■2007年行政書士試験・行政手続法

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■聴聞手続(2007−11)【条文知識問題】

行政手続法の定める聴聞に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 聴聞の主宰者の決定は、不利益処分の名あて人となるべき者(当事者)が聴聞の通知を受けた後、当事者と行政庁との合議によってなされる。

2) 不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合には、行政庁は聴聞の通知や掲示を省略することができる。

3) 文書閲覧請求権に基づき、当事者が行政庁に資料の閲覧を求めた場合であっても、正当な理由が認められる場合には、行政庁はその閲覧を拒むことができる。

4) 聴聞の主宰者が聴聞の結果作成される報告書に当事者等の主張に理由があるとの意見を記載した場合には、行政庁が報告書の記載に反して不利益処分をすることは許されない。

5) 法改正に伴い削除。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。聴聞を主宰するのは、行政庁が指名する職員その他政令で定める者であって(行政手続法19条1項)、合議の結果主宰者が決まるのではない。

2) 誤り。この場合、本来行われる書面による通知に代わり、名宛人の氏名、15条1項3号及び4号に掲げる事項並びに当該行政庁が1項各号に掲げる事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することになる(15条3項)。

3) 正しい。18条1項後段。

4) 誤り。行政庁は、不利益処分をする際に、主宰者が作成した調書の内容や報告書(24条)に記載された主催者の意見を十分に斟酌しなければならないが(26条)、これは、行政庁が報告書の意見を尊重しなければならない、ということを意味するのであり、報告書の意見に厳格に拘束され、意見の趣旨と異なる内容の不利益処分ができない、ということまでは意味しない。芝池義一『行政法総論講義』第4版(2001年、有斐閣)306頁参照。

5) 法改正に伴い削除。旧27条2項を問う肢であったが、同条項は行政不服審査法の改正に伴い削除された。宇賀克也『行政不服審査法の逐条解説』(2015年、有斐閣)317頁。

■審査基準(2007−12)【条文知識、理論問題】

行政手続法による審査基準に関する次のア)−オ)の記述のうち、妥当なものはいくつあるか。

ア) 審査基準の設定は、行政手続法の委任に基づくものであり、申請者の権利にかかわるものであるから、審査基準も法規命令の一種である。

イ) 不利益処分についての処分基準の設定が努力義務にとどまるのに対して、申請に対する処分についての審査基準の設定は、法的な義務であるとされている。

ウ) 審査基準に違反して申請を拒否する処分をしても、その理由だけで処分が違法となることはないが、他の申請者と異なる取扱いをすることとなるため、比例原則違反として、違法となることがある。

エ) 審査基準の設定には、意見公募手続の実施が義務付けられており、それに対しては、所定の期間内であれば、何人も意見を提出することができる。

オ) 国の法律に基づいて地方公共団体の行政庁がする処分については、その法律を所管する主務大臣が審査基準を設定することとなる。

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】やや難。

ア) 誤り。審査基準は、法規命令ではなく行政規則に分類される。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)294頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)59頁。

イ) 正しい。「処分基準の設定、公表は努力義務」(12条1項)であるが、「審査基準の設定、公表は法的義務」(5条1項)である。今後もこの肢は出題されるであろうから要チェックである。なお、6条の義務についてもチェックしておくこと。

ウ) 誤り。前半部分は正しい。前掲塩野294頁参照。但し行政庁が審査基準からそれて申請を拒否した場合は、審査基準にそって申請が通った場合と比べ取り扱いが不平等になるため、平等原則違反として違法となる場合があり得る。「比例」原則違反が問題となるのではない。

エ) 正しい。39条1項。同条の「命令等」には審査基準も含まれる(2条8号ロ)。

オ) 誤り。難解な肢である。この肢にいう「処分」の例として「法定受託事務」を挙げ得るが、法定受託事務は自治事務と同様「地方公共団体の事務」(塩野宏『行政法V』第2版〔2001年、有斐閣〕128頁)であるので、処分を行う地方公共団体の行政庁(5条1項参照)が法定受託事務についても審査基準を設定できると言えようか。この点については疑問を留保する。

よって正解は、イ)、エ)の2つになろう。

■行政手続法と地方公共団体の事務の関係(2007−13)【条文知識問題】

地方公共団体の活動への行政手続法の適用に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 地方公共団体の職員がする行政指導であっても、法律に基づくものについては、行政手続法の行政指導に関する規定が適用される。

2) 地方公共団体の制定する命令等であっても、法律の委任によって制定されるものについては、行政手続法の意見公募手続に関する規定が適用される。

3) 地方公共団体の機関がする不利益処分については、それが自治事務に該当する場合には、行政手続法の不利益処分に関する規定は適用されない。

4) 地方公共団体の条例にその根拠となる規定が置かれている届出の処理については、行政手続法の届出に関する規定は適用されない。

5) 地方公共団体の機関がする「申請に対する処分」については、それが国の法定受託事務に該当する場合に限り、行政手続法の「申請に対する処分」の規定が適用される。

■解説

【難易度】やや難。行政手続法3条3項の知識問題といえばそれまでだが、ちょっと難しい問題になっていると思う。

(行政)「手続法は、処分および届出については、その根拠が条例又は規則であるものに限り適用対象外とし、行政指導、命令等については、すべて手続法の適用外とする整理の方法を採用した」(塩野宏『行政法T』第5版〔2009年、有斐閣)283頁)。

1) 誤り。当該行政指導は、法律に基づくかどうかに「関係なく」、行政手続法の適用除外となる。

2) 誤り。当該命令制定行為も、法律に基づくかどうかに「関係なく」、適用除外となる。

3) 誤り。紛らわしい肢である。自治事務でも、法令に基づくものについては(地方自治法2条13項参照)、適用除外にはならない。

4) 正しい。これが正解であろう。

5) 誤り。法定受託事務、自治事務のどちらであろうと「種類を問わず」、その根拠が法令に基づくものであれば適用除外にはならないし、逆にどちらであろうとその根拠が条例などに基づけば適用除外になる。前掲塩野283−284頁。