■2008年行政書士試験・法令科目多肢選択式

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■宗教法人解散命令事件(2008−41)【判例問題】

次の文章は、宗教法人Xへの解散命令の合憲性に関して、Xの特別抗告に対して下された最高裁判所決定の一節である。空欄(ア)−(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1−20)から選びなさい。

「(宗教法人)法81条に規定する宗教法人の解散命令の制度は、前記のように、専ら宗教法人の(ア)側面を対象とし、かつ、専ら(ア)目的によるものであって、宗教団体や信者の精神的・(イ)側面に容かいする意図によるものではなく、その制度の目的も合理的であるということができる。
そして…(中略)…抗告人が、法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められ、宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたことが明らかである。抗告人の右のような行為に対処するには、抗告人を解散し、その法人格を失わせることが(ウ)かつ適切であり、他方、解散命令によって宗教団体であるXやその信者らが行う宗教上の行為に何らかの支障を生ずることが避けられないとしても、その支障は、解散命令に伴う(エ)で事実上のものであるにとどまる。したがって、本件解散命令は、宗教団体であるXやその信者らの精神的・(イ)側面に及ぼす影響を考慮しても、抗告人の行為に対処するのに(ウ)でやむを得ない法的規制であるということができる」。
(最一小決平成8年1月30日民集50巻1号199頁以下)

1 直接的 2 間接的 3 積極的 4 消極的 5 明白

6 具体的 7 抽象的 8 容易 9 中立的 10 宗教的

11 可能 12 政治的 13 支配的 14 指導的 15 必要

16 社会的 17 裁量的 18 手続的 19 世俗的 20 有効

■解説

多肢選択式の憲法では、判決文(長文)の穴埋め問題の出題が殆どである。08年の予想でも書いた通り、択一を含め、従前の試験と比べ長文の判決文を問題のソースとしてくることが増えてきている。そのため今後は、予備校本にあるような事件の結論を2、3行にまとめたものを覚えるだけではなく、主要判例については判例集や、最高裁のサイトで判決文原文を見ておくことも必要になろう。

ただ本問についてはこの判例を知らなくとも、目的効果基準(津地鎮祭訴訟〔最大判昭和52年7月13日〕)を知っておればア)、イ)は埋める事ができたであろう。

「(宗教法人)法81条に規定する宗教法人の解散命令の制度は、前記のように、専ら宗教法人の(ア世俗的)側面を対象とし、かつ、専ら(ア世俗的)目的によるものであって、宗教団体や信者の精神的・(イ宗教的)側面に容かいする意図によるものではなく、その制度の目的も合理的であるということができる。
そして…(中略)…抗告人が、法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められ、宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたことが明らかである。抗告人の右のような行為に対処するには、抗告人を解散し、その法人格を失わせることが(ウ必要)かつ適切であり、他方、解散命令によって宗教団体であるXやその信者らが行う宗教上の行為に何らかの支障を生ずることが避けられないとしても、その支障は、解散命令に伴う(エ間接的)で事実上のものであるにとどまる。したがって、本件解散命令は、宗教団体であるXやその信者らの精神的・(イ宗教的)側面に及ぼす影響を考慮しても、抗告人の行為に対処するのに(ウ必要)でやむを得ない法的規制であるということができる」。

なおこのような解散命令も、法人格のない宗教団体の存続や新たな宗教団体の結成を妨げるものではなく、厳格な要件の下でなされるなら合憲であると解されている。本件については、芦部信喜(高橋和之)補訂『憲法』第3版(2002年、岩波書店)148頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)227頁参照。津地鎮祭訴訟については前掲芦部161頁、佐藤235頁参照。

■損失補償(2008−42)【理論問題】

損失補償に関する次の文章の空欄(ア)−(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1−20)から選びなさい。

損失補償とは、国または公共団体の適法な活動によって私人が受けた(ア)に対する補償をいう。(ア)に該当するか否かは、規制又は侵害の態様・程度・内容・目的などを総合的に考慮して判断される。

補償の内容と程度をめぐっては、(イ)説と(ウ)説の対立がある。判例は、土地収用法の上の補償について規制・侵害の前後を通じて被侵害者の保持する(エ)が等しいものとなるような補償を要するという考え方と、必ずしも常に市場価格に合致する補償を要するものではないという考え方とを示している。前者が(イ)説に近く、後者が(ウ)説に近いということもできるが、両説の差異は本質的なものではなく、補償の対象とすべき損失をどこに見出すかに関する視点の違いによるものとも考えられる。

1 公用収用 2 限界効用 3 生活権補償 4 完全補償 5 公共の福祉

6 通損補償 7 権利補償 8 効用価値 9 収用損失 10 相対価値

11 平均的損失 12 効用補償 13 財産的補償 14 財産価値 15 財産権の内在的制約

16 交換価値 17 対価補償 18 特別の犠牲 19 相当補償 20 通常受ける損失

■解説

ア) 18)「特別の犠牲」。適法な国家等の行為であっても私人に特別の犠牲、損害を生じさせた場合、それを放置することは公平負担の理念に反するので、損失補償が必要となる。塩野宏『行政法U』第4版(2005年、有斐閣)323頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)393−394頁。

イ) 4)「完全補償」。完全補償説の判例として最判昭和48年10月18日。前掲塩野335頁、櫻井他397頁。

ウ) 19)「相当補償」。相当補償説の判例として、農地改革に関する事案である最大判昭和28年12月23日。前掲塩野334頁、櫻井他396頁。なおこの両説は、「補償の要否」の問題の次の、「補償が必要だが『その程度』」即ち憲法29条3項にいう「正当な補償」とは何かという点に関する説である。択一試験ではどちらの判例も出題されているので、要注意である。

エ) 14)「財産価値」。

■地方自治法(2008−43)【条文知識問題】

国と地方公共団体の関係に次の文章の空欄(ア)−(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1−20)から選びなさい。

国と各地方公共団体は、それぞれ独自の団体であるから、それぞれの権限を独立して行使するのが原則である。しかし、広域的な行政執行等の観点から、国が都道府県の活動に、国や都道府県が市町村の活動に影響力を行使する必要がある場合もある。

こうした影響力の行使について、地方自治法245条は、(ア)と総称しており、同条の2は、法律や政令によって認められた場合にのみ、これをなしうることとしている。国と都道府県の関係について言えば、所管の各大臣は、都道府県の活動について、通常は、技術的な助言及び(イ)をなすことができるにとどまるが、その活動が違法である場合等には、自治事務については、その是正を求めることができ、法定受託事務については、その是正を指示した上で、それに従わなければ、裁判を経て、(ウ)等をすることができる。そのほか、同法255条の2によって、都道府県知事等の処分が法定受託事務に該当するときは、これに不服のある者は、所管の大臣に不服申立てができるものとされている。一般に、これを(エ)的(ア)と呼んでいるが、地方分権の見地から、その是非について議論がある。

1 裁決 2 勧告 3 協議 4 決定 5 代執行

6 取消 7 命令 8 指導 9 同意 10 許可

11 関与 12 参与 13 通達 14 協力 15 監督

16 撤回 17 罷免 18 指揮 19 裁定 20 直接強制

■解説

ア) 11)「関与」。関与の法定主義である。

イ) 2)「勧告」。地方自治法245条の4。

ウ) 5)「代執行」。245条の8。

エ) 19)「裁定」。

本問につき塩野宏『民法V』第2版(2001年、有斐閣)180頁以下、前掲櫻井他52−53頁参照。