■2011年行政書士試験・法令記述式問題

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■行政法、即時強制(2011−44)【理論問題】

以下に引用する消防法29条1項による消防吏員・消防団員の活動(「破壊消防」と呼ばれることがある)は、行政法学上のある行為形式(行為類型)に属するものと解されている。その行為形式は、どのような名称で呼ばれ、どのような内容のものと説明されているか。40字程度で記述しなさい。

消防法29条1項
消防吏員又は消防団員は、消火若しくは延焼の防止又は人命の救助のために必要があるときは、火災が発生せんとし、又は発生した消防対象物及びこれらのものの在る土地を使用し、処分し又はその使用を制限することができる。

■解説

【難易度】やや難しい。「破壊消防」という言葉から即時強制を思い出すことは容易だが、その定義をきちんと書くという作業は少し難しかったと思われる。

行政上の義務履行を確保する手段には、「強制執行」と「即時強制」がある。前者は「将来の義務履行確保」をねらいとしており(その点で過去の義務違反が問題となる行政罰と区別される)、代執行、執行罰、直接強制の3種がある。一方即時強制は、義務の不履行を前提としない点で強制執行と区別される。田中二郎『行政法上』新版全訂第2版(1974年、弘文堂)168頁以下。

「即時強制と呼ばれ、相手方に義務を課さずに身体や財産に実力を行使し行政目的の実現を図るもの。」(45文字)

定義については、塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)252頁を参考にした。

■民法、抵当権(2011−45)【条文知識問題】

Aの抵当権(登記済み)が存する甲土地をその所有者Bから買い受け、甲土地の所有権移転登記を済ませたCは、同抵当権を消滅させたいと思っている。抵当権が消滅する場合としては、被担保債権または抵当権の消滅時効のほかに、Cが、Bの債権者である抵当権者Aに対し被担保債権額の全部をBのために弁済することが考えられるが、そのほかに、抵当権が消滅する場合を2つ、40字程度で記述しなさい。

■解説

【難易度】普通。

抵当権の消滅原因は以下の通りである。淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』第2版(2001年、有斐閣)285頁以下参照。

1.物権に共通する消滅原因(目的物の滅失、混同等)
2.担保物権に共通する消滅原因(被担保債権の弁済等)
3.代価弁済(378条)
4.抵当権消滅請求(379条)
5.抵当権の消滅時効、抵当権の目的物の取得時効(396、397条参照)

本問題では3と4を記述することになろう。
「抵当権者Aの請求に応じCが甲土地の代価を弁済する場合と、Cが抵当権消滅請求をする場合。」(43文字)

■民法、代理等(2011−46)【条文知識問題】

作家Yに雇用されている秘書Aは、Y名義で5万円以下のYの日用品を購入する権限しか付与されていなかったが、Yに無断でXからYのために50万円相当の事務機器を購入した。しかし、Xは、Aに事務機器を購入する権限があるものと信じて取引をし、Yに代金の支払いを請求したところ、Yはその支払いを拒絶した。このようなYの支払い拒絶を不当と考えたXは、Yに対して、支払いの請求、およびそれに代わる請求について検討した。この場合において、Xは、どのような根拠に基づき、いかなる請求をすればよいか。「Xは、Yに対して、」に続けて、考えられる請求内容を2つ、40字程度で記述しなさい。

■解説

【難易度】普通。

@「5万円以下…購入する権限…50万円相当の事務機器を購入」。Aは、Yから代理権を付与されているが、その代理権の範囲を超える取引をしたということである。この場合、事務機器売買契約の効果をYに帰属させ代金の請求をするには、Xは権限踰越の表見代理(110条)を主張すればよい。

A「作家Yに雇用されている秘書A」。Yは自分の作家業のためにAを用い、Xに損害を発生させているのであるから、Yの使用者責任が問題になる。
(但し表見代理、使用者責任共に成立要件すべてを備えているか問題文からは不明である)。

Xは、Yに対して、
「権限踰越の表見代理に基づく代金支払請求と、使用者責任に基づく損害賠償請求を請求する。」(42文字)