■2010年行政書士試験・商法

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■株主の権利(2010−36)【条文知識問題】

取締役の法令違反行為につき、株主が行使しうる権利に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 監査役または監査委員が設置されている株式会社の株主は、取締役の任務解怠を理由とする責任追及を行うために、当該会社に対して、営業時間内であれば、いつでも取締役会議事録の閲覧および謄写を請求することができる。

2) 監査役または監査委員が設置されている株式会社の株主であって一定の数の株式保有する株主は、当該会社の業務の執行に関し、法令に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときには、当該会社の業務および財産の状況を調査させるために、検査役の選任を監査役または監査委員に請求することができる。

3) 監査役および監査委員が設置されていない株式会社の株主は、取締役の法令違反行為によって、当該会社に著しい損害が生じるおそれがあるときには、当該取締役に対して当該行為をやめることを請求することができる。

4) 監査役および監査委員が設置されていない株式会社の株主は、取締役の行為に法令に違反する重大な事実があるときには、当該会社を代表して、直ちに責任追及の訴えを提起することができる。

5) 監査役および監査委員が設置されていない株式会社の株主であって一定の数の株式を保有する株主は、取締役が法令違反行為を継続して行っているときには、直ちに当該取締役を解任する訴えを提起することができる。

■解説

1) 誤り。監査役設置会社又は委員会設置会社については、「裁判所の許可を得て、取締役会議事録の閲覧および謄写を請求することができる」が正しい(会社法371条3項。なお同条2項)。

2) 誤り。検査役の選任を請求するのは裁判所に対してである(358条1項本文)。またこの請求は、監査役又は監査委員の設置の有無を問わない。

3) 正しい。360条1項。監査役および監査委員設置会社については同条3項(「著しい」「回復できない」に注意)。

4) 誤り。直ちに訴えを提起できるわけではなく、責任追及の訴え提起の請求に基づく当該訴えを、請求日より60日以内に会社が提起しない場合、当該請求をした株主が訴えを提起できるのである(847条3項)。またこの訴えは、監査役及び監査委員の設置の有無を問わない。

5) 誤り。直ちに訴えを提起出るわけではない。当該取締役の解任決議案が株主総会で否決された等の後に提起できることになる(854条1項)。またこの訴えは、監査役及び監査委員の設置の有無を問わない。

■取締役会の権限(2010−37)【条文知識問題】

取締役会設置会社であって公開会社である株式会社の取締役会の権限に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 会社が企業提携のために、特定の第三者に対して、募集株式を時価発行する場合には、取締役会の決定で足りる。

2) 会社が資本金を増加するために、剰余金を減少させる場合には、取締役会の決定で足りる。

3) 会社が取締役のために、当該取締役の住宅ローンの保証人となる場合には、取締役会の決定を要する。

4) 会社が事業拡大のために、銀行から多額の融資を受ける場合には、取締役会の決定を要する。

5) 会社が事業の見直しのために、支店を統廃合する場合には、取締役会の決定を要する。

■解説

1) 正しい。公開会社については、201条1項。なお非公開会社の場合に注意(199条2項)。

2) 誤り。株式会社は、資本金を増加するため剰余金を減少できるが(450条1項)、これには株主総会決議を必要とする(同条2項)。

3) 正しい。356条1項3号、365条1項。

4) 正しい。362条4項2号。

5) 正しい。362条4項4号。

■新株予約権(2010−38)【条文知識問題】

新株予約権に関する次のア)〜オ)の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア) 新株予約権と引換えに金銭の払込みを要する募集新株予約権を発行する場合において、募集新株予約権の割当てを受けた者は、払込期間中または払込期日に払込金額の全額を払い込んだときに、新株予約権者となる。

イ) 募集新株予約権の行使に際して出資する金銭その他の財産の価額が新株予約権を引き受ける者に特に有利な金額であるときには、募集新株予約権の募集事項は、株主総会の特別決議により決定しなければならない。

ウ) 募集新株予約権の発行が法令もしくは定款に違反し、または著しく不公正な方法により行われる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときには、株主は、会社に対して募集新株予約権の発行をやめることを請求することができる。

エ) 新株予約権付社債を有する者は、新株予約権付社債についての社債が消滅した場合を除いて、新株予約権付社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできない。

オ) 新株予約権と引換えに金銭の払込みを要する募集新株予約権の払込金額は、新株予約権が行使されるか否かにかかわらず、その全額を資本金に計上しなければならない。

1) ア)・イ)
2) ア)・オ)
3) イ)・ウ)
4) ウ)・エ)
5) エ)・オ)

■解説

ア) 誤り。新株予約権者になるのは、「割当日」である(245条)。

イ) 誤り。募集新株予約権の募集時効を、株主総会の特別決議(240条1項)により決定しなければならないのは、238条3項所定の場合である。

ウ) 正しい。247条。

エ) 正しい。254条2項。

オ) 誤り。資本金とは、「設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額」(445条1項)であるから、募集新株予約権の払込金額は資本金には計上されないが、新株予約権が行使され株式が発行された場合には計上される。
よって正解は4)となろう。

■持分会社(2010−39)【条文知識問題】

持分会社に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 持分会社の無限責任社員は、株式会社の株主とは異なり、金銭出資や現物出資にかぎらず、労務出資や信用出資の方法が認められている。

2) 持分会社の社員の持分は、株式会社の株式とは異なり、一人一持分であって、細分化されたものではなく、内容が均一化されたものでもない。

3) 持分会社は、会社法上の公開会社である株式会社とは異なり、原則として、社員各自が当該会社の業務を執行し、当該会社を代表する。

4) 持分会社の社員は、株式会社の株主とは異なり、退社による持分の払戻しが認められているが、当該社員の責任を明確にするために、登記によって退社の効力が生じる。

5) 持分会社が会社成立後に定款を変更するには、株式会社の場合とは異なり、原則として、総社員の同意を必要とする。

■解説

1) 正しい。576条1項5号。

2) 正しい。このように解されている。

3) 正しい。590条1項。

4) 誤り。退社による持分の払戻しについては正しいが(611条1項)、登記により(初めて)退社の効力が生じるということはない。

5) 正しい。637条。

■運送営業(2010−40)【条文知識問題】

陸上の物品運送に関する次のア)〜オ)の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア) 運送人は、荷送人の請求があるときには、運送状および貨物引換証を作成して、荷送人に交付しなければならない。

イ) 貨物引換証により運送品を受け取ることを得べき者に貨物引換証を引き渡したときには、その引渡しは、運送品の上に行使する権利の取得について、運送品の引渡しと同一の効力を有する。

ウ) 運送品の全部または一部が滅失した場合において、それが不可抗力によるものであるときには、運送人は、運送賃の全額を請求することができる。

エ) 運送人は、自己もしくは運送取扱人またはその使用人その他運送のために使用した者が運送品の受取り、引渡し、保管および運送に関して注意を怠らなかったことを証明するのでなければ、運送品の滅失、段損または延着について、損害賠償の責任を免れない。

オ) 貨幣、有価証券その他の高価品の運送については、荷送人が運送を委託するにあって高価品の種類および価額を明告した場合でなければ、運送人は、運送品の滅失、段損または延着について損害賠償の責任を負わない。

1) ア)・ウ)
2) ア)・エ)
3) イ)・エ)
4) イ)・オ)
5) ウ)・オ)

■解説

ア) 誤り。運送状は、運送人の請求により荷送人により交付される(商法570条1項)。貨物引換証については正しい(571条)。

イ) 正しい。575条。

ウ) 誤り。「請求することができない」のである(576条)。

エ) 正しい。577条。

オ) 正しい。578条。

よって正解は、1)となろう。