■2008年行政書士試験・地方自治法

行政書士合格講座行政書士試験の過去問分析>2008年行政書士試験・地方自治法

このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■条例制定権(2008−21)【条文知識問題】

地方自治法の定める町村の条例制定の可否に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 町村は、住民による直接の選挙で首長を選出せず、議会で首長を選出する旨の条例を制定することができる。

2) 町村は、議会を設置せず、選挙権を有する者の総会をもってこれに代える旨の条例を制定することができる。

3) 町村は、教育委員会を設置せず、教育長にその事務を行わせる旨の条例を制定することができる。

4) 町村は、選挙管理委員会を設置せず、首長またはその補助機関に選挙管理の事務を行わせる旨の条例を制定することができる。

5) 町村は、監査委員を置かず、監査に関する事務を外部に委託する旨の条例を制定することができる。

■解説

1) 誤り。長の選任が住民の直接投票によることは憲法上の要請(93条2項)であるので、これに反する条例を制定することはできない。塩野宏『行政法V』第2版(2001年、有斐閣)161頁。

2) 正しい。地方自治法94条。

3) 誤り。教育委員会の設置は地方自治法上の義務であり(180条の5第1項1号)、これに反する条例を制定することを得ない(14条1項参照)。

4) 誤り。選挙管理委員会の設置は地方自治法上の義務である(180条の5第1項2号)。

5) 誤り。監査委員の設置は地方自治法上の義務である(180条の5第1項4号)。

■地方公共団体と国の関係(2008−22)【条文知識問題】

地方自治法の定める裁判所への出訴に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 市町村の境界に関する争論について都道府県知事が行った裁定に不服があるときは、関係市町村は、境界の確定について出訴することができる。

2) 市町村議会議員選挙を無効とする旨の都道府県選挙管理委員会の裁決に不服があるときは、当該議会は、この裁決について出訴することができる。

3) 都道府県知事が所定の期限内に法定受託事務に関する是正勧告に係る事項を行わないときは、各大臣は、この不作為について出訴することができる。

4) 都道府県が担当する事務に関する国の是正の要求について国地方係争処理委貝会が行った審査の結果に不服があるときは、当該都道府県の知事は、この是正の要求について出訴することができる。

5) 市町村議会における条例制定の議決についての都道府県知事による裁定の結果に不服があるときは、当該市町村の議会又は長は、この裁定について出訴することができる。

■解説

2)3)両者共に間違った記述が見られる。試験実施機関は3)、を正しい記述をしている肢としているが、かなり疑問と言わざるを得ない。

1) 正しい。地方自治法9条2項、8項。前掲塩野113頁。

2) 誤り。公職選挙法202条2項、203条1項に関する肢だが(「『地方自治法』の定める…出訴」、ではない)、出訴するのは202条1項に書かれてある「選挙の効力に関し不服がある選挙人又は公職の候補者」である。

3) 正しい。是正勧告(地方自治法240条の8第1項)を出しただけでは出訴することができない。勧告に加え是正の指示(240条の8第2項)の後出訴(第3項)ということになる(故に本肢は本来誤りと判断すべきなのだろうと思われる)。出訴以降代執行までの流れに注意すること。前掲塩野183頁。

4) 正しい。251条の5第1項1号。前掲塩野191頁。

5) 正しい。176条6、7項。前掲塩野159頁。

■財務(2008−23)【条文、判例知識問題】

普通地方公共団体の財務に関する次の記述のうち、法令または最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 公共用財産については、それが長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、黙示的に公用が廃止されたものとみなしうる場合であっても、取得時効の成立は認められない。

2) 行政財産の目的外使用の許可については、当該財産の目的に鑑みて支障がない場合であっても、管理者はその許可を拒否することができる。

3) 地方公共団体は、指名競争入札に参加させようとする者を指名する際に、その者が地元の絡済の活性化に寄与するか否かを考慮に入れてはならない。

4) 地方公共団体の議会があらかじめ承認を与えたときでも、当該地方公共団体は、その財産を適正な対価なくして譲渡することはできない。

5) 金銭の給付を目的とする地方公共団体の権利は、時効に関し地方自治法以外の法律に特別の定めがある場合を除くほか、時効により消滅することはない。

■解説

1) 誤り。過去にも出題のあった最判昭和51年12月24日である。公物に黙示の公用廃止が認められる場合、私人の時効取得を認めるとするのが判例である。前掲塩野288−289頁。

2) 誤り。正しい。最判平成18年2月7日である(判決文〔最高裁〕)。

3) 誤り。最判平成18年10月26であるが(判決文〔最高裁〕)、最高裁は一般論として経済の活性化という点を考慮に入れることを認めている。

4) 誤り。237条2項反対解釈である。

5) 誤り。地方自治法にも、金銭の給付を目的とする地方公共団体の権利の時効消滅に関する規定がある(236条1項)。

■住民訴訟(2008−24)【判例知識問題】

住民訴訟に関する次のア)−エ)の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア) 教育委員会が教頭を退職前の1日だけ校長に任命した行為を前提に、地方公共団体の長が行った退職手当の支給は、任命行為が違法であるならば当然に違法となる。

イ) 懲戒免職処分とすべきところを違法に分限免職処分とした上で行われた退職手当の支給は、当該分限免職処分が退職手当の支給の直接の原因であるから、当然に違法となる。

ウ) 地方公共団体が随意契約の制限に関する法令に違反して契約を締結した場合には、当該契約に基づく債務の履行は当然に違法となる。

エ) 県議会議長が発した議員の野球大会参加のための旅行命令書に基づき知事の補助職員が行った公金の支出は、当該旅行命令が違法であったとしても適法となる余地がある。

1) ア)、イ)
2) ア)、ウ)
3) ア)、エ)
4) イ)、ウ)
5) イ)、エ)

■解説

ア) 誤り。242条の2第1項4号の事案である。最判平成4年12月15日は、教育委員会による本件のような任命行為に対して、地方公共団体の長は当該処分が「著しく合理性を欠きそのためにこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵の存する場合」でなければこの処分に応じた財務会計上の措置をとるべきであるとしている。そしてこのような1日だけの任命については、上記瑕疵は存在せず、この任命行為については財務会計上の措置をとる義務があったと判断し、退職手当の支給を合法なものとしている(判決文〔最高裁〕)。

イ) 正しい。原因行為が法令違反の場合の財務会計上の行為も違法となる(最判昭和60年9月12日、判決文)。但しこの事件では、原因行為たる分限免職は違法とされなかった。

ウ) 誤り。本肢の様な契約は、法令による制限の趣旨を没却するような特段の事情があれば私法上も無効となるが、そうでない場合は有効であり、有効な場合について242条の2第1項1動に基づく差止請求は認められない、というのが判例である(最判昭和62年5月19日)(判決文〔最高裁〕)。

エ) 正しい。判例は、議員の野球参加は議員としての職務ではないので、議員は県に対し当該大会参加のための旅費相当分を返還する義務を負うとしているが、本件命令書に基づく補助職員による議員への公金支出行為は、当該旅行命令の違法性を認めつつ、野球大会の趣旨を考えると財務会計法規上の義務に反する違法なものとはいえない、としている(最判平成15年1月17日、。判決文〔最高裁〕)。

よって正解は5)イ)、エ)となろう。

■地方公共団体の種類(2008−25)【条文知識問題】

地方自治法の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 都道府県は、指定都市の市長から要請があった場合には、都道府県の事務の一部又は全部を指定都市に移譲しなければならない。

2) 指定都市が市長の権限に属する事務を分掌させるために条例で設ける区を、特別区という。

3) 市が中核市の指定の申出をしようとするときには、当該市は、あらかじめ議会の議決を経て、都道府県の同意を得なければならない。

4) 中核市は、特例市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる。

5) 地方自治法が定める一定の人口要件を下回った市は、町または村となる。

■解説

1) 誤り。このような規定はない。なお指定都市(252条の19)は、「252条の19第1項各号のうち都道府県が法律又はこれに基づ政令の定めるところにより処理することとされているものの全部又は一部で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理し又は管理し及び執行する」、のである。

2) 誤り。特別区は東京23区のことである(281条1項)。本肢に言う「区」については、252条の20参照。

3) 正しい。252条の24第2項。

4) 誤り。中核市(252条の22)は、「指定都市が処理することができる事務(252条の19第1項)のうち、都道府県がその区域にわたり一体的に処理することが中核市が処理することに比して効率的な事務その他の中核市において処理することが適当でない事務以外の事務で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することができる」、のである。

5) 誤り。このような規定はない。なお市の人口要件については8条1項1号、本問全体については、塩野宏『行政法V』第2版(2001年、有斐閣)116頁以下参照。