■2007年行政書士試験・行政法総論

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■行政行為・認可(2007−8)【理論問題】

次のア)−オ)に挙げる行政行為のうち、私人の法律行為の法的効果を完成させる効果を有するもので、行政行為の分類上、「認可」とされるものはいくつあるか。

ア) 電気事業法に基づいて経済産業大臣が行う電気事業の「許可」。

イ) ガス事業法に基づいて経済産業大臣が一般ガス事業者に対して行う供給約款の「認可」。

ウ) 銀行法に基づいて内閣総理大臣が行う銀行どうしの合併の「認可」。

エ) 建築基準法に基づいて建築主事が行う建築「確認」。

オ) 農地法に基づいて農業委員会が行う農地の所有権移転の「許可」。

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】難しい。理由としては、予備校本にはあまり(殆ど?)出てこない事例が肢に登場するということと、個数問題であるということの2点をあげることができよう。

ア) 特許に該当する。電気事業法に基づく電気事業の「許可」(電気事業法3条参照)は、行政行為の分類では「特許」として理解される。この特許は、伝統的に国家の任務とされてきた事業を行う特権を私人に特別に与えるものであり、「公企業の特許」と解されている(例えばガス事業、鉄道事業への許可等)。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)79頁以下。

イ) 認可に該当する。「公共的企業の約款」の認可は、「認可」と理解される。芝池義一『行政法総論講義』第4版(2001年、有斐閣)129頁。

ウ) 認可に該当する。「公共的企業の合併の認可」も「認可」と理解される。前掲芝池129頁参照。銀行同士が合併の合意をしても、「内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない」(銀行法30条1項)と定められている点に注意。

エ) 確認に該当する。前掲芝池131頁参照。建築基準法6条参照。芝池はこの建築基準法の確認を、「機能的には1種の許可」としている。

オ) 認可に該当する。過去頻出の肢であり、説明は不要であろう。前掲芝池129頁。

正解は、イ)ウ)オ)の3つであろう。

■行政上の義務履行確保制度(2007−9)【理論問題】

行政上の義務履行確保に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 不作為義務、非代替的作為義務の履行にかかる直接強制、執行罰の仕組みについては、一般法の根拠はないので、法律もしくは条例による個別の根拠が必要である。

2) 市水道局による水道サービスの料金を滞納している私人に対し、市は地方自治法に基づき、行政上の強制徴収の仕組みを用いて徴収することができる。

3) 即時強制は法令により個別に根拠づけられている場合にのみ認められるが、いわゆる成田新法(成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法)による建物の実力封鎖、警察官職務執行法による武器の行使がその例である。

4) 路上駐車禁止は、それ自体は不作為義務であるが、警察官等は、過失なくして移動を命じる相手方を知ることができない時には、移動命令を発することなく、当該駐車車両を移動することができる。

5) 執行罰は行政上の義務履行確保の手法であるが、処罰としての実質を有するため、二重処罰禁止の法理から、刑事罰との併用ができないことが、その活用の障害となっている。

■解説

【難易度】難しい。

1) 誤り。「条例では、行政代執行法2条により認められている代執行を除き、行政上の義務履行確保の手段は規定できない」と解されている。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)230頁。

2) 誤り。強制徴収を行う場合、法令の根拠(国税徴収法や、「国税徴収法の例による」旨の規定)を必要とするが、水道料金の滞納については、このような根拠がないので、料金徴収は民事訴訟によることになる。参照

3) 誤り。即時強制は、義務の不履行を前提としない制度であるが(前掲塩野254頁、櫻井他183頁)、成田新法による封鎖(同法3条6項)は、3条1項の禁止命令違反が条件となる。よって即時強制の例としては正しくない。なお警職法の説明は正しい(前掲櫻井他184頁)。

4) 正しい。これが正解であろう。違法駐車のレッカー移動については、警察官が運転者に対し移動命令を出したうえで行う場合と(直接強制。道路交通法51条1、2項)、この移動命令なしで行う場合(即時強制。道路交通法51条3項)がある。前掲櫻井他183頁。

5) 誤り。そもそも執行罰は「罰」といっても科すのは過料(間接強制の方法を取る)であるから、憲法39条の二重処罰禁止の法理とは関係がない。

■運転免許制度と行政法(2007−10)【理論問題】

自動車の運転免許制度に関連した次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 自動車の運転免許は、免許を受けた者に対し、公道上で自動車を運転することができるという新たな法律上の地位を付与するものであるから、行政行為の分類理論でいうところの「特許」に該当する。

2) 自動車の運転免許を交付する事務は、都道府県公安委員会が処理しているが、これは本来国の事務であり、国家公安委員会から都道府県公安委員会に対して機関委任されているところの「国の機関委任事務」に該当する。

3) 自動車の運転免許の期限として、免許証に記載されている「○年○月○日まで有効」という条件は、行政行為の付款理論でいうところの「期限」に該当する。

4) 自動車を運転する者は、運転中は必ず免許証を携帯しなければならないものとされているため、免許証を携帯せずに運転し、警察官の求めに対して直ちに免許証を提示できなかった場合は、無免許運転として扱われることになる。

5) 道路交通法違反行為をしたことを理由として、公安委員会から運転免許停止処分を受けた者が、その取消しを求めて出訴している間に免許停止期間が終了した場合は、その行為による違反点数が残っていたとしても訴えの利益は消滅する。

■解説

【難易度】易しい。石川『プロゼミ行政法』をヒントにしたような問題である。

1) 誤り。自動車運転免許の「許可」は、行政行為の分類上も許可(運転禁止の解除行為)に該当する。石川敏行『はじめて学ぶプロゼミ行政法』改訂版(2000年、実務教育出版)167頁。

2) 誤り。地方自治法の改正によりなくなった機関委任事務という言葉が使われている段階で、本肢は誤りだとすぐ気づくであろう。

3) 正しい。前掲石川170頁。なお自動車運転免許に際し、眼鏡の着用を義務付けることは、負担に該当する。前掲石川167−168頁。

4) 誤り。行政法というより道交法の問題である。無免許運転とは、免許を受けないで自動車等を運転する事等を指す(道路交通法64条、117条の4第2号)。本肢は、免許を取得しているものの、運転の際免許証を携帯していなかったという趣旨であろうから、無免許運転の事案に関するものではない。

5) 誤り。この場合は行政事件訴訟法9条1項括弧書に該当するので、訴えの利益は消滅しないと思われる。