■2006年行政書士試験・行政救済法

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■行政不服審査法(2006−14)【条文知識問題】

行政不服審査法による審査請求の審査手続に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

1) 審査請求は、書面によりなすことが原則であるが、審査請求人が求めたときは、口頭による審査請求も認めなければならない。

2) 審査請求の審理は、書面によってなされるが、とくに審理員が必要と認めた場合に限り、審査請求人は、口頭で意見を述べることができる。

3) 審理員は、審査庁から指名されたときは、直ちに、審査求書又は審査請求録取書の写しを処分庁等に送付して、その反論書の提出を求めなければならない。

4) 審査請求書の必要的記載事項につき記入漏れその他不備がある場合、審査庁は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。

5) 審査請求手続は、決定により終了するのが原則であるが、審査請求を認容する決定についても理由を付さなければならない。

■解説

【難易度】

1) 誤り。口頭による審査請求(の申立)は、法律や条例にその旨が定められている場合に限られる(行政不服審査法19条1項)。

2) 誤り。審査請求人の申立てがあった場合、審理員は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない(31条1項本文)。「できる」のではない。

3) 誤り。提出を求めなければならないのは、反論書ではなく、弁明書である(29条2項。なお同条1項参照)。旧22条1項と異なり、弁明書の提出要求が審理員の義務となっている点には注意。宇賀克也『行政不服審査法の逐条解説』(2015年、有斐閣)129−130頁。なお)。反論書を提出するのは審査請求人である(30条1項)。

4) 正しい。23条。前掲宇賀115頁。審査請求書の必要的記載事項につき19条2項参照。

5) 誤り。決定ではなく裁決で終了する(45−47、49条)。決定で終了するのは再調査の請求である(58、59条)。

■行政不服審査法(2006−15)【条文知識問題】

行政不服審査法による審査請求における執行停止に関する記述として、妥当なものはどれか。

1) 従来、執行停止の要件としては、「重大な損害」が必要とされていたが、平成16年の法改正により、「回復困難な損害」で足りることとされた。

2) 審査庁は、「本案について理由がないとみえるとき」には、執行停止をしないことができる。

3) 申請拒否処分に対する審査請求については、平成16年の法改正により、執行停止制度に加えて、「仮の義務付け」と「仮の差止め」の制度が明文化された。

4) 執行停止の決定がなされた場合において、それに内閣総理大臣が異議を述べたときは、審査庁は、執行停止を取消さなければならないこととされている。

5) 処分庁の上級庁である審査庁は、審査請求人の申立てによることなく職権により執行停止をすることは許されない。

■解説

【難易度】

1) 誤り。「重大な損害」と「回復困難な損害」を入れ替えると正しい肢になる(25条4項本文)。

2) 正しい。25条4項但書。

3) 誤り。この2つの制度は、行政事件訴訟法上の制度である(行政事件訴訟法37条の5)。

4) 誤り。内閣総理大臣の異議も行政事件訴訟法上の制度である(27条)。

5) 誤り。上級庁たる審査庁による職権の執行停止は認められている(行政不服審査法25条2項)。

■行政不服審査法・行政事件訴訟法(2006−16)【条文知識問題】

行政不服審査手続と取消訴訟手続の対比に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

1) (法改正に伴い削除)

2) 行政不服審査法7条により、審査請求の対象とならないと定められている外国人の出入国に関する処分、刑務所の被収容者に関する処分については、取消訴訟でも争うことはできない。

3) 取消訴訟の出訴期間は、処分の相手方が処分のあったことを知った日から6か月であるが、審査請求期間は60日となっている。

4) 取消訴訟においては行政処分のみを争うことができるが、審査請求においては、行政指導や事実行為も争うことができる。

5) 取消訴訟においては処分の適法性のみを争うことができるが、審査請求においては処分の適法性のみならず、処分の不当性をも争うことができる。

■解説

【難易度】

1) 法改正に伴い削除。

2) 誤り。このような処分についても、審査請求ができないだけであって取消訴訟の要件を具備すれば裁判上争うことは可能である。

3) 誤り。出訴期間、審査請求期間については混同しないように注意。出訴期間は「処分のあったことを知った日から6か月」(行政事件訴訟法14条1項)であるが、審査請求期間は「処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内」(行政不服審査法18条1項)となっている。審査請求期間については、法改正に伴い60日から3か月に延長された。前掲宇賀90−91頁。

4) 誤り。取消訴訟において、行政処分ではなく事実行為を争う場合もあり得る(行政事件訴訟法3条2項の「その他公権力の行使に当たる行為」に事実行為も含まれると解されている)。但しその場合の事実行為は単なる事実行為ではなく、権力的な行為であることを要する。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)118頁以下参照。一方審査請求では、行政指導は処分でないため(行政手続法2条6号)これを争うことはできないが、事実行為(継続的な権力的事実行為)は争うことができると解されている。前掲宇賀12−13頁。

5) 正しい。行政不服審査法1条1項。

■行政不服審査法・行政事件訴訟法(2006−17)【条文知識問題】

取消訴訟と審査請求の関係についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 個別法が裁決主義を採用している場合においては、元の処分に対する取消訴訟は提起できず、裁決取消訴訟のみが提起でき、元の処分の違法についても、そこで主張すべきこととなる。

2) 行政事件訴訟法は原処分主義を採用しているため、審査請求に対する棄却裁決を受けた場合には、元の処分に対して取消訴訟を提起して争うべきこととなり、裁決に対して取消訴訟を提起することは許されない。

3) 審査請求ができる処分については、それについての裁決を経ることなく取消訴訟を提起することはできないとするのが行政事件訴訟法上の原則であるが、審査請求から3か月を経過しても裁決がなされないときは、裁決を経ることなく取消訴訟を提起できる。

4) 審査請求の前置が処分取消訴訟の要件とされている場合には、その審査請求は適法なものでなければならないが、審査庁が誤って不適法として却下したときは、却下裁決に対する取消訴訟を提起すべきこととなる。

5) 審査請求の前置が処分取消訴訟の要件とされている場合には、その出訴期間も審査請求の裁決の時点を基準として判断されることとなるが、それ以外の場合に審査請求をしても、処分取消訴訟の出訴期間は処分の時点を基準として判断されることとなる。

■解説

【難易度】やや難。

1) 正しい。これが正解である。裁決主義がとられている場合は別として、処分取消訴訟では原処分固有の瑕疵を、裁決取消訴訟では裁決固有の瑕疵しか主張できないのである(原処分主義。行政事件訴訟法10条2項)。

2) 誤り。原処分主義は、このような内容の主義ではない。前肢の解説参照。

3) 誤り。行政事件訴訟法は、処分に対し不服申立をするか出訴するかにつき、自由選択主義を採用しており(8条1項本文)、本肢のような不服審査前置主義を例外としている(8条1項但書)。

4) 誤り。審査庁が適法な審査請求を誤って不適法却下とした場合は、審査請求を経たものとして取り扱われる(最判昭和36年7月21日)。よって処分取消訴訟の提起も可能である。前掲塩野102頁。

5) 誤り。14条3項。「それ以外の場合に審査請求をしても、処分取消訴訟の出訴期間は裁決の時点を基準として判断されることとなる」が正しい。

■行政事件訴訟法(2006−18)

平成16年の行政事件訴訟法改正後の行政事件訴訟制度の記述として、正しいものはどれか。

1) 法令に基づく申請についてのみ認められていた不作為違法確認訴訟が、規制権限の不行使についても認められることになった。

2) 仮の義務付けまたは仮の差止めは、処分の執行停止と同様の機能を有するので、内閣総理大臣の異議の制度が準用されている。

3) 処分が、国または公共団体に所属しない行政庁によって行われた場合、当該処分の取消を求める訴えは、処分取消訴訟に替わり、民事訴訟によることとなった。

4) 法令に基づく申請に対して相当の期間内に何らの処分もなされない場合は、原告の判断により、不作為違法確認訴訟または義務付け訴訟のいずれかを選択して提起することができる。

5) 処分もしくは裁決の存否またはその効力の有無を確認する判決(無効等の確認判決)は、第三者に対しても効力を有することが明文上認められた。

■解説

【難易度】やや難。ただし改正点の横断的理解を問うような問題は今後出題はないように思われる。

1) 誤り。不作為の違法確認訴訟は、現在も法令に基づく申請についてのみ認められる(3条5項)。規制権限の不行使についての争いは、義務づけの訴えによることになろう(3条6項)。

2) 正しい。この2つについては、内閣総理大臣の異議を定める27条が準用されている(37条の5第4項)。

3) 誤り。この場合は、行政庁を被告とすることになる(11条2項)。

4) 誤り。この場合、義務付けの訴え、不作為の違法確認訴訟どちらとも提起可能であるが(前掲塩野253頁参照、櫻井他331−332頁)、義務付けの訴えを提起する場合は、不作為の違法確認訴訟を併合して訴えなければならない(37条の3第3項1号)。

5) 誤り。このような条文はない。なお32条1項参照。

■行政事件訴訟法(2006−19)【条文知識問題】

平成16年改正により、行政事件訴訟法に設けられた教示制度の規定に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 行政事件訴訟法に教示の規定が設けられたことを契機として、行政不服審査法においても教示の規定が創設されることとなった。

2) 取消訴訟を提起することができる処分が口頭でされた場合に、相手方から書面による教示を求められたときは、書面で教示しなければならない。

3) 原処分ではなく裁決に対してのみ取消訴訟を認める旨の定めがある場合に、当該原処分を行う際には、その定めがある旨を教示しなければならない。

4) 当該処分または裁決の相手方以外の利害関係人であっても、教示を求められた場合には、当該行政庁は教示をなすべき義務がある。

5) 誤った教示をした場合、または教示をしなかった場合についての救済措置の規定がおかれている。

■解説

【難易度】普通。なお行政不服審査法の改正に伴い条文引用を改めた。

1) 誤り。行政不服審査法には教示につき規定があったが、行政事件訴訟法にはなかったので、16年の改正により行政事件訴訟法においても教示の制度が設けられた(行政事件訴訟法46条)。

2) 誤り。処分が口頭でなされた場合、教示義務はない(46条1項但書)。なお行政不服審査法82条1項参照。

3) 正しい。行政事件訴訟法46条2項本文。

4) 誤り。処分又は裁決の相手方に対してのみ、処分を行った行政庁は教示をなすべき義務がある(46条参照、なお行政不服審査法82条2項参照)。前掲塩野156頁、櫻井他320−321頁。

5) 誤り。両者の場合、出訴期間が延長されるというような直接の救済措置は設けられていないが、両者は、出訴期間延長のための「正当な理由」(行政事件訴訟法14条1、3項参照)を判断する際の重要な要素になると解されている。前掲塩野156頁、櫻井他321頁。

■国家賠償法(2006−20)【判例問題】

国家賠償法1条による賠償責任に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の立場に照らして、妥当なものはどれか。

1) 公立学校のプールにおける飛込みで事故が起きた場合、国家賠償法1条にいう「公権力の行使」とは、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」を意味するから、国家賠償法1条は適用されず、民法上の不法行為として損害賠償を求めることになる。

2) 警察官でない者が、公務執行中の警察官であるかのような外観を装い、他人を殺傷した場合、当該被害者ないしその遺族は、いわゆる外形理論により国又は公共団体に対して国家賠償法1条に基づき損害賠償を求めることができる。

3) 国会議員が国会で行った発言によって他人の名誉や信用を害した場合、憲法51条により国会議員の法的責任は免責されるため、被害者は国家賠償法1条に基づく損害賠償を求めることができない。

4) 消防職員の消火ミスにより、一度鎮火したはずの火災が再燃し、家屋が全焼した場合、失火責任法が適用されるため、被害者は国又は公共団体に対して国家賠償法1条に基づく損害賠償を求めることができない。

5) パトカーが逃走車両を追跡中、逃走車両が第三者の車両に追突し、当該第三者が死傷した場合、被害者たる第三者の救済は、国家賠償法1条による損害賠償ではなく、もっぱら憲法29条に基づく損失補償による。

■解説



【難易度】普通。2)の正誤判断が鍵になる問題である。

1) 誤り。最高裁は、このような事案に付き、公立学校における教師の教育活動も、国家賠償法1条にいう「公権力の行使」に該当するとしている(最判昭和62年2月6日)。前掲塩野324頁。

2) 誤り。外形標準説にいう「外形」を備えた人物は「公務員」であることを要する。この説に関する重要判例である最判昭和31年11月30日は、「非番の警察官」が職務執行の外形を装った事案に関するものであり、本肢のように公務員でない者が公務員と装った事案ではないことに注意を要する。前掲塩野350頁、櫻井他367−368頁。

3) 誤り。賠償請求ができなくなるわけではない。最高裁は、国会議員が国会で行った発言が国家賠償法1条の責任を発生させるには、「当該国会議員が、その職務とはかかわりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることを必要とする」としている(最判平成9年9月9日)。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)298頁。

4) 正しい。最判昭和53年7月17日。前掲塩野315頁、櫻井他390−391頁。

5) 誤り。最判昭和61年2月27日は、このような事案につき国家賠償法1条を適用し得る際の要件を提示している。前掲塩野343頁、櫻井他370頁。