■2007年行政書士試験・行政救済法

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■行政不服審査法(2007−14)【条文知識問題】

行政不服審査法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

1) 審査請求をすべき行政庁が処分庁と異なる場合における審査請求は、審査請求書を処分庁に提出して、処分庁を経由する形で行うこともできる。

2) 行政不服審査法は、審査請求の対象となる「行政庁の処分」につき、いわゆる一般概括主義をとっており、審査請求をすることができない処分を、同法は列挙していない。

3) 再審査請求は、処分についての審査請求の裁決により権利を害された第三者で、自己の責めに帰することができない理由により手続に参加できなかった者が行うものであるから、再審査請求期間についての規定はない。

4) 行政不服審査法は、行政の適正な運営の確保も目的としているので、裁決で処分を変更する場合、審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更することを命じることもできる。

5) 審査請求人の地位は、一身専属的な法的地位であるので、審査請求人が死亡した場合には、相続人等に承継されることはなく、当該審査請求は、却下裁決をもって終結する。

■解説

【難易度】

1) 正しい。行政不服審査法21条1項。

2) 誤り。前半の一般概括主義についての説明は正しいが、行政不服審査法は、審査請求をすることができない処分を列挙して「いる」(7条参照)。

3) 誤り。再審査請求の内容については6条参照。また再審査請求期間についての規定はある(62条1項)。

4) 誤り。不利益変更は禁止されている(48条)。

5) 誤り。審査請求人死亡の場合は、審査請求の目的たる処分に係る権利を承継した者が、審査請求人の地位を承継する(15条1項)。

■行政不服審査法(2007−15)【条文知識問題】

次の文章の空欄(ア)−(キ)のうち空欄(A)と同じ言葉が入るものはいくつあるか(法改正に伴い記述を改めた)。

行政不服審査法に基づき審査請求がなされたとき、処分の効力、処分の執行、手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置を行うか行わないかに関して、行政不服審査法25条1項は、行政事件訴訟法と同様、(A)原則を選択している。私人の権利利益救済の観点からは(ア)原則が望ましく、公益を重視する観点からは(イ)原則が望ましいといえる。

行政不服審査法の下においては、処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は職権により(ウ)をすることができる。これに対して、処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、審査請求人の申立てにより(エ)とすることができるのみであり、裁判所と同様、職権により(オ)とすることはできない。これは、処分庁の上級行政庁である審査庁は、処分庁に対して一般的指揮監督権を有するから、職権に基づく(カ)も一般的指揮権の発動として正当化されるという認識による。

なお、国税通則法105条1項のように、個別法において(キ)原則に修正が加えられている場合もある。

1) 1つ

2) 2つ

3) 3つ

4) 4つ

5) 5つ

(参考)国税通則法105条1項「国税に関する法律に基づく処分に対する不服申立ては、その目的となった処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。ただし、その国税の徴収のため差し押えた財産の滞納処分(その例による処分を含む。以下この条において同じ。)による換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるとき、又は不服申立人(不服申立人が処分の相手方でないときは、不服申立人及び処分の相手方)から別段の申出があるときを除き、その不服申立てについての決定又は裁決があるまで、することができない。」

■解説

【難易度】

A) 執行不停止が入る。審査請求や行政事件訴訟の提起があった場合、争われている処分の効力を止めるべきか否か等という点につき、どちらにおいても執行不停止原則が採用されている(行政不服審査法25条1項、行政事件訴訟法25条1項)。

ア) 執行停止。

イ) 執行不停止。「執行停止の判断は、結局のところ」国民側の「現状悪化防止の利益と処分庁側の公益の早期実現の要請をいかに調整するか」にある(塩野宏『行政法U』第6版〔2019年、有斐閣〕217頁)ので、現状悪化を止める国民の側にとっては執行停止が望ましいし、早く公益を実現するのであれば不停止が望ましい。

ウ−オ) 執行停止。ウ)エ)につき行政不服審査法25条2項、3項本文。オ)につき行政事件訴訟法25条2項本文。

カ) 執行停止。前掲塩野24頁。宇賀克也『行政不服審査法の逐条解説』(2015年、有斐閣)120頁。

キ) 執行不停止。「個別法において(キ)原則に修正が加えられている」との文脈から、国税通則法は105条1項は、執行不停止原則に修正を加えていることが分かる。国税通則法105条が執行不停止原則の例外を規定している点を指摘するものとして、原田尚彦『行政法』第3次改訂版(2001年、学陽書房)199頁。

よってA)の「執行不停止」が入るのは、イ)とキ)の2つになろう。

■行政不服審査法(2007−16)【条文知識問題】

行政不服審査法における審査請求に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

1) 大臣または外局の長がした処分については、審査請求はできない。

2) 審査請求と再調査の請求の両方が認められている処分については、先に再調査の請求をしなければならない。

3) 申請に対する不作為については、審査請求のみが認められ、再調査の請求はできない。

4) 審査請求においては、口頭審理が原則であるが、再調査の請求においては、書面審理が原則である。

5) (法改正に伴い削除)

■解説

【難易度】

1) 誤り。旧法は、このような処分につき審査請求を認めず異議申立のみを認めていたが(行政不服審査法旧5条1項1号但書、旧6条2号)、異議申立が廃止されたため、本肢の処分についても審査請求を認める事となった(4条1号)。前掲宇賀28頁。

2) 誤り。「行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、当該処分に不服がある者は、処分庁に対して再調査の請求をすることができる」(5条1項)。審査請求と再調査の請求については、どちらを利用するか自由に選択可能である。

3) 正しい。元々は旧7条についての問題であった。旧規定は、不作為につき審査請求、異議申立いずれかをできる旨規定していたが、新規定は、不作為につき審査請求のみを認めている(3条)。なお再調査の請求、再審査請求共に不作為は対象とならない。前掲宇賀30、35頁。

4) 誤り。旧25条1項と異なり、改正法では審査請求における書面審理原則の明文規定がないが(31条1項参照)、これは書面審理原則が放棄されたとみるべきではないと解されている。前掲宇賀136頁。再調査の請求も書面審理原則が妥当すると解される(61条による31条の準用)。

5) 法改正に伴い削除。

■行政事件訴訟法(2007−17)【条文知識、判例知識問題】

行政事件訴訟法上の訴訟類型の選択に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) Xの家の隣地にある建築物が建築基準法に違反した危険なものであるにもかかわらず、建築基準法上の規制権限の発動がなされない場合、Xは、当該規制権限の不行使につき、不作為違法確認訴訟を提起することができる。

2) Xらの近隣に地方公共団体がごみ焼却場の建設工事を行っている場合、建設工事は処分であるから、Xらは、その取消訴訟と併合して、差止め訴訟を提起し、当該地方公共団体に対して建設工事の中止を求めることができる。

3) Xが市立保育園に長女Aの入園を申込んだところ拒否された場合において、Xが入園承諾の義務付け訴訟を提起する場合には、同時に拒否処分の取消訴訟または無効確認訴訟も併合して提起しなければならない。

4) Xが行った営業許可可申請に対してなされた不許可処分について、同処分に対する取消訴訟の出訴期間が過ぎた後においてなお救済を求めようとする場合には、Xは、公法上の当事者訴訟として、当該処分の無効の確認訴訟を提起することができる。

5) X所有の土地について違法な農地買収処分がなされ、それによって損害が生じた場合、Xが国家賠償請求訴訟を提起して勝訴するためには、あらかじめ、当該買収処分の取消訴訟または無効確認訴訟を提起して請求認容判決を得なければならない。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。不作為の違法確認訴訟は、「行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについて」違法確認を求める訴訟である(行政事件訴訟法3条5項)。Xは、ここで言う「申請」をしているわけではないので、不作為の違法確認訴訟を提起できない。

2) 誤り。差止訴訟は、「行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合」(3条7項)に問題となるが、建設行為自体は処分ではなく事実行為であるので、差止訴訟は提起できない。

3) 正しい。37条の3第3項。

4) 誤り。この不許可処分が無効の処分なら別段、出訴期間(14条)が過ぎれば当該処分には不可争力が働くので、「なお救済を求めようとする」ことはできない。

5) 誤り。過去頻出の肢である。国家賠償請求訴訟を提起、勝訴するためにその前提として取消訴訟等による公定力の排除は必要ではない。もはや定説といえようか。前掲塩野351頁以下参照、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)87頁。

■行政事件訴訟法(2007−18)【条文知識問題】

行政事件訴訟法における処分無効確認訴訟に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 無効確認訴訟は、処分の無効確認を求める法律上の利益を有する者に限って提起することができる。

2) 処分が無効であることは、無効確認訴訟によってのみ主張でき、民事訴訟などにおいて、これを主張することはできない。

3) 無効な処分の違法性は重大かつ明白であるから、無効確認訴訟が提起されると、原則として、処分の執行は停止される。

4) 無効確認訴訟については、出訴期間の制限の規定はないが、取消訴訟の出訴期間の規定が準用される。

5) 取消訴訟について不服申立ての前置が要件とされている処分については、無効確認訴訟についても、それが要件となる。

■解説

【難易度】易しい。

1) 正しい。36条。

2) 誤り。処分が無効であれば公定力は生じないので、行政事件訴訟によることなく、処分の無効を前提に自己の権利義務を直接民事訴訟等で争うのが原則である。そのため、行政事件訴訟法は、無効確認訴訟を限られた場合のみ提起することができる旨規定している。前掲塩野195頁以下、櫻井他322−323頁。

3) 誤り。執行不停止原則(25条)は、無効確認訴訟において準用されている(38条3項)。

4) 誤り。無効確認訴訟において、出訴期間(14条)の規定は準用されていない(38条3項)。

5) 誤り。無効確認訴訟において、不服申立前置(8条1項但書)の規定は準用されていない(38条3項)。

■行政事件訴訟法(2007−19)【理論問題】

次のア)−オ)の記述のうち、行政事件訴訟法4条の当事者訴訟に当たるものの組合せとして、正しいものはどれか。

ア) 土地収用法に基づいて、土地所有者が起業者を被告として提起する損失補償に関する訴え。

イ) 公職選挙法に基づいて、選挙人または候補者が中央選挙管理会を被告として提起する衆議院議員選挙の効力に関する訴え。

ウ) 食品衛生法に基づいて、都道府県知事に対して行った飲食店営業許可の申請に対して、相当の期間内に何らの処分も行われない場合に、その不作為の違法確認を求める訴え。

エ) 地方自治法に基づいて、市町村の境界に係る都道府県知事の裁定に対して関係市町村が提起する訴え。

オ) 日本国籍を有することの確認の訴え。

1) ア)、エ)
2) ア)、オ)
3) イ)、ウ)
4) イ)、エ)
5) ウ)、オ)

■解説

【難易度】難しい。07年の行政救済法の問題の中で1番難易度が高かったのが本問であろう。但し、ア)が当事者訴訟に該当するということは大体どのテキストにも書かれているため、多くの方は、ア)を正しいと判断し選択肢を2つにしぼったものの、1)と2)のどちらが正解になるか−エ)、オ)の正誤判断−で苦しんだ方が多かったと思う。正解は2) ア)、オ)である。

「公法上の当事者訴訟とは、『当事者間の公法上の法律関係に関する訴訟』をいう。抗告訴訟が、行政庁の権力の行使・不行使の適否を争う『行為訴訟』で、民事訴訟とその本質・構造を異にするのに対し、当事者訴訟は、権利主体が対等な立場で権利関係を争う『権利訴訟』である。通常の民事訴訟と基本構造は同じで、手続上の違いもほとんどない。そのため、実際の運用を見ても公務員の地位確認とか俸給請求、損失補償の請求国籍確認など若干のものを除くと、公法上の当事者訴訟はあまり利用されていない」(原田尚彦『行政法』第3次改訂版〔2001年、学陽書房〕)。

ア) 形式的当事者訴訟である。土地収用法133条。

イ) 民衆訴訟である。公職選挙法204条。

ウ) 抗告訴訟(不作為の違法確認の訴え)である。行政事件訴訟法3条5項。

エ) 機関訴訟である。地方自治法9条8項。前掲塩野292−293頁。

オ) 実質的当事者訴訟である。最判平成9年10月17日、前掲塩野274頁。

■国家賠償法(2007−20)【理論問題】

国家賠償法2条の定める営造物管理責任に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 国家賠償法2条に定める営造物は、道路・河川などの不動産を指し、公共団体が管理する動産の瑕疵については、それを管理する公務員の同法1条に基づく責任が問題となるほかは、同法2条の適用を受けることはない。

2) 営造物の管理責任は、公物として正規に管理されている行政財産についてのみ及び、事実上私人によって道路として利用されているに過ぎない公有地の管理責任については、国家賠償法2条の適用を受けることはない。

3) 営造物の管理責任は、営造物の物理的瑕疵を問うものであり、営造物を管理する公務員の管理義務違反は国家賠償法1条の責任であって、同法2条の責任が問われることはない。

4) 営造物の瑕疵は、営造物そのものに物理的瑕疵がある場合を元来指すが、第三者の行為により営造物が瑕疵ある状態になった場合にも、その状態を速やかに改善して瑕疵のない状態に回復させる責任が営造物管理者にはある。

5) 営造物の管理責任は、その営造物を設置し、管理する責任を有する公共団体が負い、営造物の設置、管理の費用を負担するに過ぎない公共団体が負うことはない。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。過去何度か出題のある肢である。国家賠償法2条にいう「公の営造物」には動産も含まれる。前掲塩野357頁。

2) 誤り。道路が公の用に供されている以上、国家賠償法2条の適用があり得る。

3) 誤り。例えば、道路における管理者の損害(発生)回避義務違反は、国家賠償法1条ばかりでなく、2条責任の問題としても取り扱い得る(肢4の解説も参照)。また、海浜に打ち上げられた不発弾の処理の不作為を、警察権行使の問題として1条の問題として取り扱うことも、海浜に着目し2条の問題として取り扱うことも可能である。前掲塩野365頁参照。

4) 正しい。最判昭和50年7月25日は、道路に故障車が放置され、その放置車両に原付自転車が衝突し人身事故が発生した件に付き、道路の安全性を確保する措置を講じなかったことを理由として道路管理の瑕疵(管理者の責任)を認定し、国家賠償法2条の責任を認めている。前掲塩野359−360頁。

5) 誤り。国家賠償法3条。