■2006年行政書士試験・民法

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■制限能力者制度(2006−27)【条文知識問題】

制限行為能力者と取引をした相手方の保護に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 制限行為能力者が自己の行為を取り消したときには、相手方は受け取っていた物を返還しなければならないが、相手方は、制限行為能力を理由とする取消しであることを理由に、現に利益を受けている限度で返還をすれば足りる。

2) 制限行為能力者が未成年者の場合、相手方は、未成年者本人に対して、1か月以上の期間を定めてその行為を追認するかどうかを催告することができ、その期間内に確答がなければその行為を追認したものとみなされる。

3) 制限行為能力者が成年被後見人であり、相手方が成年被後見人に日用品を売却した場合であっても、成年被後見人は制限行為能力を理由として自己の行為を取り消すことができる。

4) 制限行為能力者が被保佐人であり、保佐人の同意を得なければならない行為を被保佐人が保佐人の同意またはそれに代わる家庭裁判所の許可を得ずにした場合において、被保佐人が相手方に対して行為能力者であると信じさせるために詐術を用いたときには、制限行為能力を理由としてこの行為を取り消すことはできない。

5) 制限行為能力者が被補助人であり、補助人の同意を得なければならない行為を被補助人が補助人の同意を得てした場合であっても、相手方は、制限行為能力を理由として被補助人の行為を取り消すことができる。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。相手方ではなく、自己の行為を取消した「制限能力者」は、その行為によって「現に利益を受けている限度」において、返還の義務を負う(121条但書)のである。

2) 誤り。未成年者に対し催告をしても、未成年者にはその受領能力がないので(98条の2)、催告自体は無効となる。この場合は未成年者の法定代理人に催告をしなければならない(20条2項)。

3) 誤り。9条但書。

4) 正しい。詐術による取消権の排除である(21条)。

5) 誤り。そもそもこの場合被補助人は完全に有効な法律行為をなしているのであり、取消は問題とならない。

■住所(2006−28)【条文知識問題】

民法上の住所に関する次のア)−オ)の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア) 住所が知れない場合において、居所を住所とみなすことはできない。

イ) 日本に住所を有しない外国人は、日本における居所をその者の住所とみなすことはできない。

ウ) ある行為について仮住所を選定したときは、その行為に関しては、その仮住所を住所とみなす。

エ) 住所が複数ある場合には、本籍地を住所とみなす。

オ) 住民票に記載されている住所と本籍地が異なる場合には、住民票に記載されている住所を民法上の住所とみなす。

1) 1つ

2) 2つ

3) 3つ

4) 4つ

5) 5つ

■解説

【難易度】難しい。マイナーな論点ということ、個数問題ということを前提にすると、難しい問題であったと言える。

ア) 誤り。23条1項。

イ) 誤り。23条2項本文。

ウ) 正しい。24条。

エ) 誤り。住所が複数の場合、法律関係ごとにどこが住所かを決めていくことになる(法律関係基準説)。山田−河内−安永−松久『民法T』第3版補訂(有斐閣、2007年)51頁。

オ) 誤り。このような民法の規定は存在しないであろう。

よって正解はウ)のみ。1)が正解となろう。

■所有権(2006−29)【条文知識問題】

所有権の原始取得に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) Aは、B所有の土地をBの所有であると知りつつ所有の意思をもって平穏かつ公然に10年間占有した場合に、その土地の所有権を取得する。

2) Aの所有する動産とBの所有する動産が付合して分離することが不可能になった場合において、両動産について主従の区別をすることができないときには、AとBは、当然に相等しい割合でその合成物を共有するものとみなす。

3) BがAの所持する材料に工作を加えて椅子を完成させた場合に、その椅子の所有権は、AとBとの取決めに関係なく、Aに帰属する。

4) Bの所有する動産がAの所有する不動産に従として付合した場合に、AとBは、AとBとの取決めに関係なく、Aの不動産の価格とBの動産の価格の割合に応じてその合成物を共有する。

5) Aは、所有者のいない動産を所有の意思をもって占有を始めた場合に、その動産の所有権を取得する。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。Aは悪意占有なので、時効取得には20年の占有が必要になる(162条1項)。

2) 誤り。この場合、「付合の時における価格の割合に応じてその合成物を共有する」ことになる(244条)。

3) 誤り。この場合、椅子の所有権は材料の所有者たるAに帰属するのが原則(246条1項本文)であるが、所有権の帰属について取決めがあればそれに従う(むしろ契約等で帰属先を決めるのが普通である)。淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』第2版(有斐閣、1994年)154頁参照。

4) 誤り。この場合不動産所有者たるAが付合した動産の所有権を取得する(242条本文)のが原則である。但し所有権の帰属に付き取決があればそれに従う。

5) 正しい。無主物先占である(239条1項)。

■担保物権、賃貸借(2006−30)【条文知識問題】

Aは、B所有の甲土地について地上権の設定を受けて、同土地上に乙建物を建築した。Aが同建物を建築するについては、そのための資金としてC銀行から融資を受けた。この場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) A・B間では賃借権ではなく地上権が設定されたので、その存続期間については、借地借家法の適用はなく民法の規定が適用される。

2) AがC銀行のために抵当権を設定するには、乙建物のみを抵当権の目的とすることができ、Aの甲土地に対する地上権を抵当権の目的とすることはできない。

3) Bが死亡し、Bの相続人Dが甲土地を相続した場合に、Aは、甲土地についての地上権登記または乙建物についての保存登記を経由していない限り、Dに対し、Aの甲土地についての地上権を対抗することはできない。

4) AのC銀行に対する債務の担保のために、Aが乙建物についてC銀行のために抵当権を設定するとともに、Bが物上保証人として甲土地についてC銀行のために抵当権を設定していた場合において、C銀行が抵当権を実行するには、まず乙建物から行う必要はない。

5) Aが死亡し、Aの相続人EおよびFが遺産分割により乙建物を共有することになった場合において、EおよびFは、相互に5年間は乙建物の分割を請求することはできない。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。借地権の存続期間は30年(借地借家法3条)であるが、借地借家法における「借地権」という言葉は、「建物の所有を目的とする地上権」をも含むので(2条1号)、本問の事案も存続期間は借地借家法の定めによることになる。

2) 誤り。地上権にも抵当権の設定は可能である(369条2項)。

3) 誤り。Bを相続したDは、Aとの関係では「当事者」となるので(B=Dと考える)、そもそも対抗問題は生じない。内田貴『民法T』第2版(1999年、東大出版会)427頁。

4) 正しい。

5) 誤り。民法は、分割請求の自由を原則とし(256条1項本文)、例外として不分割の合意をした場合には5年間分割請求が制限されると規定している(256条1項但書)。

■危険負担(2006−31)【理論問題】

A・B間で建物の売買契約が成立し、Aは、Bから建物の引渡しを受け、また、移転登記も得て、近く同建物に引っ越しをしようと思っていたところ、同建物は、第三者Cの放火によって焼失してしまった。この場合に関する次のア)−オ)の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア) BからAに対して上記建物についての売買代金の支払請求があった場合に、Aは、Bに対して同時履行の抗弁権を主張して代金の支払いを拒むことができる。

イ) 上記建物は、Bの責めに帰すことができない事由により焼失したので、危険負担に関し建物の滅失についてはAの負担に帰する。

ウ) Aは、Bに対して履行不能を理由として売買契約を解除することができる。

エ) Aは、Bに対して代金の支払いを免れることはできないが、債務不履行を理由とする損害賠償請求をすることができるので、この両者につき相殺を主張することができる。

オ) Aは、Bに対して代金の支払いを免れることはできないが、Cに対して不法行為を理由として損害賠償請求をすることができる。

1) 1つ 

2) 2つ

3) 3つ

4) 4つ

5) 5つ

■解説

【難易度】難しい。各予備校で解答予想がわれた問題である。一応正解はオ)、1)1つとしておく。

ア) 誤り。不動産売買における「登記、引渡」と「代金支払」は履行上牽連関係を有するので、登記移転が行われない場合代金支払いを拒むことができる(533条本文。同時履行の抗弁権)。しかしAは、登記も引渡も受けている以上、それに対応する代金支払を拒むことはできない。内田貴『民法U』初版(東大出版会、1997年)46頁以下。

イ) 誤り。もめた選択肢である。危険負担は、債務の履行前に目的物が滅失したというような「後発的不能」になり消滅した債務の危険を、当事者のどちらかが負担すべきかという問題である(前掲内田59頁以下)。これを前提にイ)を考えると、そもそもBは債務の履行を終了してしまっているので、履行不能ということが観念できない、つまりイ)は危険負担の問題とは関係ないと結論付け得る。

ウ) 誤り。Bは、建物の引渡、登記移転という債務の履行をしている以上、履行不能は問題とならない。

エ) 誤り。問題文からは、Bに履行遅滞、履行不能や不完全履行があったと読み取ることはできない。

オ) 正しい。

よって正解は1)の1つである。

■各種契約(2006−32)【条文知識問題】

契約の履行期に関する次のア)−オ)の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。

ア) 請負の報酬は、仕事の目的物の引渡しを要する場合でも、仕事の目的物の完成時に注文者が請負人に対して支払わなければならない。

イ) 宅地や建物の賃貸借の賃料は、翌月分を毎月末までに賃借人は賃貸人に対して支払わなければならない。

ウ) 売買目的物の引渡しについて期限があるときは、代金の支払についても同一の期限までに買主が売主に対してその代金を支払わなければならないものと推定される。

エ) 報酬の合意がある場合には、委任の報酬は、受任者の請求があれば委任者がその前払をしなければならない。

オ) 消費貸借については、返還時期の合意がないときには、貸主の請求があれば借主は直ちに返還しなければならない。

1) 1つ

2) 2つ

3) 3つ

4) 4つ

5) 5つ

■解説

【難易度】普通。

ア) 誤り。仕事の目的物の「完成時」ではなく、「引渡時」に報酬を支払わねばならない(633条本文)。

イ) 誤り。この肢は、例えば「12月の賃料を、11月末までに支払わなければならないのかどうか」ということを聞いているのであろうと思われるが、12月の賃料は12月「」に支払えばよいので、誤り(614条本文)。

ウ) 正しい。573条。

エ) 誤り。民法上の委任は無償契約を原則とし、例外として特約があれば報酬の発生を認めるものの(648条1項)、報酬の支払時期は、「委任事務を履行した後」が原則である(648条2項本文)。なお前払請求が可能なのは「費用」(649条)である。

オ) 誤り。返還時期に付き合意のない消費貸借については、借主は「直ちに」ではなく、貸主が定めた「相当の期間内」(591条1項)に返還することになる。なお借主の方からはいつでも返還可能である(591条2項)。

よって正解は4)の4つである。

■転貸借(2006−33)【判例問題】

Aはその所有する建物をBに賃貸し、BはAの承諾を得てその建物をCに転貸している。この状況の下で、A・B間の賃貸借契約が終了したので、AはCに建物の明渡しを求めたいと考えている。A・C間の法律関係に関する次のア)−オ)の記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。

ア) A・Bが賃貸借契約を合意解除した場合には、AはそれをCに対抗することができる。

イ) Bが賃借権を放棄した場合には、AはそれをCに対抗することができない。

ウ) Bの債務不履行によってA・B間の賃貸惜契約が解除された場合には、AはあらかじめCに催告をしなくてもCに対抗することができる。

エ) A・B間の賃貸借契約が期間満了によって終了した場合には、AはCにその旨を通知しなくても、それをCに対抗することができる。

オ) Aからの正当事由を伴う解約申し入れによりA・B間の賃貸借契約が終了した場合には、AはCにその旨を通知しなければ、それをCに対抗することができない。

1) ア)、イ)

2) ア)、ウ)

3) ア)、エ)

4) イ)、ウ)

5) エ)、オ)

■解説

【難易度】普通。

ア) 誤り。このような場合の合意解除は、特別の事情がないかぎり、その効果を建物の転借人に対抗できない(最判昭和37年2月1日)とするのが判例である。

イ) 正しい。賃借人が賃借権を放棄しても、これを転借人に対抗できないのが原則である(大判昭和3年9月7日)。

ウ) 正しい。最判昭和37年3月29日。前掲内田213頁。

エ) 誤り。建物の転貸借がされている場合において、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない(借地借家法34条1項)。

オ) 正しい。借地借家法34条1項。

よって正解は3)のア)、エ)である。

■使用者責任、共同不法行為(2006−34)【判例問題】

観光バス会社Aの運転手Bは、営業運転中に、Cが運転するD社のタンクローリー車と衝突事故を起こし、バスの乗客が負傷した。その事故は、Bの前方不注意とCの居眠り運転が競合して生じたものであり、B・Cの過失割合は3:7であった。この場合の法律関係に関する次のア)−オ)の記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア) Aが乗客の請求に応じて損害を賠償した場合には、Aは、Cの過失割合に応じてCに対して求償することができる。

イ) Bが乗客の請求に応じて損害を賠償した場合には、Bは、賠償額全額につきDに対して求償することができる。

ウ) Bが乗客の請求に応じて損害を賠償した場合には、Bは、賠償額全額につきAに対して求償することができる。

エ) BおよびCが乗客の請求に応じて対等額を支出して損害の賠償を行った場合には、Bは、自己の負担部分を超える範囲につきDに対して求償することができる。

オ) Cが乗客の請求に応じて損害を賠償した場合には、Cは、Bの負担部分につきBに対してのみ求償することができる。

1) ア)、ウ)

2) ア)、エ)

3) イ)、エ)

4) イ)、オ)

5) ウ)、オ)

■解説

【難易度】難。

ア) 正しい。最判昭和41年11月18日。藤岡−磯村−浦河−松本『民法W』第3版補訂(2009年、有斐閣)326頁。

イ) 誤り。BはDに求償できるが、それはCの過失の「負担割合」の範囲内で可能となる(最判昭和63年7月1日)。前掲藤岡他326頁。

ウ) 誤り。逆求償の問題であるが、使用者による被用者への求償権の行使が信義則上の範囲内で認められる(最判昭和51年7月8日)ことを考えるなら、全額逆求償できるというのは無理があろう(B自身が不法行為者ということを考えればなおさらである)。前掲藤岡他315頁参照。なおこの肢については解説の正当性を留保する。

エ) 正しい。最判昭和63年7月1日。

オ) 誤り。Bの使用者Aにも求償可能である。

よって正解は2)のア)、エ)である。

■夫婦財産(2006−35)【条文知識問題】

Aは、自己が所有する甲建物に居住していたところ、Bと婚姻後においても、同建物にA・Bで同居することになった。この場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) A・Bが甲建物に関して婚姻の届出前に別段の契約をしなかったときは、甲建物は、A・Bの共有に属するものと推定される。

2) A・Bの婚姻後にAが甲建物を第三者Cに譲渡したときは、Bは、そのA・C間の売買契約を取り消すことができる。

3) A・Bの婚姻後に甲建物について必要な修繕をしたときは、その修繕に要した費用は、A・Bで分担する。

4) A・Bの婚姻後に甲建物内に存するに至った動産は、A・Bの共有に属するものとみなされる。

5) A・Bが離婚をした場合において、AまたはBがその相手方に対して財産の分与を請求することができるときに、その請求権を有する者は、甲建物内に存する動産について先取特権を有する。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする」(762条1項)。

2) 誤り。甲建物はAの特有財産である以上、その譲渡契約についてBが取消すことはできない。

3) 正しい。夫婦が住む住居の修繕は「婚姻から生ずる費用」(760条)、生活共同体に関する費用に該当するからである。佐藤−伊藤−右近『民法X』第2版補訂(有斐閣、2000年)29頁参照。

4) 誤り。夫婦間における財産の帰属については、762条1項が原則であり、例外として762条2項により、夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定されるのである。

5) 誤り。このような動産先取特権はない(311条参照)。

本問に付き前掲佐藤他27頁以下参照。