■2011年行政書士試験・商法

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■商法総則、名板貸し株主の権利(2011−36)【条文知識問題】

商人Aが、商人Bに対してAの商号をもって営業を行うことを許諾したところ、Aの商号を使用したBと取引をした相手方Cは、当該取引(以下、「本件取引」という。)を自己とAとの取引であると誤認した。本件取引の相手方の誤認についてCに過失がなかった場合、A・B・C間の法律関係に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 契約はAとCの間で成立し、Aが本件取引によって生じた債務について責任を負うが、CはBに対しても履行の請求をすることができる。

2) 契約はAの商号を使用したBとCの間で成立するが、AはBと連帯して本件取引によって生じた債務について責任を負う。

3) 契約はAとCの間で成立するが、BはAと連帯して本件取引によって生じた債務について責任を負う。

4) 契約はAの商号を使用したBとCの間で成立するが、Aは本件取引によって生じた債務について半分の割合で責任を負う。

5) Cは、本件取引における契約の相手方がAであるかBであるかを選択することができるが、一方を選択した場合は他方との契約関係の存在を主張できない。

■解説

商法14条の解釈問題である。本問題では@契約はCと誰との間に成立するか、A名板貸しの効果の2点が問題となる。

14条 自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。

@については、契約はB−C間で成立する(この点は常識で判別できる筈である)が、ABにAの商号の利用を許したAは、Bと連帯してCに対して契約責任を負う、ということになる。正解は2)である。

■創立総会(2011−37)【条文知識問題】

株式会社の設立手続における創立総会に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 設立時取締役は、募集株式の払込期日または払込期間経過後、設立登記の前までに、創立総会を招集しなければならない。

2) 創立総会においては、株主総会で認められている書面による議決権行使や電磁的方法による議決権行使はできない。

3) 創立総会における普通決議は、株主総会における普通決議と同じく、定款に別段の定めがない限り、議決権の過半数を有する設立時株主が出席し、出席した設立時株主の議決権の過半数の賛成により成立する。

4) 発起人、設立時取締役または設立時監査役が株式会社の設立にあたり任務を怠り、会社に損害を生じさせた場合には、創立総会の決議によっても、会社に対する責任を免除することはできない。

5) 創立総会での決議により定款が変更された場合には、当該決議に反対した設立時株主は、会社成立後において、当該株式の買取りを請求することができる。

■解説

1) 誤り。創立総会を招集するのは発起人である(会社法65条1項)。

2) 誤り。書面、電磁的方法による議決権の行使共に認められている(75、76条)。

3) 誤り。創立総会における普通決議は、「当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う」(73条1項)。

4) 正しい。54条の責任は、総株主の同意がなければ免除できず、創立総会決議ではこれをすることができない(55条)。

5) 誤り。創立総会決議で定款を変更することは可能であるが(96条)、当該決議に反対した設立時株主は「当該決議後2週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる」(97条)が正しい。

■株式の取得(2011−38)【条文知識問題】

株式取得に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1) 株式会社は、合併および会社分割などの一般承継による株式の取得について、定款において、当該会社の承認を要する旨の定めをすることができる。

2) 譲渡制限株式の譲渡を承認するか否かの決定は、定款に別段の定めがない限り、取締役会設置会社では取締役会の決議を要し、それ以外の会社では株主総会の決議を要する。

3) 承認を受けないでなされた譲渡制限株式の譲渡は、当該株式会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡の当事者間では有効である。

4) 株式会社が子会社以外の特定の株主から自己株式を有償で取得する場合には、取得する株式の数および特定の株主から自己株式を取得することなどについて、株主総会の特別決議を要する。

5) 合併後消滅する会社から親会社株式を子会社が承継する場合、子会社は、親会社株式を取得することができるが、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない。

■解説

1) 正しい。同族会社で見られるような譲渡制限株式について、当該会社の承認を要する定めを定款におくことができるが、この定めとの関係で問題となるのは譲渡のような特定承継であり、一般承継は問題にはならない。

2) 正しい。同族会社で見られるような譲渡制限株式については、2条17号、107、108条。、決議については139条1項。

3) 正しい。最判昭和48年6月15日。神田秀樹『会社法』第11版(2009年、弘文堂)90頁。

4) 正しい。309条2項2号。。

5) 正しい。135条2項2号、3項。

■取締役(2011−39)【条文知識問題】

株式会社における取締役に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 委員会設置会社以外の会社の取締役は、当該会社の支配人その他の使用人を兼任することができる。

2) 取締役会設置会社の代表取締役以外の取締役には、当該会社の代表権も業務執行権も当然には与えられていない。

3) 取締役会設置会社以外の会社の取締役は、代表取締役が他に選定されても、業務執行権は当然には消滅しない。

4) 業務執行権のない子会社の取締役は、親会社の株主総会決議にもとづき、親会社の社外取締役を兼任することができる。

5) 取締役会決議により特別取締役に選定された取締役は、取締役会決議のうち特定事項の決定にのみ専念し、それ以外の決議事項の決定には加わらない。

■解説

1) 正しい。委員会設置会社の取締役は、ここで言う兼任はできない(331条3項)。

2) 正しい。349条1項但書、363条1項1号参照。

3) 正しい。348条1項。

4) 正しい。2条15号参照。

5) 誤り。特別取締役に選定された取締役は、取締役会から委任された特定事項について自己の決議でこれを行うことができるが(373条)、特別取締役も取締役の一人であるから、取締役会の構成員としての決定にも加わることができる(362条)。

■剰余金の配当(2011−40)【条文知識問題】

会社法上の公開会社の剰余金の配当に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 剰余金の配当は、確定した計算書類およびこれに準ずる計算書類を基礎に、同一事業年度内に何度でも行うことができる。

2) 剰余金の配当について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款に定めることは、株主平等原則に反して許されない。

3) 委員会設置会社は、株主総会の承認に代えて、取締役会で剰余金の配当を決定することができる旨の定款の定めを置くことができる。

4) 配当される財産は金銭に限定されないが、現物でのみ配当する場合には、株主総会の特別決議が必要である。

5) 剰余金配当請求権は、株主が会社から直接経済的利益を受ける重要な権利であるため、剰余金配当請求権を付与しない旨の定款の定めを置くことは許されない。

■解説

1) 正しい。このように解されている。。

2) 正しい。109条。前掲神田66頁。なお株主間(株式間、種類株式の場合は種類株式間)の平等については454条3項参照。前掲神田268頁。

3) 正しい。459条。前掲神田268−269頁。なお中間配当について454条5項。

4) 正しい。309条2項10号。前掲神田268頁。

5) 誤り。株主に、剰余金の配当を受け取る権利及び残余財産の分配を受ける権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない(105条2項)のだから、どちらか一方を付与しないという定款の定めは許されることになる。