■2006年行政書士試験・地方自治法

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■自治事務、法定受託事務(2006−21)

都道府県の処理する自治事務と法定受託事務に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 自治事務の執行の経費は、都道府県が負担するのが原則であるが、法定受託事務の執行の経費は、国が負担するのが原則である。

2) 都道府県議会は、自治事務に関しては、国の法令に違反しなければ条例を制定できるが、法定受託事務については、国の法令の特別の委任がなければ条例を制定できない。

3) 都道府県の監査委員は、自治事務の執行については原則として監査できるが、法定受託事務の執行については、政令で定めるものについてのみ監査できる。

4) 都道府県による法定受託事務の執行については、国の大臣は、一般的な指揮監督の権限を有するが、自治事務については、法定された関与のみが認められる。

5) 都道府県による法定受託事務の執行については、国の大臣による代執行の手続があるが、自治事務の執行については、こうした手続はない。

■解説

1) 誤り。法定受託事務は地方自治体の事務であるから(塩野宏『行政法V』第2版〔2001年、有斐閣〕128頁)、執行経費は都道府県が負担することになろう(地方自治法232条1項)。なお地方財政法9条参照。

2) 誤り。法定受託事務は地方自治体の事務であるから、都道府県議会は法定受託事務に付き条例を制定し得る(地方自治法14条1項参照)。前掲塩野143頁。

3) 誤り。法定受託事務の執行への監査は、「国の安全を害するおそれがあることその他の事由により監査委員の監査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除」き(199条2項かっこ書)、制限がない。

4) 誤り。肢前半のような一般的指揮監督権は関与の形態として認められない(245条の2、245条参照)。

5) 正しい。245条の8第1項。

■条例(2006−22)

条例制定権の限界に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らして、妥当なものはどれか。

1) 河川法の適用されない普通河川の管理について、条例により河川法が同法の適用される河川等について定めるところ以上に強力な規制をすることは許されない。

2) 財産権の行使については国の法律によって統一的に規制しようとするのが憲法29条2項の趣旨であるから、条例による財産権規制は、法律の特別な授権がある場合に限られる。

3) 条例によって健全な風俗を害する行為を規制することは許されるが、規制の程度、態様等によっては、他の地方公共団体との関係で平等原則違反が問題になる。

4) 故意に一定以上の騒音を発する者に対し、条例で騒音を発する行為の中止を命じる規定を設けた場合、併せて一定額の過料を課すことを通告して義務の履行を促すことができる。

5) 条例によって地方公共の安序と秩庁を維持する規制を行うことは許されるが、国の法令による規制とその目的が同一であったり、部分的に共通するような規制を行うことは許されない。

■解説

1) 正しい。最判昭和53年12月21日である。「河川法は、普通河川については、適用河川又は準用河川に対する管理以上に強力な河川管理は施さない趣旨であると解されるから、普通地方公共団体が条例をもつて普通河川の管理に関する定めをするについても」「河川法が適用河川等について定めるところ以上に強力な河川管理の定めをすることは、同法に違反し、許されないものといわなければならない」。塩野宏『行政法V』第2版(2001年、有斐閣)147頁。

2) 誤り。奈良県ため池条例事件(最判昭和36年6月26日)判決は、条例による財産権行使への制約を認めている。前掲塩野144頁。

3) 誤り。最判昭和33年10月15日は、「憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上」、健全な風俗を維持するための規制につき「地域によって差別を生ずることは当然に予期されることであるから、かかる差別は憲法みずから容認するところであると解すべきである」としている。

4) 誤り。これは難しい肢であったであろう。本肢のような執行罰や、直接強制は条例単独ではおくことができない前掲塩野138頁。よってこのような条例を制定することはできない。

5) 誤り。徳島市公安条例事件(最大判昭和50年9月10日)である。「特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも、後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり、その適用によって前者の規定の意図する目的と効果をなんら阻害することがないときや、両者が同一の目的に出たものであつても、国の法令が必ずしもその規定によつて全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、国の法令と条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえない」、としている。前掲塩野146頁。

■直接請求制度(2006−23)

地方自治法における直接請求に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 直接請求として、地方税の賦課徴収、分担金、使用料、手数料の徴収に関する条例の制定改廃を求めることも可能である。

2) 知事・市町村長のみならず、選挙管理委員、監査委員などの役員も、直接請求としての解職請求の対象となる。

3) 条例の制定改廃を求める直接請求が成立した場合、首長は住民投票を行って過半数の同意が得られれば、議会の同意を経ることなく条例を公布することができる。

4) 首長等の解職を求める直接請求は、あくまでも解職請求権の行使を議会に求めるものであり、直接請求が成立した場合においても、首長を解職するか否かの最終判断は議会が行う。

5) 一般行政事務の監査請求は、他の直接請求とは異なり、選挙権者の50分の1以上の賛成という要件が不要なので、一人でも監査請求をすることができる。

■解説

1) 誤り。これらについて条例の制定改廃を請求することはできない(74条1項括弧書)。

2) 正しい。86条1項。

3) 誤り。条例の制定改廃を求める直接請求が成立した後、長は、直接請求を「請求を受理した日から20日以内に議会を招集し、意見を附けてこれを議会に付議」しなければならないのである(74条3項)。住民投票を行うのではない。

4) 誤り。解職の判断については選挙人の投票によらねばならない(81条2項、76条3項)。

5) 誤り。「50分の1の賛成」という要件は必要である(75条1項)。

■住民監査請求、住民訴訟(2006−24)

地方自治法に定める住民監査請求および住民訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか(法改正あり)。

1) 住民監査請求の監査の結果もしくは勧告が出されるまでは、住民訴訟を提起することは許されない。

2) 住民監査請求を提起できるのは、当該普通地方公共団体の住民のうち選挙権を有する者に限られる。

3) 住民訴訟において、住民は地方公共団体に代位して、損害を与えた職員等に直接損害賠償または不当利得返還請求をなすことができる。

4) 住民訴訟においては、執行機関または職員に対する行為の差止めの請求をなすことは認められない。

5) 住民監査請求は地方公共団体の不当な公金支出行為についても請求することができるが、住民訴訟は不当な公金支出行為については提起することができない。

■解説

1) 誤り。住民監査請求(242条)の結果、勧告が出されて住民訴訟の提起をするのが原則である。但し監査委員が242条5項に定める期間内に、同条4項の監査又は勧告を行わない場合、又は、議会野鳥が242条9項による措置を講じない場合にも、住民訴訟を提起できる(242条の2第1項)。

2) 誤り。住民監査請求の主体は「普通地方公共団体の住民」なのだから(242条1項)、選挙権を有しない者でも住民訴訟を提起できる。

3) 誤り。かつての242条の2第1項4号請求はこのような「代位」形式の請求を認めていたが、今現在4号請求は「当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求」に改正されている。

4) 誤り。これらも可能である(242条の2第1項1号)。

5) 正しい。242条1項、242条の2第1項。

■地域自治区(2006−25)

地方自治法の規定に照らし、次の文章の空欄(A)−(C)内に当てはまる文言として、正しいものの組合せはどれか。

地域自治区とは、地域の住民の意見を行政に反映させるとともに、行政と住民との連携の強化を目的として、市町村の判断により(A)によって設けられる区域として、平成16年の地方自治法改正により創設された。

地域自治区には(B)と、市町村の事務を分掌させるための事務所が置かれる。事務所の位置、名称および所管区域は(A)によって定められる。事務所の長は、事務吏員をもって充てられる。

(B)の構成員は、地域自治区の区域内に住所を有する者のうちから、(C)。

A/B/C
1) 協定/地域協議会/住民による選挙で選ばれる

2) 条例/地域自治組織/住民による選挙で選ばれる

3) 条例/地域協議会/市町村長が選任する

4) 協定/地域自治組織/市町村長が選任する

5) 条例/地域協議会/住民による選挙で選ばれる

■解説

A) 「条例」が入る(202条の4第1項)。

B) 「地域協議会」が入る(202条の5第1項)。事務所については202条の2第2項、事務所の長については同条3項。

C) 「市町村長が選任する」が入る(202条の5第2項)。

正解は3)になろう。