■2010年行政書士試験・行政救済法

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■行政不服審査法(2010−14)【条文知識問題】

行政不服審査法に基づく審査請求に関する次の記述のうち、正しいものはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

1) 審査請求は、他の法律や条例において審査請求書でしなければならない旨の定めがある場合を除き、口頭ですることができる。

2) 審査請求は、代理人によってもすることができるが、その場合は、審査請求人が民法上の制限行為能力者である場合に限られる。

3) 代理人は、審査請求人のために、当該審査請求に関する一切の行為をすることができるが、審査請求の取下げについては特別の委任を要する。

4) 処分について不服申立適格を有するのは、処分の相手方に限られ、それ以外の第三者は、法律に特別の定めがない限り、不服申立適格を有しない。

5) 行政不服審査法に基づく審査請求は、行政庁の処分の他、同法が列挙する一定の行政指導についても行うことができる。

■解説

【難易度】

1) 誤り。原則と例外が逆転している。審査請求は、「他の法律(条例に基づく処分については、条例)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、政令で定めるところにより、審査請求書を提出してしなければならない」(行政不服審査法19条1項)。

2) 誤り。特にこの様な制限はないと思われる。

3) 正しい。12条2項。

4) 誤り。審査請求は、「行政庁の処分に不服がある者」(2条)であれば提起することができる。この「不服がある者」には、処分の相手方ばかりでなく第三者も含むとされている。石川敏行『はじめて学ぶプロゼミ行政法』改訂版(2000年、実務教育出版)261頁。

5) 誤り。行政指導は、事実行為であり処分ではないので(行政手続法2条6号)、審査請求の対象にはならない(行政不服審査法1条参照)。

■行政不服審査法(2010−15)【条文知識問題】

行政不服審査法における手続の終了に関する次の記述のうち、正しいものはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

1) 行政不服審査制度には権利保護機能の他に行政統治機能があるため、審査庁の同意がなければ、審査請求人は審査請求を取り下げることができない。

2) 事実行為に関する審査請求を認容する場合、審査庁は違法又は不当な当該事実行為を自ら撤廃することができる。

3) 上級行政庁としての審査庁は、処分庁の処分を変更する旨の裁決をすることができず、処分庁の処分を取り消した上で、処分庁に当該処分の変更を命じなければならない。

4) 不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言する。この場合において、不作為に係る処分についての申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、不作為庁の上級行政庁である審査庁は、不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずる。

5) 行政不服審査法には、それに基づく裁決について、行政事件訴訟法が定める取消判決の拘束力に相当する規定は設けられていない。

■解説

【難易度】

1) 誤り。「審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができる」(27条1項)。審査庁の同意は不要である。

2) 誤り。この場合「処分庁が審査庁」であれば、自ら事実行為を撤廃又は変更することができるが、「処分庁以外の審査庁」であれば、事実行為の撤廃又は変更を「命ずる」ことになる(47条1号2号)。なお「審査庁が処分庁の上級行政庁以外の審査庁」である場合は、事実行為の変更を命ずることはできない点に注意(47条柱書)。

3) 誤り。「変更する旨」の裁決も可能である(46条1項本文。なお46条1項但書注意)。

4) 正しい。49条3項。

5) 誤り。52条1項。

■訴訟類型(2010−16)【理論、条文知識問題】

次のア)−オ)の訴えのうち、抗告訴訟にあたるものの組合せはどれか。

ア) 建築基準法に基づき私法人たる指定確認検査機関が行った建築確認拒否処分の取消しを求める申請者の訴え。

イ) 土地収用法に基づく都道府県収用委員会による収用裁決において示された補償額の増額を求める土地所有者の訴え。

ウ) 土地収用法に基づく都道府県収用委員会による収用裁決の無効を前提とした所有権の確認を求める土地所有者の訴え。

エ) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づき許可を得ている原子炉施設の運転の差止めを運転者に対して求める周辺住民の訴え。

オ) 住民基本台帳法に基づき、行政機関が住民票における氏名の記載を削除することの差止めを求める当該住民の訴え。

1) ア)、イ)
2) ア)、オ)
3) イ)、ウ)
4) ウ)、エ)
5) エ)、オ)

■解説

【難易度】やや難しい。ア)、ウ)、オ)が難しいかと思われる。

1) 抗告訴訟である。指定確認検査機関は私法人であっても、それがなした建築確認拒否処分の取消しを争うには抗告訴訟による(最判平成17年6月24日。行政事件訴訟法21条1項についての事案)。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)321頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)304−305頁。

イ) 形式的当事者訴訟である。行政事件訴訟法4条前段。どのテキストにも出てくる有名な例(土地収用法133条)である。前掲塩野268頁、櫻井他351頁。

ウ) 争点訴訟である。45条。前掲塩野234頁、櫻井他357−358頁。争点訴訟自体は民事訴訟であるが、先決問題とは言え行政行為の効果が問題となっているので、行政事件訴訟法は争点訴訟につき特別の規定をおいている。

エ) 民事訴訟である。もんじゅ原発訴訟(最判平成4年9月22日)が素材となっている。なお原子炉施設の運転差止と、原子炉設置許可の無効確認訴訟の関係については、前掲塩野230−231頁参照。

オ) 抗告訴訟である。最判平成11年1月21日は、住民基本台帳法7条4号についての記載行為を法的効果はなく、抗告訴訟の対象にならないとするが、同法同条1号氏名の記載行為については、選挙権の観点から法的効果を有する(抗告訴訟の対象になる)としている。

よって正解は2)となろう。

■裁判管轄(2010−17)【条文知識問題】

取消訴訟の裁判管轄に関する次のア)−オ)の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア) 取消訴訟は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所にも提起することができる。

イ) 取消訴訟は、処分をした行政庁の所在地を管轄する地方裁判所にも提起することができる。

ウ) 土地の収用など特定の不動産または場所に係る処分の取消訴訟は、その不動産または場所の所在地を管轄する地方裁判所にも提起することができる。

エ) 取消訴訟は、処分に関し事案の処理に当たった下級行政機関の所在地を管轄する地方裁判所にも提起することができる。

オ) 国を被告とする取消訴訟は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも提起することができる。

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】難しい。単純条文知識問題であるが、細かいところを問うており、かつ個数問題ということもあって難易度は上がっていると思う。

ア) 誤り。原告ではなく、被告ならば正しい(行政事件訴訟法12条1項)。

イ) 正しい。12条1項。

ウ) 正しい。12条2項。

エ) 正しい。12条3項。

オ) 正しい。12条4項。

よって正解は4)の4つとなろう。

■取消判決の効力(2010−18)【理論問題】

不利益処分の取消訴訟において原告勝訴判決(取消判決)が確定した場合に、当該判決について生ずる効力に関する次のア)−エ)の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア) 処分をした行政庁は、判決確定の後、判決の拘束力により、訴訟で争われた不利益処分を職権で取り消さなければならない。

イ) 判決後に新たな処分理由が発生した場合、処分をした行政庁は、これを根拠として、判決の拘束力と関わりなく、原告に対しより厳しい内容の不利益処分を行うことができる。

ウ) 不利益処分をした処分庁が地方公共団体に所属する場合、不利益処分にかかわった関係行政庁のうち国に所属する行政庁には、判決の拘束力は及ばない。

エ) 判決の拘束力が生じるのは主文に限られず、主文に含まれる判断を導くために不可欠な理由中の判断についても及ぶ。

1) ア)、イ)
2) ア)、ウ)
3) イ)、ウ)
4) イ)、エ)
5) ウ)、エ)

■解説

【難易度】難しい。この箇所は行政事件訴訟法の理解もさることながら、民事訴訟法の理解も必要になるので、実際きちんと理解しようとするとかなり難しいであろうか。

ア) 誤り。拘束力ではなく、取消判決に付随する形成力により、処分はもとからなかったことになる、という説明が正しいであろうか。前掲塩野191頁、櫻井他311頁。

イ) 正しい。「同一事情の下では同一理由に基づく同一内容の処分をすることができない」というのが拘束力に含まれる反復禁止効の内容だからである。つまり、「同一事情でも同一理由でなければ同一内容の処分を行うことができる」のである。前掲塩野200頁以下参照、櫻井他313頁。

ウ) 誤り。「処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する」(33条1項)のであり、国、地方公共団体ということを問わず、関係行政庁は拘束されるのである。

エ) 正しい。イ)で説明した拘束力、反復禁止効は判決で確定された具体的違法事由にもかかる(最判平成4年4月28日)。前掲櫻井他313頁。

よって正解は4)となろう。

■国家賠償法(2010−19)【理論問題】

国家賠償請求訴訟に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 国家賠償を請求する訴訟は、民事訴訟であるから、その訴訟手続について行政事件訴訟法が適用されることはない。

2) 処分の違法を理由として国家賠償を請求する訴訟を提起するためには、事前に、当該処分についての取消判決により、その違法性を確定しておく必要がある。

3) 処分に対する取消訴訟の出訴期間が経過して、処分に不可争力が生じた場合には、その違法を理由として国家賠償を請求する訴訟を提起することはできない。

4) 処分に対する取消訴訟に当該処分の違法を理由とする国家賠償を請求する訴訟を併合して提起することは許されない。

5) 国家賠償を請求する訴訟の被告とされるのは国または地方公共団体に限られ、それ以外の団体が被告となることはない。

■解説

【難易度】普通。過去問のレヴェルで正解に達することができると思う。

1) 正しい。国家賠償請求権は私権と解されており、これについての訴訟は「全面的に民事訴訟の適用をみる」からである。前掲塩野378頁。

2) 誤り。頻出の肢である。取消判決を得ることなく、いきなり国家賠償請求訴訟を提起し得る。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)119頁、前掲櫻井他147−148頁。

3) 誤り。国家賠償請求訴訟の提起は可能である。国家賠償請求が仮に認容されたとしても、当該行政行為の違法性が確定されただけであって、不可争力が発生した処分には何も影響を及ぼさないからである。

4) 誤り。本肢のような併合も可能である(行政事件訴訟法16条1項。取消訴訟と国家賠償請求は関連請求である〔13条1号〕)。

5) 誤り。過去にも出題があった肢である。国又は地方公共団体以外の団体でも、公権力を行使する団体であれば、国家賠償法1条の「国又は地方公共団体」に含まれる。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)320頁。前掲櫻井他366頁。

■国家賠償法2条(2010−20)【判例問題】

道路の設置管理に関する国家賠償についての次の記述のうち、判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 国家賠償の対象となるのは、道路の利用者の被害に限られ、沿道住民の騒音被害については、道路管理者は、賠償責任を負わない。

2) 土砂崩れによる被害を防止するために多額の費用を要し、それについての予算措置が困難である場合は、道路管理者は、こうした被害についての賠償責任を免れる。

3) 道路上に放置された故障車に追突して損害を被った者がいたとしても、道路自体に暇疵があったわけではないから、道路管理者が賠償責任を負うことはない。

4) ガードレールの上に腰掛けるなどの通常の用法に即しない行動の結果生じた損害についても、道路管理者は、賠償責任を負う。

5) 道路の欠陥を原因とする事故による被害についても、道路管理者は、それを原状に戻すことが時問的に不可能であった場合には、賠償責任を負わない。

■解説

【難易度】易しい。基礎的な判例の知識があれば解ける問題である。

1) 誤り。「公物本来の用法としてはその利用者にとっては瑕疵がない場合でも、第三者との関係で、被害を発生させる場合」、道路の利用者にとっては瑕疵がなくとも道路を起因として住民に被害が生じれば、道路管理者は賠償の責めを負う場合があり得る(最判平成7年7月7日)。前掲塩野364−365頁、前掲櫻井他384−385頁。

2) 誤り。道路の設置、管理責任については「予算抗弁の排斥」が示されている(最判昭和45年8月20日)。前掲塩野359頁、櫻井他372頁。

3) 誤り。道路上の長時間(87時間)故障車が放置され、そこにバイクが衝突し人身事故が発生したケースにつき、最高裁は道路管理の瑕疵を認めている(最判昭和50年7月25日)。前掲塩野359頁、櫻井他382頁。

4) 誤り。営造物本来の用法であれば損害は生じないはずなのに、これによらなかったため損害が発生した時は、営造物管理責任はない(最判昭和53年7月4日)。前掲塩野364頁、櫻井他383頁。

5) 正しい。道路が客観的に安全を欠く場合でも、安全策を講ずる余裕がない場合、道路管理の瑕疵はないと解される。最判昭和50年6月26日。前掲塩野359−360頁、櫻井他382−383頁。