■2008年行政書士試験・民法

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■虚偽表示(2008−27)【判例知識問題】

Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した場合に関する次のア)−オ)の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア) Bが甲土地をAに無断でCに転売した場合に、善意のCは、A・B間の売買の無効を主張して、B・C間の売買を解消することができる。

イ) Bが甲土地をAに無断でCに転売した場合に、善意のCに対して、AはA・B間の売買の無効を対抗することはできないが、Bはこれを対抗することができる。

ウ) Aの一般債権者Dは、A・B間の売買の無効を主張して、Bに対して、甲土地のAへの返還を請求することができる。

エ) Bが甲土地につきAに無断でEのために抵当権を設定した場合に、Aは、善意のEに対して、A・B間の売買の無効を対抗することができない。

オ) Bの一般債権者FがA・B間の仮装売買について善意のときは、Aは、Fに対して、Fの甲上地に対する差押えの前であっても、A・B間の売買の無効を対抗することができない。

1) ア)、イ)

2) ア)、ウ)

3) ア)、オ)

4) イ)、エ)

5) イ)、オ)

■解説

【難易度】難。

ア) 正しい。94条2項はC(善意の第三者)を保護するためのルールだから、C自らがその保護を主張せず、あえてAB間の売買の無効を主張することは可能であると解されている。内田貴『民法T』第2版(1999年、東大出版会)52頁。

イ) 誤り。94条2項の「対抗することはできない」とは、BはもちろんAからも、Cに対しAB間の売買が虚偽表示で無効という主張をできない、ということを意味する。前掲内田52頁。

ウ) 正しい。当事者に対し第三者から虚偽表示の無効を主張することはできる。この結果例えば、DはBの下にある甲土地を差押えたりする事ができる。古い文献で申し訳ないが、松坂佐一『民法提要総則』第3版増補(1981年、有斐閣)217−218頁。無論DはBから甲土地を譲り受けた善意の第三者には無効を主張できない。

エ) 正しい。仮装譲受人Bの有する甲土地に抵当権の設定を受けた者は、94条2項にいう第三者に該当する(大判昭和4年12月17日)。よってAは善意の第三者Eに無効を主張できない。前掲松坂216頁。

オ) 誤り。この場合対抗できる。なお甲地を差押えた場合のFは94条2項の第三者に該当するので、善意のFに対しAB間の売買無効を対抗できない(大判昭和18年12月22日)。前掲松坂216頁。

よってイ)、オ)が誤りであり正解は5)となる。

■無権代理と相続(2008−28)【条文、判例知識問題】

Aの子Bが、Aに無断でAの代理人としてA所有の土地をCに売却する契約を結んだ。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) CはAが追認した後であっても、この売買契約を取り消すことができる。

2) Bが未成年者である場合、Aがこの売買契約の追認を拒絶したならば、CはBに対して履行の請求をすることはできるが、損害賠償の請求をすることはできない。

3) Aがこの売買契約の追認を拒絶した後に死亡した場合、BがAを単独相続したとしても無権代理行為は有効にはならない。

4) Aが追認または追認拒絶をしないまま死亡してBがAを相続した場合、共同相続人の有無にかかわらず、この売買契約は当然に有効となる。

5) Cが相当の期間を定めてこの売買契約を追認するかどうかをAに対して回答するよう催告したが、Aからは期間中に回答がなかった場合、Aは追認を拒絶したものと推定される。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。取消ができるのは、本人の追認がない間である(115条本文)

2) 誤り。履行請求、損害賠償共に認められない(117条2項後段)。

3) 正しい。最判平成10年7月17日である。山田−河内−安永−松久『民法T』第3版補訂(2007年、有斐閣)188頁。

4) 誤り。Bの他にAの相続人がいた場合、Aの追認をするか否かという資格はB以外の相続人にも相続される。そのため判例は、Bと他の相続人全員が追認権を行使しない限り無権代理行為が有効となることはない、としている(最判平成5年1月21日)。前掲山田他187頁。

5) 誤り。「推定」ではなく追認拒絶と「みなされる」のである(114条)

■物権変動と対抗要件(2008−29)【判例知識問題】

A・Bが不動産取引を行ったところ、その後に、Cがこの不動産についてBと新たな取引関係に入った。この場合のCの立場に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1) AからBに不動産の売却が行われ、BはこれをさらにCに転売したところ、AがBの詐欺を理由に売買契約を取り消した場合に、Cは善意であれば登記を備えなくても保護される。

2) AからBに不動産の売却が行われた後に、AがBの詐欺を理由に売買契約を取り消したにもかかわらず、Bがこの不動産をCに転売してしまった場合に、Cは善意であっても登記を備えなければ保護されない。

3) AからBに不動産の売却が行われ、BはこれをさらにCに転売したところ、Bに代金不払いが生じたため、AはBに対し相当の期間を定めて履行を催告したうえで、その売買契約を解除した場合に、Cは善意であれば登記を備えなくても保護される。

4) AからBに不動産の売却が行われたが、Bに代金不払いが生じたため、AはBに対し相当の期間を定めて履行を催告したうえで、その売買契約を解除した場合に、Bから解除後にその不動産を買い受けたCは、善意であっても登記を備えなければ保護されない。

5) AからBに不動産の売却が行われ、BはこれをさらにCに転売したところ、A・Bの取引がA・Bにより合意解除された場合に、Cは善意であっても登記を備えなければ保護されない。

■解説

【難易度】普通。

1) 正しい。。詐欺の「取消前」に法律関係に入った第三者Cは、善意であれば登記なくしてAに対抗できる(96条3項。大判昭和4年2月20日)。淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』第2版(1994年、有斐閣)52頁。

2) 正しい。詐欺の「取消後」に法律関係に入った第三者Cは、Aに対抗するには登記を必要とする(大判昭和17年9月30日)。判例は、詐欺取消の結果、B→AとB→Cという二重譲渡類似の関係が起きたとするので、取消前と後で差が生じる。前掲淡路他53頁。

3) 誤り。「解除前」に法律関係に入った第三者の権利は、解除の遡及効から守られているが(545条1項但書)、CがAに対し権利を主張するには登記が必要であるとするのが判例である(最判昭和33年6月14日)。前掲淡路他55頁。

4) 正しい。「解除後」の第三者については、B→A、B→Cという二重譲渡と同様の関係が生じるため、Cが自己の権利をAに主張するには登記が必要とされている(大判昭和14年7月7日)。前掲淡路他56頁。

5) 正しい。最判昭和33年6月14日である(この判決は元々は合意解除に関するものである)。

■不動産賃借権(2008−30)【判例、条文知識問題】

Aは、自己所有の土地につき、Bとの間で賃貸借契約を締結した(賃借権の登記は未了)。AがBにこの土地の引渡しをしようとしたところ、この契約の直後にCがAに無断でこの土地を占拠し、その後も資材置場として使用していることが明らかとなった。Cは明渡請求に応ずる様子もないため、AとBは、Cに対して次のア)−オ)の法的対応を検討している。これらの対応のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア) Aが、Cの行為を不法行為として損害賠償請求をすること。

イ) Aが、自己の土地所有権に基づき土地明渡請求をすること。

ウ) Bが、自己の不動産賃借権に基づき土地明渡請求をすること。

エ) Bが、占有回収の訴えに基づき土地明渡請求をすること。

オ) Bが、AがCに対して行使することができる、所有権に基づく土地明渡請求権を代位行使すること。

1) ア)、イ)、オ)

2) ア)、ウ)、エ)

3) イ)、ウ)、エ)

4) イ)、エ)、オ)

5) ウ)、エ)、オ)

■解説

【難易度】易しい。

ア) 正しい。Cの行為は、Aの所有権を侵害(709条)しているからである。

イ) 正しい。Aの所有権という物権を回復するための物権的請求権の行使である。前掲淡路他15頁以下参照。

ウ) 誤り。判例は対抗力(不動産賃貸権の対抗要件は登記である〔605条〕。なお借地借家法10条1項)を具備した不動産賃借権に基づく妨害排除請求権を認めるが(最判昭和28年12月18日)、Bは賃借権の登記をしていないのだから、賃借権に基づく妨害排除、明渡請求をすることができない。前掲淡路他16頁。

エ) 誤り。Bは占有回収の訴え(200条)を行使できそうだが、問題文によればそもそもBは引渡を受けていないので、占有回収の訴えを行使できない。前掲淡路他126頁。

オ) 正しい。債権者代位権(423条1項。同条同項の「債権」は本来金銭債権を指す)の転用行使の事案である(大判昭和4年12月16日)。野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)98頁参照。

よってア)、イ)、オ)の1)が正解となろう。

■抵当権の効力(2008−31)【判例、条文知識問題】

AはBに金銭を貸し付け、この貸金債権を担保するためにB所有の土地の上に建っているB所有の建物に抵当権の設定を受けて、その登記を備えた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

1) Aの抵当権が実行された場合、抵当権設定時に建物内に置いていたB所有の家電製品のテレビには抵当権の効力は及ばない。

2) 抵当権設定時にB所有の土地の登記名義はCであった場合でも、抵当権実行により買受人Dのために法定地上権が成立する。

3) 抵当権設定登記後にBが同抵当建物をEに賃貸した場合、BのAに対する債務不履行後に生じた賃料について抵当権の効力が及ぶので、抵当権の実行としてAはこの賃料から優先的に弁済を受けることができる。

4) 抵当権設定登記後にBが同抵当建物をFに賃貸した場合、対抗要件を備えた短期の賃貸借であっても、賃借人Fは抵当権実行による買受人Gに対抗できない。

5) 抵当権設定登記後にBが同抵当建物をHに賃貸してHがその旨の登記を備えた場合、抵当権実行による買受人Iからの明渡請求に対して、賃借人Hは、明渡しまでの使用の対価を支払うことなく、6ヶ月の明渡猶予期間を与えられる。

■解説

【難易度】普通。

1) 正しい。抵当権の対象となっているB所有建物と完全に独立した物であるテレビには、抵当権の効力は及ばない。前掲内田358頁以下。370条参照。

2) 正しい。法定地上権の成立要件の1つに、「土地と建物が同一の所有者に属すること」というものがあるが(388条)、これは登記名義が同一であることまで必要としないとするのが判例(最判昭和53年9月29日)である。よって本肢ではDに法定地上権が成立する。前掲内田377頁参照。

3) 正しい。371条。

4) 正しい。賃貸借より先に抵当権の対抗要件が具備されているので、抵当権の効力が優先される(395条)。なお短期賃貸借の保護は395条の改正により廃止されている。

5) 誤り。よってこれが正解である。6ヶ月の猶予はあるが、対価の支払いは必要である(395条2項)。

■契約の効力(2008−32)【判例知識問題】

AがBに対して自己所有の家屋を売る契約をした場合に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1) Aが当該家屋をBに引き渡すまでの間は善管注意義務をもって当該家屋を保存・管理しなければならないので、Aの履行遅滞中に不可抗力で当該家屋が滅失してもAが善管注意義務を尽くしていれば責任を負わない。

2) Bが登記を備える前に、AがCに対して当該家屋を二重に売ってしまった場合、CがBより先に仮登記を備えたときでも、AのBに対する債務は未だ履行不能とはならない。

3) Bが登記を備える前に、AがBへの譲渡を知っているDに対して当該家屋を二重に売ってしまい、登記を移転してしまった場合、Bは、それだけではDに対して債権侵害を理由とする不法行為責任を追及できない。

4) Bが登記を備える前に、AがBへの譲渡を知らないEに対して当該家屋を二重に売ってしまい、登記を移転してしまった場合、BがAに対して履行不能による損害賠償を請求するときは、価格が騰貴しつつあるという特別の事情があれば、転売・処分の可能性がなくても、騰貴前に処分したことが予想されない限り、騰貴した現在の価格を特別損害とすることができる。

5) Bが登記を備える前に、Aが、Bを害することを知っているFと通謀して当該家屋をFに対して代物弁済し、登記を移転してしまった場合、Aがその結果無資力となれば、Bは、A・F間の代物弁済を、詐害行為を理由に取り消すことができる。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。履行遅滞中に不可抗力で契約の目的物が滅失した場合、その責任はAが負わねばならない(大判明治39年10月29日)。参照、内田貴『民法U』初版(1997年、東大出版会)60−61頁。

2) 正しい。履行不能になるのは、Cが本登記を備えた場合だからである。最判昭和35年4月21日。前掲野村他50頁参照。

3) 正しい。債権侵害における、給付の妨害があるがBの有する債権は消滅しない事案であるが、このような場合通説は、債権侵害成立につき故意の他高度の違法性を要求する。前掲野村他33−34頁。判例として最判昭和昭和30年5月31日。

4) 正しい。損害賠償時の基準時に関するものである(最判昭和47年4月20日)。前掲野村他75頁。

5) 正しい。多くの判例は、代物弁済(482条)として不動産が譲渡される場合、それが詐害行為(424条)に該当することを認めている(大判昭和16年2月10日等)。債権額以上の不動産が代物弁済として供与されやすいというのがその理由である。前掲野村他109−110頁。

■多数当事者の債権関係(2008−33)【条文知識問題】

A、B、C三人がDから自動車1台を購入する契約をし、その売買代金として300万円の債務を負っている場合に関する次のア)−オ)の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア) この場合の売買代金債務は金銭債務であるので不可分債務となることはないため、Dは、A、B、Cに対して、それぞれ100万円の代金支払請求しかすることができない。

イ) Aは、Dに対して、A、B、C三人のために自動車の引渡しを請求することができるが、Dは、A、B、C三人のためであるとしても、Aに対してだけ自動車の引渡しをすることはできない。

ウ) 購入した自動車がA、B、C三人の共有となった場合には、Aは、自動車の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

エ) 自動車の売買代金300万円について、A、B、Cの三人が連帯債務を負担する場合において、Aの債務についてだけ消滅時効が完成したときは、Aの負担部分については、BおよびCも、その債務を免れる。

オ) 自動車の売買代金300万円について、A、B、Cの三人が連帯債務を負担する場合において、Aについては制限行為能力を理由に契約の取消しが認められるときには、Aの負担部分については、BおよびCも、その債務を免れる。

1) ア)、イ)

2) ア)、ウ)

3) イ)、エ)

4) ウ)、エ)

5) エ)、オ)

■解説

【難易度】普通。

ア) 誤り。A−Cが負う自動車代金の支払債務は可分債務であるが、この債務を意思表示により不可分債務とすることは可能である(428条)。なお判例は、数人が共同で買ったものの代金債務を分割債務としている(大判大正4年9月21日)。前掲野村他122頁。

イ) 誤り。A−Cが有する自動車の引渡請求権は不可分債権であるが、不可分債権の債務者は、債権者の内の1人に全部の弁済をし得る(428条)。前掲野村他125頁。

ウ) 正しい。249条。

エ) 正しい。439条。「負担部分」という言葉に注意。前掲野村他136頁。

オ) 誤り。433条。この場合BCが300万円の連帯債務を負担する。前掲野村他130頁。

よってウ)、エ)の4)が正解となろう。

■相殺(2008−34)【判例、条文知識問題】

相殺に関する次のア)−ウ)の記述のうち、相殺の効力が生じるものをすべて挙げた場合、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

ア) AがBに対して平成20年5月5日を弁済期とする300万円の売掛代金債権を有し、BがAに対して平成20年7月1日を弁済期とする400万円の貸金債権を有している。この場合に、平成20年5月10日にAがBに対してする相殺。

イ) AがBに対して平成18年5月5日を弁済期とする300万円の貸金債権を有していたところ、平成18年7月1日にAがBに対して暴力行為をはたらき、平成20年7月5日に、Aに対してこの暴力行為でBが被った損害300万円の賠償を命ずる判決がなされた。この場合に、平成20年7月5日にAがBに対してする相殺。

ウ) A銀行がBに対して平成19年7月30日に期間1年の約定で貸し付けた400万円の貸金債権を有し、他方、BがA銀行に対して平成20年7月25日を満期とする400万円の定期預金債権を有していたところ、Bの債権者CがBのA銀行に対する当該定期預金債権を差し押さえた。この場合に、平成20年8月1日にA銀行がBに対してする相殺。

1) ア)、イ)

2) ア)、ウ)

3) イ)

4) イ)、ウ)

5) ウ)

■解説

【難易度】難しい。検討すべき説例の数は少ないものの、事例形式の出題で難しいかもしれない。

ア) 相殺できる。相殺するには「双方の債務の弁済期」が到来している必要があるが(505条1項)、5月10日の段階で、AがBに対し有する債権の弁済期は到来している一方、BがAに対し有する債権(甲)の弁済期は未到来である。ただAは、債権甲につき「期限の利益」を放棄できるから(136条2項)、相殺は可能とされている(期限の到来した自己の債権を自働債権として、期限未到来の他方の債権を受働債権として相殺することは可能)。前掲野村他245頁。

イ) 相殺できない。「受働」債権が不法行為により生じた債権だからである(509条)。逆に不法行為債権を「自働」債権として相殺することは可能である。前掲野村他247−248頁。

ウ) 相殺できる。最大判昭和45年6月24日。511条についての無制限説を採用した判例である。無制限説は、「支払の差止めを受けた第三債務者は、その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない」という511条の文言を形式解釈し、Cが、BのA銀行に対する債権の差押前に、A銀行はBに対する債権を取得しているから、貸金債権と預金債権の相殺が可能だとする。

よってア)、ウ)の2)が正解となろう。

■養子縁組(2008−35)【判例、条文知識問題】

養子縁組に関する次のア)−オ)の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア) 配偶者のある者が成年者を養子とする場合には、原則として配偶者の同意を得なければならないが、配偶者がその意思を表示することができない場合には、その同意を得ないで縁組をすることができる。

イ) 配偶者のある者が未成年者を養子とする場合には、原則として配偶者と共に縁組をしなければならないが、配偶者の嫡出である子を養子とする場合には、単独で縁組をすることができる。

ウ) 配偶者のある者が未成年者を養子とする場合には、原則として配偶者と共に縁組をしなければならないが、配偶者もまた未成年者である場合には、単独で縁組をすることができる。

エ) 真実の親子関係がない親から嫡出である子として出生の届出がされている場合には、その出生の届出は無効であるが、その子が成年に達した後はその出生の届出を養子縁組の届出とみなすことができる。

オ) 真実の親子関係がない戸籍上の親が15歳未満の子について代諾による養子縁組をした場合には、その代諾による縁組は一種の無権代理によるものであるから、その子は、15歳に達した後はその縁組を追認することができる。

1) ア)、イ)

2) ア)、ウ)

3) イ)、オ)

4) ウ)、エ)

5) エ)、オ)

■解説

【難易度】易しい。

ア) 正しい。前半は796条、後半は同条但書。佐藤−伊藤−右近『民法X』第2版補訂(2000年、有斐閣)86−87頁。

イ) 正しい。前半は795条(夫婦共同縁組)、後半は同条但書。前掲佐藤他87−88頁。

ウ) 誤り。「配偶者もまた未成年者である」とは、婚姻により成年擬制を受けているが実年齢は未成年者という配偶者のことを意味していると思われる。ここで問題となるのは、婚姻による成年擬制(753条)が792条にも及ぶかということであるが、この点については積極に解してよいとされている(古い文献で恐縮だが、松坂佐一『民法提要親族・相続法』第3版〔1981年、有斐閣〕119頁。なお佐藤他『民法X』第2版補訂〔2000年、有斐閣〕84頁)。よって未成年者の配偶者は婚姻により成年になったと擬制されるので、養子縁組の場合795条の適用があると解されよう。

エ) 誤り。最判昭和25年12月28日(最高裁サイト)である。

オ) 正しい。最判昭和27年10月3日である。前掲佐藤他83頁。

よってウ、エが誤りであり、4)が正解となろう。