■2007年行政書士試験・法令科目多肢選択式

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■議員定数不均衡訴訟判決(2007−41)

次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄(ア)〜(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。

「公職選挙法の制定又はその改正により具体的に決定された選挙区割と議員定数の配分の下における選挙人の投票の有する(ア)に不平等が存し、あるいはその後の(イ)の異動により右のような不平等が生じ、それが国会において通常考慮し得る諸般の要素をしんしやくしてもなお、一般に(ウ)性を有するものとは考えられない程度に達しているときは、右のような不平等は、もはや国会の(ウ)的裁量の限界を超えているものと推定され、これを正当化すべき特別の理由が示されない限り、憲法違反と判断されざるを得ないものというべきである。
もつとも、制定又は改正の当時合憲であつた議員定数配分規定の下における選挙区間の議員一人当たりの選挙人数又は(イ)(この両者はおおむね比例するものとみて妨げない。)の較差がその後の(イ)の異動によつて拡大し、憲法の選挙権の平等の要求に反する程度に至つた場合には、そのことによつて直ちに当該議員定数配分規定が憲法に違反するとすべきものではなく、憲法上要求される(ウ)的(エ)内の是正が行われないとき初めて右規定が憲法に違反するものというべきである。」
(最大判昭和60年7月17日民集39巻5号1100頁以下)

1 羈束 2 数量 3 地域 4 人事 5 権力

6 価値 7 人工 8 結果 9 票決 10 厳格

11 期間 12 効果 13 機関 14 囲繞 15 合理

16 関連 17 人口 18 明確 19 要件 20 秩序

■解説

メジャーな判例からの出題だけに、4つの欄すべてを正解(8点得点)しておきたいものである。なお今年も昨年同様、多肢選択式では、憲法1問行政法2問の出題となった。

この判決の判旨は次の通りである。

「公職選挙法の制定又はその改正により具体的に決定された選挙区割と議員定数の配分の下における選挙人の投票の有する(ア価値)に不平等が存し、あるいはその後の(イ人口)の異動により右のような不平等が生じ、それが国会において通常考慮し得る諸般の要素をしんしやくしてもなお、一般に(ウ合理)性を有するものとは考えられない程度に達しているときは、右のような不平等は、もはや国会の(ウ合理)的裁量の限界を超えているものと推定され、これを正当化すべき特別の理由が示されない限り、憲法違反と判断されざるを得ないものというべきである。
もつとも、制定又は改正の当時合憲であつた議員定数配分規定の下における選挙区間の議員一人当たりの選挙人数又は(イ人口)(この両者はおおむね比例するものとみて妨げない。)の較差がその後の(イ人口)の異動によつて拡大し、憲法の選挙権の平等の要求に反する程度に至つた場合には、そのことによつて直ちに当該議員定数配分規定が憲法に違反するとすべきものではなく、憲法上要求される(ウ合理)的(エ期間)内の是正が行われないとき初めて右規定が憲法に違反するものというべきである。」

ア) 6 イ) 17 ウ) 15 エ) 11が答えとなろう。

選挙権、選挙権の平等には、投票数の数的平等に加え投票価値の平等も含まれる。そして選挙権は民主政を支える重要な権利であり、かつ選挙法は徹底した人格平等の原則を基礎としているので、特に衆議院議員選挙においては、1票の格差が2対1以上に開くことは、投票価値平等の要請に反するといえる(芦部・憲法133頁参照)。

なお「2対1」の基準は学説で広く支持されているが、判例は1票の格差に付き「3対1」まで許容するものと解される余地がある(最大判昭和53・11・7、衆議院議員選挙に関する事案)点に注意。芦部・憲法136頁参照。

■行政立法(2007−42)

行政立法に関する次の文章の空欄(ア)〜(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。

行政立法は、学説上、法規命令と(ア)の二つに分類される。(ア)にはさまざまな内容のものがある。例えば、地方公務員に対する懲戒処分について、「正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。」といった形の基準が定められることがあるが、これもその一例である。

このような基準は、処分を行う際の(イ)としての性格を有するものであるが、それ自体は(ウ)としての性格を有するものではなく、仮に7日間無断欠勤した公務員に対して上掲の基準より重い内容の懲戒処分が行われたとしても、当該処分が直ちに違法とされるわけではない。しかし、もし特定の事例についてこの基準より重い処分が行われたとき、場合によっては、(エ)などに違反するものとして違法とされる余地がある。

1 執行命令 2 罪刑法定主義 3 条例 4 権利濫用 5 裁判規範

6 公定力 7 自力執行力 8 平等原則 9 指導要綱 10 行政規則

11 組織規範 12 適正手統 13 所掌事務 14 営造物規則 15 委任命令

16 特別権力関係 17 裁量基準 18 告示 19 施行規則 20 法令遵守義務

■解説

問題のレヴェルとしては普通レヴェルまたはそれより若干難しいと言えようか。

@行政立法は、法規命令と(ア)行政規則に大別される。両者は国民の権利義務に直接関係するか、しないかで区別される。
後者の行政規則は、国民の権利義務に直接関係せず外部的効果を有しないので、行政規則をめぐる紛争は裁判所では取り上げられない。すなわち(ウ)裁判規範としての性格は持たない。

A行政規則には各種存在するが、行政機関の行動の基準に関する定めがある。これには、よるべき解釈を定めたり、裁量に関する基準を定めたりするものがある(イ 裁量基準)。

Bなお、行政庁は上記の裁量基準から随意に離れた決定を出すことができるか。これを肯定する判例もあるが(最判昭和53・10・4)、(エ) 平等原則や相手方の信頼保護という点を考慮すると、裁量基準と異なる判断を出す場合は、そのための合理的根拠を必要とし、それがない場合は違法の問題を生じる。つまりこの限りにおいて行政規則といえども外部的効果を有する場合があり得る(塩野宏「行政法T」第2版増補〔2000年、有斐閣〕82頁以下参照)。

よって(ア)から順に、10、17、5、8が入ることになろう。

■事情判決、判決の効力(2007−43)

処分取消訴訟に関する次の文章の空欄(ア)〜(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。

処分取消訴訟を提起しても、そもそも、訴えそれ自体が訴訟要件を満たす適法なものでなければならないことはいうまでもない。しかし、訴えが仮に適法なものであったとしても、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由に取消しを求めることはできないから、そのような違法事由しか主張していない訴えについては、(ア)が下されることになり、結局、原告敗訴ということになる。さらに、処分が違法であっても、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合においては、一定の条件の下、(ア)がなされることがある。このような判決のことを、(イ)というが、この場合、当該判決の主文において、当該処分が違法であることを宣言しなければならない。このような違法の宣言は、判決主文において行われることから、その判断には(ウ)が生ずる。

取消判決がなされると、当該処分の効果は、当然否定されることになるが、その他にも取消判決の効力はいくつか挙げられる。例えば、申請の拒否処分が取り消された場合、当該拒否処分を行った行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。このような効力を(エ)という。

1 棄却判決 2 公定力 3 拘束力 4 却下判決 5 義務付け判決

6 自力執行力 7 事情判決 8 差止判決 9 遡及効 10 無効確認判決

11 既判力 12 確認判決 13 中間判決 14 不可変更力 15 規律力

16 違法確認判決 17 認容判決 18 不可争力 19 対世効 20 将来効

■解説

事情判決と、判決の効力に関する問題である。事情判決は過去の問題でも何度か出題されていたが、判決の効力についての出題は今回が初めてになるのではなかろうか。

@行政事件訴訟では、「取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない」(行政事件訴訟法10条1項)。よってこの条文で言う「違法理由」を主張する訴えには、(ア)棄却判決が出されることになる。

なお、却下判決が入ると勘違いをされた方がいるかもしれないが、(ア)の前に、「訴訟要件をみたさねばならず、訴えは適法なものでなければならないけれど、適法だとしても〜」という旨の文章があることに注意されたい。訴え自体は適法ということは次に来るのは本案審理の話(=アの部分)である。ということは本案審理の結果出される敗訴判決=棄却判決がアには入らねばならない。

A(イ)事情判決が入る(法31条1項本文)。

B取消訴訟の判決の効力に、形成力、既判力、拘束力の3つがある。(ウ)は埋めにくいかもしれないので先に(エ)を見るのが得策であっただろう。

(エ)には拘束力がはいる。これは、行政庁に判決の趣旨に従い行動すべきことを義務付ける効力のことを言う。この結果(ウ)には消去法で既判力が入ることになる。

判決の効力は民事訴訟法の知識がないと分りにくいのでここでの説明は省くが、本試験の場では(ウ)(エ)には何らかの効力に関するキーワードが入ることは想定できたであろう。ということは、「〜力」という単語が括弧にはいる、という結論が出てくるはずである。
それを前提に選択肢を見ると、2、6、14は行政行為の効力だから対象外にできる。とすれば「〜力」のキーワードは3、11、15に絞られることになる。もし(ウ)(エ)がまったく分らなければこの3つを使って勘で解くことになるが、こうすれば漠然と勘で埋めるよりは正解に達する確率は高くなったであろうと思う。

よって(ア)から順に、1、7、11、3が入ることになろう。

判決の効力については、田中二郎「行政法上巻」新版全訂第2版(1974年、弘文堂)351頁以下参照。