■2012年行政書士試験・商法

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■商事留置権(2012−36)【条文知識問題】

商人間において、その双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、当事者の別段の意思表示がない限り、債権者は一定の要件の下で、留置権(いわゆる商人間の留置権)を行使することができる。この「一定の要件」に関する次の記述のうち、商法の規定に照らし、正しいものはどれか。

1) 債権が留置の目的物に関して生じたものではなく、かつ、目的物が債務者との間における商行為によらないで債権者の占有に属した物であってもよいが、目的物が債務者所有の物であることを要する。

2) 留置の目的物が債務者との間における商行為によらないで債権者の占有に属した物であってもよいが、債権が目的物に関して生じたものであり、かつ、目的物が債務者所有の物であることを要する。

3) 債権が留置の目的物に関して生じたものではなく、かつ、目的物が債務者所有の物でなくてもよいが、目的物が債務者との間における商行為によって債権者の占有に属した物であることを要する。

4) 債権が留置の目的物に関して生じたものでなくてもよいが、目的物が債務者との間における商行為によって債権者の占有に属した物であり、かつ、目的物が債務者所有の物であることを要する。

5) 留置の目的物が債務者所有の物でなくてもよいが、債権が目的物に関して生じたものであり、かつ、目的物が債務者との間における商行為によって債権者の占有に属した物であることを要する。

■解説

商事留置権(商法521条)は、民法上(民法295条)の留置権と異なり物と債権の牽連性が必要とされていない、すなわち「その物に関して生じた債権を有する」必要がない。内田貴『民法V』初版(1996年、東大出版会)456頁。

1) 誤り。留置の目的物は、債務者との間における商行為によるものでなければならない。

2) 誤り。留置の目的物は、債務者との間における商行為によるものでなければならない。また、債権自体は目的物に関して生じたものでなくとも良い。

3) 誤り。目的物は債務者の物でなければならない。

4) 正しい。

5) 誤り。留置の目的物は債務者所有のものであることが必要であり、また債権は目的物に関して生じたものである必要はない。

■株式会社の設立(2012−37)【条文知識問題】

株式会社の設立に関する次のア)−オ)の記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。

ア) 発起人以外の設立時募集株式の引受人が金銭以外の財産を出資の目的とする場合には、その者の氏名または名称、目的となる財産およびその価額等を定款に記載または記録しなければ、その効力を生じない。

イ) 発起人が会社のために会社の成立を条件として特定の財産を譲り受ける契約をする場合には、目的となる財産、その価額および譲渡人の氏名または名称を定款に記載または記録しなければ、その効力を生じない。

ウ) 会社の成立により発起人が報酬その他の特別の利益を受ける場合には、報酬の額、特別の利益の内容および当該発起人の氏名または名称を定款に記載または記録しなければ、その効力を生じない。

エ) 会社の設立に要する費用を会社が負担する場合には、定款の認証手数料その他会社に損害を与えるおそれがないものを除いて、定款に記載または記録しなければ、その効力を生じない。

オ) 会社がその成立後2年以内に当該会社の成立前から存在する財産であって事業のために継続して使用するものを純資産の額の5分の1以上に当たる対価で取得する場合には、定款を変更して、目的となる財産、その価額および譲渡人の氏名または名称を定款に記載または記録しなければ、その効力を生じない。

1) ア)、イ)
2) ア)、オ)
3) イ)、ウ)
4) ウ)、エ)
5) エ)、オ)

■解説

ア) 誤り。本肢のような現物出資は発起人のみに認められている。会社法34条1項。28条1号参照。

イ) 正しい。28条2号。

ウ) 正しい。28条3号。

エ) 正しい。28条4号。

オ) 誤り。この場合、株主総会の決議により当該取得行為に係る契約につき承認を得なければならない(467条1項5号)。

よって正解は2)となろう。

■株主の権利(2012−38)【条文知識問題】

公開会社ではない取締役会設置会社であって、監査役設置会社ではない会社の株主の権利に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主は、取締役に対して、株主総会の目的である事項および招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。

2) 取締役が法令または定款に違反する行為をするおそれがある場合で、当該行為によって会社に著しい損害が生じるおそれがあるときには、株主は、当該取締役に対して、当該行為の差止めを請求することができる。

3) 取締役が法令または定款に違反する行為をするおそれがあると認めるときには、株主は、取締役に対して、取締役会の招集を請求することができる。

4) 株主は、その権利を行使するために必要があるときには、会社の営業時間内は、いつでも取締役会議事録の閲覧を請求することができる。

5) 総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主は、その権利を行使するために必要があるときには、裁判所の許可を得て、会計帳簿の閲覧を請求することができる。

■解説

1) 正しい。297条1項。但し6ヶ月議決権を保有しなければならない。

2) 正しい。360条1項。

3) 正しい。367条1項。

4) 正しい。371条2項。

5) 誤り。433条1項。裁判所の許可は必要ではない。

■監査役設置会社等(2012−39)【条文知識問題】

監査役設置会社および委員会設置会社に関する次のア)−オ)の記述のうち、いずれの会社についても、正しいものの組合せはどれか。

ア) 会社を代表する代表取締役または代表執行役は、取締役会で選定しなければならない。

イ) 取締役会決議により、会社の業務の執行を取締役に委任することができる。

ウ) 定款の定めにより、多額の借財の決定を株主総会決議に委ねることができる。

エ) 取締役会決議により、多額の借財の決定を取締役または執行役に委任することができる。

オ) 取締役および社外取締役の員数の要件を満たせば、多額の借財の決定を特別取締役からなる取締役会に委譲することができる。

1) ア)、イ)
2) ア)、ウ)
3) イ)、オ)
4) ウ)、エ) 9
5) エ)、オ)

■解説

ア) 正しい。前者(取締役会設置会社たる監査役設置会社)につき362条2項3号、後者につき420条1項。

イ) 誤り。委員会設置会社の取締役は原則委員会設置会社の業務執行をできない(415条)。一方取締役会設置会社たる監査役設置会社については委任が可能である(363条1項2号)。

ウ) 正しい。295条2項。

エ) 誤り。362条4項2号、。

オ) 誤り。特別取締役の制度は、委員会設置会社については認められていない(373条1項括弧内参照)。

よって正解は2)となろう。

■吸収合併(2012−40)【条文知識問題】

吸収合併に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、正しいものはどれか。

1) 吸収合併は、株式会社と持分会社との間で行うこともできるが、株式会社を消滅会社とする場合には、社員の責任の加重など複雑な法律問題が生じるため、株式会社が存続会社とならなければならない。

2) 吸収合併存続会社は、消滅会社の株主に対して、消滅会社の株式に代えて存続会社の株式を交付し、消滅会社のすべての株主を存続会社の株主としなければならない。

3) 吸収合併存続会社の株主総会において、消滅会社の債務の一部を承継しない旨の合併承認決議が成立しても、債務を承継しない旨の条項は無効であって、すべての債務が存続会社に承継される。

4) 吸収合併存続会社の株主で当該吸収合併に反対した株主が株式買取請求権を行使し、当該会社が分配可能額を超えて自己株式を取得した場合には、当該会社の業務執行者は、取得対価につき支払義務を負う。

5) 財務状態の健全な会社を存続会社として吸収合併を行う場合には、消滅会社の債権者の利益を害するおそれがないことから、消滅会社の債権者は、消滅会社に対し、当該合併について異議を述べることはできない。

■解説

1) 誤り。持分会社が存続会社となる場合も認められている(751条)。

2) 誤り。消滅会社の株主に対し存続会社の株式を交付する以外に、株式等に代わる金銭の交付も認められる(751条1項)。

3) 正しい。750条1項、752条1項。

4) 誤り。確かに464条1項のような規制は存在するが、これは吸収合併について適用をみない。

5) 誤り。異議を述べることは可能である(789条)。