■2006年行政書士試験・法令科目多肢選択式

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■憲法・違憲審査制の性格(2006−41)

憲法81条の定める違憲審査制の性格に関する次の文章の空欄(ア)〜(エ)に当てはまる言葉を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。

違憲審査制の性格に関する最高裁判所のリーディングケースとされるのは、1952年のいわゆる(ア)違憲訴訟判決である。ここで最高裁は次のように判示し、(ア)の憲法違反を主張する原告の訴えを却下した。「わが裁判所が現行の制度上与えられているのは司法権を行う権限であり、そして司法権が発動するためには(イ)な争訟事件が提起されることを必要とする。我が裁判所は(イ)な争訟事件が提起されないのに将来を予想して憲法及びその他の法律命令等の解釈に対し存在する疑義論争に関し(ウ)な判断を下すごとき権限を行い得るものではない。けだし最高裁判所は法律命令等に関し違憲審査権を有するが、この権限は司法権の範囲内において行使されるものであり、この点においては最高裁判所と下級裁判所との間に異るところはないのである(憲法76条1項参照)。…要するにわが現行の制度の下においては、特定の者の(イ)な法律関係につき紛争の存する場合においてのみ裁判所にその判断を求めることができるのであり、裁判所がかような(イ)事件を離れて(ウ)に法律命令等の合憲牲を判断する権限を有するとの見解には、憲法上及び法令上何等の根拠も存しない」。かような性格の違憲審査制を通例は付随的違憲審査制と呼び、これを採用している最も代表的な国としては(エ)を挙げることができる。

1 治安維持法 2 独立的 3 直接的 4 ドイツ 5 抽象的 

6 一時的 7 客観的 8 フランス 9 付随的 10 オーストリア

11 間接的 12 アメリカ 13 政治的 14 不敬罪 15 警察予備隊

16 具体的 17 終局的 18 主観的 19 農地改革 20 イギリス

■解説

今年より何の前触れもなく出題された他紙選択問題であるが、本問かなりは易しいので、択一式の取りこぼしがあればここでリカバーしておきたいところである。なお多肢選択式が今後も出題されるか、また採点方法等(部分点の有無等)は今のところなんとも言えないであろう。

【補筆(07.1.29)】行政書士試験研究センターの発表によると、1つの空欄の正解で2点、1問で8点(空欄×4)の得点となります。

空欄にはそれぞれ、ア) 15「警察予備隊」、イ) 16「具体的」、ウ) 5「抽象的」、エ)12「アメリカ」が入る。

違憲審査制については、「@特別に設けられた憲法裁判所が、具体的な争訟とは関係なく、抽象的に違憲審査を行う方式(抽象的違憲審査制)と、A通常の裁判所が、具体的な訴訟事件を裁判する際に、その前提として事件の解決に必要な限度で、適用法条の違憲審査を行う方式(付随的違憲審査制)」(芦部信喜〔高橋和之補訂〕『憲法』第3版〔岩波書店、2002年〕349頁)、という2つに分類できる。@を採用する国としては、ドイツ、オーストリア等があり、Aを採用する国の代表はアメリカである。

日本の通説、本問の素材である判例(警察予備隊違憲訴訟〔最大判昭和27年10月8日〕)は、憲法81条の違憲審査制につき、Aを採用したものであると解している。

■行政法・行政事件訴訟法(2006−42)

次の文章の空欄(ア)〜(エ)に当てはまる言葉を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。

地方財政の適正を確保するために地方自治法242条の2が規定する住民訴訟は、行政事件訴訟法2条の規定する基本的な訴訟類型のうちの(ア)訴訟の一例である。このような原告の権利利益の保護を目的としない訴訟は、一般に、(イ)訴訟と呼ばれるが、こうした訴訟は、法律が特別に認めている場合に限って提起できることとなる。ちなみに、行政事件訴訟法45条の規定する(ウ)訴訟は、同法2条の規定する訴訟類型のいずれにも属しない訴訟であるから、行政事件訴訟ではないが、行政処分の効力を前提問題として争う(エ)訴訟である。

1 民事 2 納税者 3 有権者 4 刑事 5 客観

6 民衆 7 給付 8 抗告 9 無効等確認 10 取消

11 義務付け 12 形成 13 確認 14 機関 15 差止め

16 無名抗告 17 争点 18 当事者 19 不作為の違法確認 20 主観

■解説

(ア)と(イ)についてはどのようなテキストにもふれられていることなので、埋めるのは容易であったと思うが、(ウ)と(エ)、特に(エ)は埋めるのに困難さを感じた方がいるかもしれない。

空欄にはそれぞれ、ア) 6「民衆」、イ) 5「客観」、ウ) 17「争点」、エ)1「民事」が入る。

ア)、イ) これは石川敏行「はじめて学ぶプロゼミ行政法}改訂版(実務教育出版、2000年)275頁にある以下の表を丸覚えしておけば簡単に解けたと思う(表はこちらで少し修正を加えている)。

種別内容具体例
主観訴訟個人の権利利益保護抗告訴訟、当事者訴訟
客観訴訟法秩序全体の保護民衆訴訟、機関訴訟

ウ)、エ) 「私法上の法律関係に関する訴訟において、その前提として、行政庁の処分又は裁決の存否又はその効力の有無が争われることがすくなくない」。但し民事事件であってもその前提問題として行政庁の処分の存否等が争われている以上、それを民事事件として単純に処理するわけにもいかないので、行訴法は「民事事件ではあっても、その前提問題として、行政庁の処分等の存否又はその効力の有無が争われている場合をいわゆる争点訴訟として」、若干の事項につき行訴法に順ずる特別の扱いを認めているのである(田中二郎「行政法上巻」新版全訂第2版〔弘文堂、1974年〕361頁)。

■行政法・行政上の義務履行確保制度(2006−43)

行政上の義務の履行確保手段に関する次の文章の空欄(ア)〜(エ)に当てはまる言葉を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。

行政代執行法によれば、代執行が行われるのは、(ア)の場合に限られるので、その他の義務の履行確保については、別に法律で定めることを必要とする。例えば、代執行以外の義務の履行確保手段の1つとして(イ)が挙げられるが、これは、義務者の身体又は財産に直接実力を行使して、義務の履行があった状態を実現するものである。
(イ)に類似したものとして、(ウ)がある。(ウ)も直接私人の身体又は財産に実力を加える作用であるが、義務の履行強制を目的をするものでないところにその特徴がある。(ウ)の例としては、警察官職務執行法に基づく保護や避難等の措置が挙げられる。
さらに行政上の義務の履行確保手段には、間接的強制手段として、行政罰がある。その中で(エ)は、届出、通知、登記等の義務を懈怠した場合などに科される罰である。

1 反則金 2 課徴金 3 直接強制 4 法定受託事務 5 執行罰

6 自治事務 7 秩序罰 8 即時強制 9 金銭給付義務 10 行政刑罰

11 機関委任事務 12 直接執行 13 自力執行 14 非代替的作為義務 15 間接強制

16 滞納処分 17 代替的作為義務 18 職務命令違反 19 不作為義務 20 延滞金

■解説

択一式の過去問を解いていればそれだけで十分に正解に到達できるレヴェルの問題であるため、すべての括弧をきちんと埋めておきたかった問題である。

空欄にはそれぞれ、ア) 17「代替的作為義務」、イ) 3「直接強制」、ウ) 8「即時強制」、エ)7「秩序罰」が入る。

ア) 代執行の対象となるのは代替的作為義務に限られる(行政代執行法2条)。

イ) 直接強制の例としては、性病予防法11条に基づく強制検診等がある。前掲田中179頁。

ウ) 本文にもあるように即時強制は、義務の不履行を前提としない点で、直接強制と異なる(泥酔者に義務の履行を求めても無理である)。保護、避難については警察官職務執行法3、4条参照。

エ) 行政罰は過去の義務違反に対し科せられる制裁であり、その点が、将来に向かい義務を履行させようとする代執行等と異なる。

本問につき前掲田中168頁以下参照。