■2010年行政書士試験・法令科目多肢選択式

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■法令の効力関係(2010−41)【条文知識問題】

次の文章の空欄(ア)−(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1−20)から選びなさい。

…憲法以下の法令相互の効力関係を定めることも、憲法のなすべき事項の範囲に属する。憲法は、(ア)・(イ)などの制定権をそれぞれ特別の(ウ)に授権すると同時に、それらの法令の効力関係をも定めなければならない。明治憲法には、(ア)と(イ)との効力関係について、第九条但書に、「(イ)ヲ以テ(ア)ヲ変更スルコトヲ得ス」とあり、第八条に、緊急(イ)は、(ア)に代わる効力をもつ旨を示す規定があった。日本国憲法には、そのような明文の規定はない。政令と(ア)、最高裁判所規則と(ア)、地方公共団体の条例と(ア)・(イ)など、個々の場合について、憲法の趣旨を考えてみるより仕方がない。

例えば、政令と(ア)との関係においては、憲法は、(エ)を唯一の立法(ウ)とし、また、政令としては、(ア)の規定を実施するための政令、いわゆる執行(イ)的政令と、(ア)の委任にもとづく政令・いわゆる委任(イ)的政令としか認めていないから、一般に政令の効力は(ア)に劣るとしているものと解せられ、最高裁判所規則と(ア)との関係においては、憲法は、国民の代表(ウ)であり、国権の最高(ウ)、かつ、唯一の立法(ウ)である(エ)の立法として、憲法に次ぐ形式的効力を与えている(ア)に優位を認めているものと解せられる。
(出典 清宮四郎『憲法T』〔第3版〕より)

1) 主体 2) 内閣 3) 条約 4) 権力 5) 慣習法

6) 憲法付属法 7) 機関 8) 天皇 9) 命令 10) 判例

11) 公務員 12) 法規 13) 国会  14) 詔勅 15) 習律

16) 官職 17) 内閣総理大臣 18) 法律 19) 通達 20) 行政各部

■解説

【難易度】易しい。行政書士試験の勉強ではまず読まれないであろう、有斐閣法律学全集の清宮著からの出題ではあるが、条文知識があればまず正解できる問題である。

ア) 18)「法律」。

イ) 9)「命令」。

ウ) 7)「機関」。

エ) 13)「国会」。

ア)、ウ)、エ)については、問題文最後から3行の部分がヒントになる。この記述から、「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」(41条)という条文を思い出せば、ウ)とエ)に「機関」と「国会」が入ることが分かる。エ)が穴埋めできれば、「(エ国会)の立法として−中略−(ア)に優位を認めている」、つまり国会の立法たる「法律」がア)に入るのが分かる。

残りのイ)には、「いわゆる執行(イ)的政令と、(ア法律)の委任にもとづく政令・いわゆる委任(イ)的政令としか認めていない」という記述から、委任命令、執行命令という事を思い出せれば、「命令」が入ることが分かる。

■原告適格(2010−42)【条文知識問題】

取消訴訟の原告適格に関する次の文章の空欄(ア)−(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1−20)から選びなさい。

平成16年(2004年)の行政事件訴訟法(以下、「行訴法」という。)改正のポイントとして、取消訴訟の原告適格の拡大がある。

取消訴訟の原告適格につき、行訴法9条(改正後の9条1項)は、「処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき(ア)を有する者……に限り、提起することができる。」と定めているが、最高裁判例は、ここでいう「当該処分の取消し求めるにつき『(ア)を有する者』とは、当該処分により自己の権利若しくは(イ)を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう」と解してきた。

しかしながら、裁判実務上の原告適格の判断が狭いとの批判があり、平成16年改正により新たに行訴法9条に第2項が加えられ、「裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する(ア)の有無を判断するに当たっては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき(ウ)の内容及び性質を考慮するものとする」ことが規定された。そしてこの9条2項は、(エ)の原告適格についても準用されている。

1) 差止め訴訟 2) 法律上の利益 3) 権限 4) 憲法上保護された利益 5) 事実上の利益

6) 住民訴訟 7) 実質的当事者訴訟 8) 損害 9) 利益 10) 法律上保護された利益

11) 訴訟上保護された利益 12) 立法目的 13) 訴訟上の利益  14) 公益 15) うべかりし利益

16) 不作為の違法確認訴訟 17) 法的地位 18) 公共の福祉 19) 紛争 20) 形式的当事者訴訟

■解説

【難易度】普通。イ)、ウ)に入れる語句の判別がやや難しいかもしれない。

ア) 2)「法律上の利益」。「処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者…に限り、提起することができる」(行政事件訴訟法9条1項)。

イ) 10)「法律上保護された利益」。9条の「法律上の利益を有する者」の解釈論については、「法律上保護された利益説」(原告適格の範囲について、被侵害利益を処分の根拠法規が保護しているかで判断する)と「法律上保護に値する利益説」(原告適格の範囲につき、原告の利益は法律によって保護されたものに限定されず、事実上の利益でも足りる)の対立があるが、判例は前説にたつ。塩野宏『行政法U』第4版(2005年、有斐閣)116頁以下参照。

ウ) 9)「利益」。9条2項は、「裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する(ア法律上の利益の有無)を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき(ウ利益)の内容及び性質を考慮するものとする」と定める。改正法については、前掲塩野124頁以下参照。

エ) 1) 差止め訴訟。37条の4第4項。なお37条の2第4項も参照。

■裁量統制(2010−43)【判例問題】

次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄(ア)−(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1−20)から選びなさい。

原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な(ア)及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に(イ)があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、右(ア)において用いられた具体的(ウ)に(イ)があり、あるいは当該原子炉施設が右の具体的(ウ)に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の(ア)及び(エ)に看過し難い過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁の右判断に(イ)があるものとして、右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法と解すべきである。

原子炉設置許可処分についての右取消訴訟においては、右処分が前記のような性質を有することにかんがみると、被告行政庁がした右判断に(イ)があることの主張、立証責任は、本来、原告が負うべきものと解されるが、当該原子炉施設の安全審査に関する資料をすべて被告行政庁の側が保持していることなどの点を考慮すると、被告行政庁の側において、まず、その依拠した前記の具体的(ウ)並びに(ア)及び(エ)等、被告行政庁の判断に(イ)のないことを相当の根拠、資料に基づき主張、立証する必要があり、被告行政庁が右主張、立証を尽くさない場合には、被告行政庁がした右判断に(イ)があることが事実上推認されるものというべきである。
(最一小判平成4年10月29日民集46巻7号1174頁以下)

1) 妥当性 2) 要綱 3) 重大な事実の誤認 4) 予見可能性 5) 合理性

6) 審査基準 7) 答申 8) 不合理な点 9) 重大かつ明白な瑕疵 10) 判断枠組み

11) 省令 12) 事業計画 13) 勧告  14) 判断の過程 15) 政令

16) 根拠事実 17) 調査審議 18) 裁量の余地 19) 法令違背 20) 知見

■解説

【難易度】難しい。

伊方原発訴訟(最判平成4年10月29日)からの出題である。問題文、判決文自体が難しくかなり分かりずらいかもしれない。

この事件は色々な論点を含んでいるが、判決文ではまず@裁量統制の方法、手続的裁量統制を問題としている。ここでは、大雑把に言うと「裁判所が行政行為の内容的当否を自らの判断で決定する」(原子炉設置許可処分の当否。実体判断の当否)のではなく、裁判所は、実体判断の前提である「行政庁の判断形成過程」の当否を審査することで、行政庁の裁量行使を統制していく、という点が問題となっている(参照、原田尚彦『行政法』第3次改訂版〔2001年、学陽書房〕84−85頁)。

以上を前提にすると以下の部分はある程度は埋められるだろうか。

原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な(ア調査審議)及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に(イ不合理な点)があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、右(ア調査審議)において用いられた具体的(ウ審査基準)に(イ不合理な点)があり、あるいは当該原子炉施設が右の具体的(ウ審査基準)に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の(ア調査審議)及び(エ判断過程)に看過し難い過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁の右判断に(イ不合理な点)があるものとして、右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法と解すべきである。

判決文では、次にA立証責任に関して述べられている。

原子炉設置許可処分についての右取消訴訟においては、右処分が前記のような性質を有することにかんがみると、被告行政庁がした右判断に(イ不合理な点)があることの主張、立証責任は、本来、原告が負うべきものと解されるが、当該原子炉施設の安全審査に関する資料をすべて被告行政庁の側が保持していることなどの点を考慮すると、被告行政庁の側において、まず、その依拠した前記の具体的(ウ審査基準)並びに(ア調査審議)及び(エ判断過程)等、被告行政庁の判断に(イ不合理な点)のないことを相当の根拠、資料に基づき主張、立証する必要があり、被告行政庁が右主張、立証を尽くさない場合には、被告行政庁がした右判断に(イ不合理な点)があることが事実上推認されるものというべきである。

立証責任については、民事訴訟法では法律要件分類説が通説であるが、行政事件訴訟法では定説がない(塩野宏『行政法U』第4版〔2005年、有斐閣〕144頁以下参照)。この点につきこの判例は、立証責任を原則原告(国民)としつつ、原告の主張立証の軽減をはかった(前傾塩野149頁参照)、と解されている。