■2009年行政書士試験・商法

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■商行為(2009−36)

商人間の取引に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

1) A株式会社は、輸入業者Bとの間で牛肉の売買契約を締結し、Aの仕入れ担当者が引渡しに立ち会った。4ヶ月後に、当該牛肉に狂牛病の可能性のある危険部位があることが分かったため、直ちにBに通知した。この場合に、AはBに対して売買契約の解除、代金の減額または損害賠償を請求することができる。

2) A株式会社は、輸入業者Bとの間でコーヒー豆の売買契約を締結した。Aの仕入れ担当者はコーヒー豆の納入に立ち会い、数量の確認および品質の検査を行った。その際、コーヒー豆の品質の劣化を認識していたが、Bに直ちには通知しなかった。この場合に、AはBに対して売買契約の解除、代金の減額または損害賠償を請求することができない。

3) A株式会社は、輸入業者Bとの間でチューリップの球根の売買契約を締結した。Aの仕入れ担当者が引渡しに立ち会ったところ、球根の種類が予定していたものと異なっていた。そこで、Aは直ちに売買契約の解除をBに通知した。Bの営業所が同一市内にあったため、Bが引き取りに来るまでの間、Aは球根を放置していたところ、発芽し、売り物には適さないものになったが、Aには責任はない。

4) A株式会社は、輸入業者Bとの間でバナナの売買契約を締結した。履行期日になったが、Aの加工工場でストライキが起こり、Aは期日にバナナを受領することができなかった。そこでBは、Aへの催告なしに、そのバナナを競売に付し、競売の代金をバナナの代金に充当したが、これについて、Bに責任はない。

5) A株式会社は、輸入業者Bとの間でクリスマス商品の売買契約を締結したが、輸出国の工場での製造工程にトラブルが生じ、商品の製造が遅れたため、納入がクリスマスに間に合わなかった。Aが、Bに対して契約の解除等何らの意向を示さずに、Bからの度重なる連絡を無視し続けた場合、クリスマス商品の受領を拒むことはできない。

■解説

1) 正しい。商法526条2項後段である。

2) 正しい。法526条2項前段。

3) 正しい。法527条4、1項、526条1項。

4) 正しい。法524条2、3項。

5) 誤り。クリスマス商品の売買ということは、法525条の定期売買に該当する。この場合、Aは、当該契約を解除したものとみなされるので、クリスマス商品の受領を拒むことができる。

■定款(2009−37)

株式会社の株主等の閲覧権に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、甲株式会社(以下、甲会社という)は、会社法上の公開会社とする。

1) 会社設立時に株式会社が発行する株式数は、会社法上の公開会社の場合には、発行可能株式総数の4分の1を下回ることができないため、定款作成時に発行可能株式総数を定めておかなければならないが、会社法上の公開会社でない会社の場合には、発行株式数について制限がなく、発行可能株式総数の定めを置かなくてよい。

2) 株式会社は株券を発行するか否かを定款で定めることができるが、会社法は、株券を発行しないことを原則としているので、株券を発行する旨を定款に定めた会社であっても、会社は、株主から株券の発行を請求された段階で初めて株券を発行すれば足りる。

3) 株主総会は株主が議決権を行使するための重要な機会であるため、本人が議決権を行使する場合のほか、代理人による議決権行使の機会が保障されているが、会社法上の公開会社であっても、当該代理人の資格を株主に制限する旨を定款に定めることができる。

4) 取締役会は、取締役が相互の協議や意見交換を通じて意思決定を行う場であるため、本来は現実の会議を開くことが必要であるが、定款の定めにより、取締役の全員が書面により提案に同意した場合には、これに異議を唱える者は他にありえないため、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなすことができる。

5) 取締役会設置会社は監査役を選任しなければならないが、会社法上の公開会社でない取締役会設置会社の場合には、会計監査人設置会社であっても、定款で、監査役の監査権限を会計監査に限定することができる。

■解説

1) 誤り。公開、非公開会社のいずれも、「株式会社成立時」までに発行可能株式総数を定款で定めなければならない(会社法37条1項)。公開会社についての「4倍ルール」に関する記述は正しい(法37条3項本文)。神田秀樹『会社法』第11版(2009年、弘文堂)41頁。

2) 誤り。公開会社である株券発行会社は、株式発効日以後地帯なく株券を交付しなければならない(法215条1項。非公開会社で株券発行会社の場合に注意。同条4項)。株券不発行原則についての説明は正しい(法214条参照)。前掲神田84頁。

3) 正しい。代理人による議決権行使について法310条1項。代理人の資格の限定については、最判昭和43年11月1日。前掲神田170頁。

4) 誤り。法370条の問題であるが、この「みなし決議」については例外がある。同条かっこ書参照。前掲神田196頁。

5) 誤り。取締役会設置会社は、監査役の設置が必要である(法327条2項)。前掲神田162頁。この点は正しいが、非公開会社が監査役の監査範囲を会計検査に限定できるという法389条1項は、会計監査人設置会社には適用されない。この点が誤りである。前掲神田217頁。

■株主名簿(2009−38)

株主名簿に関する次のア)〜オ)の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア) すべての株式会社は、株主名簿を作成して、株主の氏名または名称および住所ならびに当該株主の有する株式の種類および数などを記載または記録しなければならない。

イ) 基準日以前に株式を取得した者で、株主名簿に株主として記載または記録されていない者について、会社は、その者を株主として扱い、権利の行使を認容することができる。

ウ) 株券発行会社においては、株式の譲受人は、株主名簿の名義書換えをしなければ、当該会社および第三者に対して株式の取得を対抗できない。

エ) 会社が株主による株主名簿の名義書換え請求を不当に拒絶した場合には、当該株生は、会社に対して、損害賠償を請求することができるが、株主であることを主張することはできない。

オ) 会社が株主に対してする通知または催告は、株主名簿に記載または記録された株主の住所または株主が別に通知した場所もしくは連絡先に宛てて発すれば足り、当該通知または催告は、それが通常到達すべきであった時に、到達したものとみなされる。

1) ア)・イ)
2) ア)・オ)
3) イ)・ウ)
4) ウ)・エ)
5) エ)・オ)

■解説

ア) 正しい。法121条1、2号。

イ) 正しい。最判昭和30年10月20日である。前掲神田102頁。

ウ) 誤り。「株券発行会社においては〜しなければ、当該会社に対して株式の取得を対抗できない」が正しい(法130条2項)。第三者に対する対抗要件は株券の占有(法131条1項)である。なお、株券不発行会社については、法130条1項参照。

エ) 誤り。株主であることの主張も可能である(最判昭和41年7月28日)。前掲神田102頁。

オ) 正しい。法126条1、2項。
よって正解は4)となろう。

■事業譲渡(2009−39)

株式会社の事業譲渡に関する次のア)〜オ)の記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア) 事業譲渡を行う場合には、譲渡会社と譲受会社の間で、譲渡する資産、債務、雇用契約その他の権利義務に関する事項を包括的に定めた事業譲渡契約を締結しなければならない。

イ) 譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、譲受会社は、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負い、譲渡会社は当該債務を弁済する責任を免れる。

ウ) 譲渡会社は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村の区域内およびこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から20年間は、同一の事業を行ってはならない。

エ) 会社がその事業の全部または重要な一部の譲渡を行う場合には、譲渡会社において株主総会の特別決議による承認を要するが、譲渡する資産の帳簿価格が譲渡会社の総資産の額の5分の1を超えないときは、株主総会の承認は不要である。

オ) 会社が他の会社の事業の全部または重要な一部を譲り受ける場合には、譲受会社において株主総会の特別決議による承認を要するが、譲受会社が対価として交付する財産の帳簿価格の合計額が譲受会社の総資産の額の5分の1を超えないときは、株主総会の承認は不要である。

1) ア)・イ)
2) ア)・オ)
3) イ)・ウ)
4) ウ)・エ)
5) ウ)・オ)

■解説

ア) 誤り。会社の財産が包括的に移転させることを目的とするのは、合併の場合である。事業譲渡の場合は、あくまで契約で定められた範囲の財産が個別で移動する点で、合併の場合と異なる。前掲神田314頁。

イ) 誤り。本肢に言う「場合」、譲受会社「も」、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負うことになる(法22条1項)。

ウ) 正しい。法21条1項。

エ) 正しい。法467条1項1、2号。特別決議については、法309条2項11号。

オ) 誤り。この場合、重要な一部の譲受については特別決議を必要としない(法467条1項3号参照)。
よって正解は4)となろう。

■取締役(2009−40)

取締役の選任および解任に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) すべての株式会社は、定款において、取締役の資格として当該株式会社の株主である旨を定めることができる。

2) 取締役の辞任により員数が欠けた場合、当該取締役は、直ちに取締役としての地位を失うのではなく、新たな取締役が就任するまでの間は、引き続き取締役としての権利義務を有する。

3) 解任された取締役であっても、正当な事由がなく解任された場合には、新たな取締役が就任するまでの間は、当該取締役は引き続き取締役としての権利義務を有する。

4) 利害関係人の申立により裁判所が一時取締役を選任した場合、当該一時取締役が株式会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可が必要である。

5) 取締役が法令もしくは定款に違反する行為をし、当該行為によって株式会社に著しい損害が生じるおそれがある場合には、株主は直ちに当該取締役の解任の訴えを提起することができる。

■解説

1) 誤り。公開会社でない株式会社を除き、本肢の様な定めを定款に設ける事は認められていない(法331条2項)。

2) 正しい。法346条1項。

3) 誤り。この場合は346条1項にいう「任期の満了又は辞任」に該当しないので、取締役としての権利義務は継続しない。

4) 誤り。一時取締役については法346条2項。一時取締役の権限は普通の取締役と同じであるので、このような許可は不要である。前掲神田190頁参照。

5) 誤り。取締役解任の訴えは、「当該役員を解任する旨の議案が株主総会において否決されたとき又は当該役員を解任する旨の株主総会の決議が第323条の規定によりその効力を生じないとき」(法854条1項)に訴えることができるのであって、直ちに訴えることができるわけではない。