■2009年行政書士試験・法令記述式問題

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■行政法・判決の効力(2009−46)【条文知識問題】

Xは、外務大臣に対して旅券の発給を申請したが拒否処分をうけたため、取消訴訟を提起した。これについて、裁判所は、旅券法により義務づけられた理由の提示が不十分であるとして、請求を認容する判決をなし、これが確定した。この場合、行政事件訴訟法によれば、外務大臣は、判決のどのような効力により、どのような対応を義務づけられるか。40字程度で記述しなさい。

■解説

【難易度】普通。

判決の効力については、形成力、第三者効、既判力、拘束力等があげられるが、ここでは拘束力(行政事件訴訟法33条)が問題となる。特に本問は旅券発給申請の拒否処分が問題となっているので、33条2項の条文を中心に論述することになろう。

「拘束力により、判決の趣旨に従い理由付記を十分にして拒否処分をするか申請を認めねばならない。」(45文字)

判決の効力については、塩野宏『行政法U』第4版(2005年、有斐閣)162頁以下、本問の事例については前掲塩野168頁参照。

■民法・保証契約(2009−47)【条文知識問題】

次の【事例】において、Xは、Yに対して、どのような権利について、どのような契約に基づき、どのような請求をすることができるか。40字程度で記述しなさい。

【事例】
A(会社)は、B(銀行)より消費貸借契約に基づき金銭を借り受け、その際に、X(信用保証協会)との間でBに対する信用保証委託契約を締結し、Xは、同契約に基づき、AのBに対する債務につき信用保証をした。Xは、それと同時に、Yとの間で、Aが信用保証委託契約に碁づきXに対して負担する求償債務についてYが連帯保証する旨の連帯保証契約を締結した。AがBに対する上記借入債務の弁済を怠り、期限の利益を失ったので、Xは、Bに対して代位弁済をした。

■解説

【難易度】やや難。

問題文をまとめると以下のようになろう。

@ 「A(会社)は…借り受け…X(信用保証協会)…信用保証をした」。AがBと結んだ金銭消費貸借契約(587条)の「保証人」がXということである(実務上、学説上、信用保証協会の存在は重要だがここではこの程度で良い)。

B 「AがBに対する…弁済を怠り…Xは、…代位弁済をした」。Aが本件消費貸借契約を弁済せず、代わって保証人Xが弁済(代位弁済、446条)し、その結果XはAへの「求償権」(459条1項)を取得したということである。

C 「Xは、それと同時に…Yが…連帯保証契約を締結した」。Xは、Bで発生した求償権(Aの求償債務)の履行を確実なものにするため、Yを連帯保証人とする契約を事前に結んでいた。

本問は、XY間について論じればよいので、Cについて問題文で聞かれている通りに論述すればよい。答えは以下のようになろうか。

「XはAに対する求償債権について、連帯保証契約に基づき、連帯保証債務の履行をYに請求できる。」(45文字)

■民法・177条の第三者(2009−48)【判例問題】

次の【設問】を読み、【答え】の中の( )に適切な文章を40字程度で記述して、設問に関する解答を完成させなさい。

【設問】
XはA所有の甲建物を購入したが未だ移転登記は行っていない。現在甲建物にはAからこの建物を借り受けたYが居住しているが、A・Y間の賃貸借契約は既に解除されている。XはYに対して建物の明け渡しを求めることができるか。

【答え】
XはYに対して登記なくして自らが所有者であることを主張し、明け渡しを求めることができる。民法177条の規定によれば「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」とあるところ、判例によれば、同規定中の( )をいうものと解されている。ところが本件事案では、Yについて、これに該当するとは認められないからである。

■解説

【難易度】やや難しい。177条の第三者についての定義を正確に記述するのは、難易度が高かったと思う。

177条の解釈論は、@「登記を必要とする物権変動は何か」と、A「第三者とは何か」についての2つに大別できる。本問では、@については「売買契約」であるが、これは当然対抗問題を生ずる物権変動である(内田貴『民法T』第2版〔1999年、東大出版会〕423頁)。ではXは、この物権変動を第三者(Y)に主張するのに登記を常に要するか、ということである。

この点について、元々177条の「第三者」は、文字通りの第三者をを指すとされてきたが(無制限説)、後に判例は第三者の範囲を制限する制限説をとった(大連判明治41年12月15日。前掲内田431頁)。本問は制限説の立場を論証することになる。

答えは以下のようになろうか。

「第三者とは、当事者とその包括承継人以外の者で登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する者」(45文字)

Yは、占有権限もないのに甲建物を占有している「不法占拠者」であり、不法占拠者は、登記がないと対抗できない第三者に「あたらない」、というのが本問の素材となった判例(最判昭和25年12月19日。前掲内田432頁)である。