■2007年行政書士試験・法令記述式問題

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■行政法・行政手続法(2007−44)【条文知識問題】

Xは、A県内においてパチンコ屋の営業を計画し、A県公安委員会に風俗営業適正化法に基づく許可を申請した。しかし、この申請書には、内閣府令に定める必要な記載事項の一部が記載されていなかった。この場合、行政手続法7条によれば、A県公安委員会には、その申請への対応として、どのような選択が認められているか。40字程度で記述しなさい(管理人注。45字のマスに記入する。字数には句読点も含まれる)。

■解説

Xによる「申請」(許認可等を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの。行政手続法2条3号)の際提出された申請書に不備がある場合、行政庁はどう対応すべきか。

そもそも行政手続法は、行政処分を求める申請が役所に到達した場合に、行政側は「書類が整っているかを急いで確かめ(形式審査)、整っている申請については遅らせずケースの内容の調査、検討に入らなければならない」(実体審査)という立場を前提としている(兼子仁『行政手続法』〔1994年、岩波書店〕70頁参照)。そして同法は形式審査の不備につき、行政庁は「速やかに、申請者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない」(7条)と規定している。

「A県公安委員会は、速やかに相当期間を定めた上で申請の補正を求めるか又は申請を拒否する。」(43文字)

なお兼子仁は、申請書類の不備などがある場合、行政庁は補正要求をするのが原則であり、それなしの許認可等の拒否処分は違法であると主張する(補正要求なしの拒否処分が許されるのは、およそ補正できないような申請〔申請住民資格を明らかに欠いている等〕に限られる。7条は補正又は拒否と規定していること注意)。前掲兼子72−73頁参照。

■民法・違法性阻却事由(2007−45)【条文知識問題】

Aは、飼っている大型のドーベルマンを、鎖を外したまま連れて散歩に出ていたが、この犬が歩行者Bを見かけて走って行き、襲いかかってしまった。そこで、あわててBは近くのC宅敷地に飛び込み、自転車や植木鉢を壊してしまった。この場合、Cに対する損害賠償責任をBが負わないためには、どのような要件を満たす必要があるか。40字程度で記述しなさい(管理人注。45字のマスに記入する。字数には句読点も含まれる)。

■解説

正当防衛か緊急避難どちらが問題となるかが本問のポイントであるが、正当防衛と緊急避難の条文は以下のようになっている。

720条
1項(正当防衛) 他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない。ただし、被害者から不法行為をした者に対する損害賠償の請求を妨げない。
2項(緊急避難) 前項の規定は、他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合について準用する。

緊急避難は、「他人(A)の物(ドーベルマン)から生じた急迫の危難(Bに襲いかかる)を避けるためその物(ドーベルマン)を損傷した場合」に問題となる。つまり、急迫の危難の発生源ではないCの自転車や植木鉢に対する損傷行為は、緊急避難ではなく正当防衛が問題となる。

「Bは、Aの不法行為に対し自己の権利を防衛するため、やむを得ずCに加害したという要件。」(42字)

本問については、内田貴『民法U』(1997年、東大出版会)372頁以下、特に373頁の説例問3(a)参照。

■民法・金銭債務の特則(2007−46)【条文知識問題】

金銭債務の不履行については、履行不能や不完全履行の観念を入れる余地はなく履行遅滞のみが問題となると考えられているところ、民法は、「金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。」と規定している。(419条1項)。それでは、この点のほか、金銭債務の特則2つを、「金銭債務の不履行の損害賠償については、」に続けて、40字程度で記述しなさい。なお、「金銭債務の不履行の損害賠償については、」は、字数に算入しない。(管理人注。45字のマスに記入する。字数には句読点も含まれる)。

■解説

金銭債務の特則は3つある(419条)。

@損害賠償額の算定(1項)。損害賠償額の算定は法定利率により(特約利率があればそれによる)、仮に法定利率以上の損害を証明したとしてもとることはできない(最判昭和48年10月11日)。内田貴『民法V』(1996年、東大出版会)161頁参照。

A損害の証明が不要(2項前段)。通常の債務不履行では債権者は損害を証明しなければならないが、金銭債務の場合は履行遅滞の要件をみたしたことを立証すれば足りる。

B不可抗力の抗弁が認められない(2項後段)。金銭は利息を払えば入手が可能なので、履行不能を観念できないというのが起草者意思である。期日に履行しなければ、帰責事由の有無を問わず損害賠償義務を負うことになる。前掲内田145頁。

金銭債務の不履行の損害賠償については、「債権者は損害の証明をすることを要せず、債務者は不可抗力をもって賠償の抗弁とできない。」(42字)

解答は以上のようになろうか。本問については、内田貴『民法V』(1996年、東大出版会)145頁参照。