとって瑕疵がない場合でも、第三者との関係で被害を発生させる場合にも及ぶ(機能的瑕疵。判決文中にも明示されている)。前掲塩野364−365頁、櫻井他383頁以下。

5) 矛盾しない。判決文中において、「当該営造物の利用の態様及び程度が一定の限度にとどまる限りにおいてはその施設に危害を生ぜしめる危険性がなくても、これを超える利用によつて危害を生ぜしめる危険性がある状況にある場合には、そのような利用に供される限りにおいて右営造物の設置、管理には瑕疵がある」と言い得る、と指摘されている。

■国家賠償法(2012−20)【判例問題】

国家賠償制度に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものはどれか。

1) 国家賠償法4条に定める「民法の規定」には失火責任法(失火ノ責任二関スル法律)も含まれるが、消防署職員の消火活動上の失火による国家賠償責任については、消防署職員が消火活動の専門家であることから、失火責任法の適用はない。

2) 国家賠償法1条1項にいう「公権力の行使」には、公立学校における教師の教育活動が含まれるが、課外クラブ活動中に教師が生徒に対して行う監視・指導は「公権力の行使」には当たらない。

3) 税務署長のした所得税の更正処分が、税務署長が所得金額を過大に認定したとして判決によって取り消された場合、当該更正処分は直ちに国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受ける。

4) 警察官のパトカーによる追跡を受けて車両で逃走する者が事故を起こして第三者に損害を与えた場合、損害の直接の原因が逃走車両の運転手にあるとしても、当該追跡行為は国家賠償法1条1項の適用上違法となり得る。

5) 同一行政主体に属する数人の公務員による一連の職務上の行為の過程で他人に損害が生じた場合、被害者が国家賠償を請求するためには、損害の直接の原因となった公務員の違法行為を特定する必要がある。

■解説

【難易度】やや難。

1) 誤り。国家賠償法4条の「民法」は民法典のみを指すのか民法付属法令をも含むのか。この点につき判例は、民法709条の付属法令である失火責任法は4条の「民法」にあたるとしてその適用を認めている(最判昭和53年7月17日)。この事案は、消防職員が鎮火を確認したものの、残火を見落としておりその後再度発火したというものだが、この見落とし行為が軽過失によるものであれば、失火責任法の適用により国又は公共団体の賠償責任が否定されることになる。これに反し、学説は本肢のように失火責任法の適用を排除する説が有力である。前掲塩野315−316頁、櫻井他390−391頁。

2) 誤り。最判昭和58年2月18日は、公立学校における課外クラブ活動についても国家賠償法1条責任が発生することを前提にしていると解されている。前掲塩野329頁注1。

3) 誤り。所得金額を過大に認定した更正処分が直ちに違法になるのではなく、当該処分をなすにあたり職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正処分をしたという場合、違法の評価を受けるとするのが判例(最判平成5年3月11日)である。前掲塩野339頁、櫻井他370頁。

4) 正しい。但し、当該追跡行為が不必要な場合や、逃走車両の走行態様や道路交通状況から判断して追跡行為が不相当な場合、追跡行為は違法の評価を受けるとするのが判例である(最判昭和61年2月27日)。前掲塩野343頁、櫻井他370頁。

5) 誤り。この場合、一連の行為のうちのいずれかに行為者の故意又は過失によるのでなければ被害は生じなかったことが認められ、かつ、それがどの行為であるにせよ、これによる被害につき行為者が属する国または公共団体が損害を負うべき関係にあるときは、加害行為の不特定を理由として賠償責任を免れることはできない、というのが判例である(最判昭和57年4月1日)。前掲塩野323頁、櫻井他364頁。