■2011年行政書士試験・行政組織法

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■公物法(2011−24)【理論問題】

公物に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 自然公物については、自然のままにおいて公共の用に供されていると解されるので、公用開始という観念は成り立ちえない。

2) 公物の公用開始行為は、特定の私人を名あて人とするものではないが、行政法学でいう行政行為の一種である。

3) 公物の公用廃止については、明示的な廃止処分によることなく、黙示で廃止されたものとみなされることもある。

4) 私人所有の財産が公物として公用開始の対象に含まれていた場合、公用開始の効力は当該財産に関する部分について当然に無効となる。

5) 公用開始後の公物の供用行為が利用者との関係で適正であっても、第三者に対して損害を及ぼせば、当該公物の管理者は損害賠償責任を負う。

■解説

【難易度】普通。

1) 正しい。「国又は地方公共団体が直接に公のために供用する有体物」を公物というが(塩野宏『行政法V』第2版〔2001年、有斐閣〕270頁参照)、自然公物は、本来自然のままにおいて公共の用に供されているので、公用開始(公物を成立させること)の余地はない。前掲塩野290頁。

2) 正しい。この点争いがあるものの、公用開始行為は、私人(公衆)を名宛人とする行政行為の1種と解するのが、通説、判例である。前掲塩野291頁。

3) 正しい。最判昭和51年12月24日である。過去にも出題されている(2000年10問)。前掲塩野288ー289頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)34−35頁。

4) 誤り。よってこれが正解である。私人所有の財産を、私人に所有権を残したまま公用開始をすることもあるので(私有公物)、「当然に無効となる」という説明が間違っている。前掲塩野287−288頁。

5) 正しい。公物法よりも国家賠償法で頻出の肢である。空港が引き起こす騒音問題が良い例であろうか(機能的瑕疵の問題)。前掲塩野299頁、櫻井他383頁以下。2009年19問参照。

■安全配慮義務(2011−25)【判例問題】

次の文章は、公務員に対する国の損害賠償責任の成立が争点となった事案の最高裁判所判決の一節である。空欄(ア)−(エ)に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。

思うに、国と国家公務員…との間における主要な義務として、法(国家公務員法、自衛隊法)は、公務員が(ア)義務…並びに法令及び上司の命令に従うべき義務…を負い、国がこれに対応して公務員に対し(イ)義務…を負うことを定めているが、国の義務は右の…義務にとどまらず、国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたつて、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務…を負つているものと解すべきである。(中略)右のような(ウ)義務は、ある法律関係に基づいて(エ)の関係に入つた当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものであつて、国と公務員との間においても別異に解すべき論拠はなく、(後略)。
(最三小判昭和50年2月25日民集29巻2号143頁以下)

1) ア) 品位を保持する イ) 身分保障 ウ) 危険防止 エ) 特別な社会的接触

2) ア) 職務に専念すべき イ) 給与支払 ウ) 安全配慮 エ) 特別な社会的接触

3) ア) 職務に専念すべき イ) 身分保障 ウ) 安全配慮 エ) 特別な権力

4) ア) 品位を保持する イ) 給与支払 ウ) 安全配慮 エ) 特別な権力

5) ア) 職務に専念すべき イ) 給与支払 ウ) 危険防止 エ) 特別な権力

■解説

【難易度】普通。

公務員に対する国の、ウ)安全配慮義務の成立が問題となった事案である。この事案は、公務中死亡した自衛官の遺族が、国に対する賠償請求をしようとしたが、すでに時効期間(724条)が過ぎていたため、遺族側が契約責任の1つである安全配慮義務という法律構成(時効期間を10年にできる。なお本判例が、会計法30条による消滅時効の成立について否定している点には注意)で賠償請求したというものである。内田貴『民法V』初版(1996年、東大出版会)121頁以下。

正解は2)である。ア)、イ)については国家公務員法62条以下、101条。

■複合問題(2011−26)【判例問題】

次のア)−エ)の記述のうち、道路をめぐる裁判に関する最高裁判所の判決の要旨として、正しいものの組合せはどれか。

ア) 里道は住民に個別的具体的な利益をもたらすものではなく、その用途廃止により住民の生活に支障が生じるとしても、住民に里道の用途廃止処分の取り消しを求めるについての原告適格が認められる余地はない。

イ) 道路が権原なく占有された場合には、当該道路の道路管理者は、占有者に対し、占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得する。

ウ) 建築基準法42条2項によるいわゆる二項道路の指定が一括指定の方法でされた場合、これによって直ちに個別の土地について具体的な私権制限が生じるものでないから、当該指定は抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない。

エ) 国道の改築工事として地下横断歩道が設置された結果、消防法違反の状態となったガソリンタンクを移設しなければならなくなった場合、その移設にかかった費用は、損失補償の範囲には含まれない。

1) ア)、イ)

2) ア)、エ)

3) イ)、ウ)

4) イ)、エ)

5) ウ)、エ)

■解説

【難易度】やや難しい。

ア) 誤り。最判昭和62年11月24日は、里道の用途廃止の結果各方面への交通が妨げられる等その生活に著しい支障が生ずるような特段の事情があるといえないときは、里道用途廃止処分取消についての原告適格は認められない、としている。つまりここでいう特段の事情があれば原告適格は認められるわけである。

イ) 正しい。最判平成16年4月23日。道路上にはみ出す状態で存在する自販機をめぐって、都が占有料相当額を請求しない不作為が問題となった事案である。

ウ) 誤り。同条項のみなし道路の一括指定に付き、処分性を認めるのが判例である。塩野宏『行政法U』第4版(2005年、有斐閣)101頁。

エ) 正しい。ガソリンタンクは道路から一定距離以上を保った場所でなければ設置ができないが、道路が拡張した等の理由で移転を余儀なくされた場合、その移設費用はタンク設置者が負うとするのが判例である(最判昭和58年2月18日)。前掲塩野330頁、櫻井他395頁。

よって正解は、4)のイ)、エ)となろう。