■2011年行政書士試験・民法2(債権)

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■連帯債務、連帯保証(2011−31)【条文知識問題】

連帯債務および連帯保証に関する次のア)−オ)の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア) 連帯債務において、連帯債務者の1人が債権者に対して債権を有する場合には、その連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分についてのみ他の連帯債務者は相殺を援用することができる。これに対し、連帯保証において、主たる債務者が債権者に対して債権を有する場合には、連帯保証人は、主たる債務者が債権者に対して有する債権による相殺をもって、相殺適状にあった全額について債権者に対抗することができる。

イ) 連帯債務において、債権者が連帯債務者の1人に対して債務を免除した場合には、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者は債務を免れる。これに対し、連帯保証において、債権者が連帯保証人に対して債務を免除した場合には、主たる債務者はその債務の全額について免れることはない。

ウ) 連帯債務において、連帯債務者の1人のために消滅時効が完成した場合には、他の連帯債務者はこれを援用して時効が完成した債務の全額について自己の債務を免れることができる。これに対し、連帯保証において、連帯保証人のために時効が完成した場合には、主たる債務者はこれを援用して債務を免れることはできない。

エ) 連帯債務において、債権者が連帯債務者の1人に対してした債務の履行の請求は、他の債務者にも効力を生じる。これに対し、連帯保証において、債権者が連帯保証人に対してした債務の履行の請求は、主たる債務者に対して効力が生じることはなく、主たる債務の時効は中断しない。

オ) 連帯債務において、連帯債務者の1人が債務の全額を弁済した場合には、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償することができる。これに対し、連帯保証において、連帯保証人の1人が債務の全額を弁済した場合には、その連帯保証人は、他の連帯保証人に対し、求償することはできない。

1) ア)、イ)

2) イ)、エ)

3) イ)、オ)

4) ウ)、エ)

5) ウ)、オ)

■解説

【難易度】やや難しい。

ア) 正しい。連帯債務については民法436条、連帯保証については457条2項。野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)132、152頁。

イ) 正しい。連帯債務については437条。一方連帯保証人についての免除は、主たる債務者には影響しないので、本肢のようになる(458条は437条を準用するものの、連帯保証人には負担部分がないので、負担部分の存在を前提とする同条を準用する余地がない)。前掲野村他133、161頁。

ウ) 誤り。連帯債務については、「負担部分について自己の債務を免れることができる」(439条)、のである。連帯保証については正しい説明となっている。この場合も、イ)と同様458条による439条の準用の余地はない。

エ) 誤り。連帯債務については正しい(434条)。一方連帯保証人に対する履行の請求は、主たる債務者に対しても効力が及ぶ(458、434条)結果、時効は中断する(147条1号)。

オ) 誤り。連帯債務については正しい(442条1項)。一方連帯保証の場合も求償は可能である(465、442条)。

よって正解は1)のア)、イ)となろう。

■契約総合(2011−32)【判例問題】

契約類型に応じた契約解除の相違に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1) 贈与契約において、受贈者が、受贈の見返りとして贈与者を扶養する義務を負担していたにもかかわらず、この扶養する義務の履行を怠る場合には、贈与者は、贈与契約を解除することができる。

2) 売買契約において買主から売主に解約手付が交付された場合に、売主が売買の目的物である土地の移転登記手続等の自己の履行に着手したときは、売主は、まだ履行に着手していない買主に対しても、手付倍返しによる解除を主張することはできない。

3) 賃貸借契約において、賃借人の賃借物に対する使用方法が著しく信頼関係を破壊するものである場合には、賃貸人は、催告を要せずにただちに契約を解除することができる。

4) 委任契約において、その契約が受任者の利益のためにもなされた場合であっても、受任者が著しく不誠実な行動に出た等のやむを得ない事情があるときはもちろん、また、そのような事情がないときでも、委任者が解除権自体を放棄したとは解されないときは、委任者は、自己の利益のためになお解除権を行使することができる。

5) 建物の工事請負契約において、工事全体が未完成の間に注文者が請負人の債務不履行を理由に契約を解除する場合には、工事内容が可分であり、しかも当事者が既施工部分の給付に関し利益を有するときは、既施工部分については契約を解除することができず、未施工部分について契約の一部解除をすることができるにすぎない。

■解説

【難易度】普通。

1) 正しい。忘恩行為が問題となる事案であるが、判例は、贈与の見返りとしての扶養義務という負担の不履行を理由に、贈与契約の解除を認めた(最判昭和53年2月17日。但し判例は忘恩行為構成ではなく、負担付贈与構成をとり、553条が準用する541条による解除を認めた)。藤岡−磯村−浦河−松本他『民法W』第3版補訂(2009年、有斐閣)58頁。

2) 誤り。よってこれが正解である。民法557条は、「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる」と規定するが、ここでの問題は着手した側が、未だ着手していない側に向かって解除できるかである。判例はこの点肯定的判断をしている(最大判昭和40年11月24日)。前掲藤岡他70頁。

3) 正しい。信頼関係法理である。最判28年9月25日、前掲藤岡他129頁。

4) 正しい。委任事務が「受任者の利益のためにもなされた場合」、651条による解除を認めないのが判例であるが(大判大正9年4月24日)、ここでいう「やむを得ない事情があるとき」や委任者が解除権を放棄したとまでの状況がない場合、同条による解除が認められる(最判昭和43年9月20日、最判昭和56年1月19日)としている。前掲藤岡他188−189頁。

5) 正しい。大判昭和7年4月30日である。

■事務管理(2011−33)【判例、条文知識問題】

Aの隣人であるBは、Aの不在の間に台風によってA所有の甲建物(以下、「甲」という。)の屋根が損傷したため修繕を行った。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) Bは、Aからあらかじめ甲の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、Aのために修繕を行ったが、強風に煽られて屋根から落下してしまい、受傷した。この場合に、Bは、Aに対して損害賠償を請求することができない。

2) Bは、Aから不在中における甲の管理を頼まれていたために修繕を行ったが、屋根から下りる際にBの不注意により足を滑らせて転倒し受傷した。この場合に、Bは、Aに対して損害賠償を請求することができる。

3) Bは、Aからあらかじめ甲の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、Aのために修繕を行ったが、それがAにとって有益であるときは、Bは、Aに対して報酬を請求することができる。

4) Bは、Aからあらかじめ甲の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、工務店を営むCに修繕を請け負わせた。このようなBの行為は、Aのための事務管理にあたるから、これによりCは、Aに対して工事代金の支払いを直接に請求することができる。

5) Bは、Aからあらかじめ甲の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、工務店を営むCに修繕を請け負わせたが、実はAがCによる修繕を望んでいないことが後になって判明した。このような場合、甲にとって必要不可欠な修繕であっても、Bは、Aに対してその費用の支払いを請求することができない。

■解説

【難易度】普通。

1) 正しい。管理者が管理にあたり過失なくしてこうむった損害については、本人に賠償請求できないと解されている(650条3項と比較せよ)。前掲藤岡他388頁。

2) 誤り。この場合、自己の過失で足を滑らせた、というのであるから、受任者Bは委任者Aに損害賠償請求をできない(650条3項)。なお本肢は、事務管理ではなく準委任の事案である。民法は「事実行為」の委任を準委任として、「法律行為の委任」(643条)についての規定を準用している(656条)。前掲藤岡他182頁。

3) 誤り。事務管理者に報酬請求権はない。前掲藤原他383頁。但しこの場合、本人は管理者が支出した有益費の償還義務を負う(702条1項)。前掲藤岡他387頁。

4) 誤り。この場合、Bが「自己の名」でCに修繕を請け負わせたか、それとも「Aの名」で請け負わせたか、2通りの場合を考え得るが、前者では請負の効果はBに帰属するし、後者の場合は無権代理となる。原則どちらにしろAに工事請負契約の効果は帰属しないので、CはAに工事代金の支払いを直接求めることはできない。但し後者の場合、表見代理が成立するか、無権代理をAが追認すれば、CはAへの直接的な請求をなし得るが、本肢からはそこまでの記述は読み取れない。最判昭和36年11月30日。前掲藤岡他389頁。 。

5) 誤り。この場合、Aが「現に利益を受けている限度において」その費用を償還できる(702条3項)。前掲藤岡他388頁。

■請負(2011−34)【条文知識問題】

次のア)−エ)の記述は、木造建物建築工事についての発注者Aと受注者Bとの間で締結された請負契約の約定の一部である。このうち、約定の内容が、民法の規定の内容と異なるもの、または民法に規定されていないものの組合せとして妥当なものはどれか。

ア) Aの請負代金の支払いは、Bの本契約の目的物の引渡しと同時になされるものとする。

イ) Aは、本契約の目的物に瑕疵があるときは、その瑕疵の補修(修補)に代え、または補修(修補)とともに、瑕疵に基づく損害賠償をBに求めることができる。

ウ) 工事の遅延が、不可抗力によるとき、または正当な理由があるときは、Bは、速やかにその事由を示して、Aに工期の延長を求めることができる。

エ) Bの責めに帰すことができない工事の遅延または中止があるときは、Bは、この契約を解除することができる。

1) ア)、イ)

2) ア)、エ)

3) イ)、ウ)

4) イ)、エ)

5) ウ)、エ)

■解説

【難易度】普通。

ア) 民法と同様である。633条本文。

イ) 民法と同様である。634条2項。

ウ) 民法に規定はない。

エ) 民法に規定はない。よって正解は5)になろう。