■2009年行政書士試験・法令科目多肢選択式

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■ロッキード事件(2009−41)【判例知識問題】

次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄(ア)−(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1−20)から選びなさい。

(ア)は、憲法上、―(中略)―国務大臣の任免権(68条)、(イ)を代表して(ウ)を指揮監督する職務権限(72条)を有するなど、(イ)を統率し、(ウ)を統轄調整する地位にあるものである。
そして、(イ)法は、(エ)は(ア)が主宰するものと定め(4条)、(ア)は、(エ)にかけて決定した方針に基づいて(ウ)を指揮監督し(6条)、(ウ)の処分又は命令を中止させることができるものとしている(8条)。
このように。(ア)が(ウ)に対し指揮監督権を行使するためには、(エ)にかけて決定した方針が存在することを要するが、(エ)にかけて決定した方針が存在しない場合においても、(ア)の右のような地位及び権限に照らすと、流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するため、(ア)は、少なくとも、(イ)の明示の意思に反しない限り、(ウ)に対し、随時、その所掌事務こついて一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有するものと解するのが相当である。
(最大判平成7年2月22日刑集49巻2号1頁以下)

1) 衆議院 2) 閣議 3) 政府 4) 内閣官房長官 5) 省庁

6) 国民 7) 内閣 8) 特別会 9) 事務次官会議 10) 執政

11) 国政 12) 官僚 13) 国会  14) 内閣総理大臣 15) 参議院

16) 日本国 17) 行政各部 18) 天皇 19) 事務) 20) 常会

■解説

【難易度】やや難しい。難易度をこのようにしたものの、ア)−ウ)は条文知識があれば穴埋は可能なので、この問題を易しいと考えられた方も多いかもしれない。

本問は、憲法以上に刑法(贈賄、受託収賄罪)で議論がなされるロッキード事件丸紅ルート最高裁判決からの出題である。
刑法上賄賂罪の成立には、「職務に関し」(刑法197条参照)という要件が重要な意義を持つが、本件では、「内閣総理大臣が、全日空にロッキード社の航空機購入の勧奨をする行政指導をするように運輸大臣を指揮する職務権限を有するか否か」等が問題となった。問題文はこの点に関する最高裁の判断が示されている。

解答は次のようになろう。
(ア内閣総理大臣)は、憲法上、―(中略)―国務大臣の任免権(68条)、(イ内閣)を代表して(ウ行政各部)を指揮監督する職務権限(72条)を有するなど、(イ内閣)を統率し、(ウ行政各部)を統轄調整する地位にあるものである。
そして、(イ内閣)法は、(エ閣議)は(ア内閣総理大臣)が主宰するものと定め(4条)、(ア内閣総理大臣)は、(エ閣議)にかけて決定した方針に基づいて(ウ行政各部)を指揮監督し(6条)、(ウ行政各部)の処分又は命令を中止させることができるものとしている(8条)。
このように。(ア内閣総理大臣)が(ウ行政各部)に対し指揮監督権を行使するためには、(エ閣議)にかけて決定した方針が存在することを要するが、(エ閣議)にかけて決定した方針が存在しない場合においても、(ア内閣総理大臣)の右のような地位及び権限に照らすと、流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するため、(ア内閣総理大臣)は、少なくとも、(イ内閣)の明示の意思に反しない限り、(ウ行政各部)に対し、随時、その所掌事務こついて一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有するものと解するのが相当である。

本問題については、芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第3版(2002年、岩波書店)297−298頁、前田雅英『刑法各論講義』第2版(1995年、東大出版会)540頁以下参照。

■行政罰(2009−42)【理論問題】

行政上の義務違反に関する次の文章の空欄(ア)−(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1−20)から選びなさい。

行政上の義務違反に対し、一般統治権に基づいて、制裁として科せられる罰を(ア)という。
(ア)には、行政上の義務違反に対し刑法典に刑名のある罰を科すものと、行政上の義務違反ではあるが、軽微な形式的違反行為に対し科す行政上の(イ)とがある。(イ)としては、届出義務違反などに科される(ウ)がある。
普通地方公共団体も、法律に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に(ウ)を科す旨の規定を設けることができる。(ウ)を科す手続については、法律に基づくものと、条例に基づくものとで相違がある。条例上の義務違反に対して普通地方公共団体の長が科す(ウ)は、(エ)に定める手続により科される。

1) 秩序罰 2) 行政代執行法 3) 科料 4) 公表 5) 懲役

6) 行政罰 7) 代執行 8) 強制執行 9) 罰金 10) 刑事訴訟法

11) 間接強制 12) 過料 13) 課徴金 14) 非訟事件手続法 15) 行政刑罰

16) 直接強制 17) 禁錮 18) 懲戒罰 19) 行政事件訴訟法 20) 地方自治法

■解説

【難易度】易しい。択一過去問の知識レヴェルで解ける問題である。

ア) 6)「行政罰」。

イ) 1)「秩序罰」。行政罰には、刑法9条に定められた「刑罰」を科す行政刑罰と、秩序罰の2つがある。

ウ) 12)「過料」。地方自治法14条3項参照。

エ) 20)「地方自治法」。国の法律に基づく秩序罰は、裁判所非訟事件手続法に基づき科すのに対して、条例に基づく秩序罰は、普通地方公共団体のが地方自治法に基づき行政処分の形で科すことになる(149条3号、255条の3)。

補足として、まず行政刑罰と秩序罰は、刑罰を科すか否かで区別される。前者は刑罰を科すので、刑事訴訟法の手続によることになる。
また行政罰は、過去の義務違反について科せられるものであり、この点で将来に向かっての義務履行確保手段たる執行罰と区別される。
最後に18)「懲戒罰」は、公務員秩序内部で科せられる制裁であり、一般市民社会で科せられる行政罰とは区別される。

本問につき、石川敏行『はじめて学ぶプロゼミ行政法』改訂版(2000年、実務教育出版)200頁以下参照。

■行政裁量(2009−43)【理論問題】

行政裁量に関する次の文章の空欄(ア)−(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1−20)から選びなさい。

法律による行政の原理の下においても、法律が行政活動の内容を完全に規律しつくすことはできない。従って、法律が行政機関に自由な判断の余地を認めている場合があるが、これを裁量という。
例えば、国家公務員法82条1項3号は、職員に「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」、「懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる」と規定しているが、例えば、公務員が争議行為を行い、同号にいう「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」という(ア)に当たると判断される場合、処分の(イ)について裁量が認められるとするならば、当該公務員について免職処分を選択するか、あるいは停職その他の処分を選択するかについては、懲戒権者の判断に委ねられることになる。しかしながら、その場合にあっても、当該非行が極めて軽微なものにとどまるにもかかわらず、免職処分を選択した場合は、(ウ)に違反し、裁量権の濫用・踰越となる。
また、土地収用法20条3号は、土地収用を行うことのできる事業の認定にあたっては、当該事業が「土地の適正且つ合理的な利用に寄与するもの」でなければならないとしている。この場合、(ア)についての裁量が問題となるが、判例は、その場合の裁量判断について、「本来最も重視すべき諸要素、諸価値を不当、安易に軽視し、その結果当然尽くすべき考慮を尽くさず、また本来考慮に容れるべきでない事項を考慮に容れもしくは本来過大に評価すべきでない事項を過重に評価し」、これらのことにより判断が左右された場合には、裁量権の濫用・踰越にあたるとして、違法となるとしている。これは処分における(エ)について、司法審査を及ぼしたものといえる。

1) 訴訟要件 2) 目的 3) 信義則 4) 相当の期間の経過 5) 効果

6) 補充性要件 7) 理由の提示 8)判断過程 9) 過失 10) 行政便宜主義

11) 時の裁量 12) 手続規定 13) 紛争の成熟性 14) 違法性阻却事由 15) 保護義務 

16) 要件 17) 行政規則 18) 比例原則 19) 手段 20) 行政の内部問題

■解説

【難易度】やや難しい。括弧の前後の日本語を考え穴埋すれば、ある程度は正解できる問題ではあるが、裁量論のやや難しいテーマを含む問題であるため、やや難とした。

行政裁量に関する問題であるが、この点は従前、要件裁量(説)、効果裁量(説)という点から論じられてきた。
要件裁量は、「行政行為の根拠となる要件の充足について行政庁が最終認定権をもつ場合」ここに裁量行為を見出す説であり、効果裁量は、「行政行為をするかしないか、するとしてどの処分をするか」という点に裁量の所在を認める説とされる(塩野宏『行政法T』第5版増補〔2009年、有斐閣〕126頁以下)。

最高裁は、効果裁量説を中心にしつつ、要件に裁量を認める判決も出しているが、この要件裁量説、効果裁量説の対立は、佐々木惣一、美濃部達吉らの時代の学説であり、これがそのまま現在維持できるわけではない。現在では、要件裁量と効果裁量と択一的に割り切るのではなく、裁量が働く段階を個別具体的(前掲塩野125頁のA−E参照)に、司法審査との関係もふまえ議論を進めていく立場が主流といえようか。

@ 国公法82条1項3号の「非行」という(ア要件)に該当する場合、処分の(イ効果)について裁量があるとするならば、処分の有無、処分するとしてどの処分をするかにつき裁量が認められることになる(参照、最判昭和52年12月20日)。効果裁量といっても、単純に割り切れるものではなく、2段階で裁量が働く場面があるということになる(前掲塩野125頁に言う「行為の選択」参照)。なお、裁量行為に対する司法的統制として、(ウ比例原則)や平等原則等をあげることができる(前掲塩野133−134頁)。

A 問題文後半に出てくる判例は、おそらく日光太郎杉事件(東京高判昭和48年7月13日)であろう。この事件は、裁量判断の方法ないし(エ判断過程)についてコントロールを及ぼした、手続的コントロールの事案と言えよう(前掲塩野134頁以下)。