■2005年行政書士試験・民法

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■制限能力者制度(2005−24)【条文知識問題】

制限行為能力者制度に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

1) 自然人ばかりでなく法人も、成年後見人になることができるが、株式会社等の営利法人は、成年後見人になることはできない。

2) 制限行為能力を理由に法律行為が取り消された場合に、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

3) 本人以外の者の請求によって保佐開始の審判をするためには、本人の同意が必要である。

4) 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者について、本人、配偶者、4親等内の親族は、補助開始の審判を請求することはできるが、後見人や保佐人は、これをすることができない。

5) 補助人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、さらに補助人を選任することができる。

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。営利法人も成年後見人になることは可能である。843条4項括弧内(ただ単に「法人」と規定されていることに注意)、847条(後見人の欠格事由)参照。

2) 正しい。121条1項但書。

3) 誤り。本人の同意は不要である(11条参照)。なお本人以外の者の請求によって「補助」開始の審判をするためには、本人の同意が必要である(15条2項)。

4) 誤り。15条1項本文。

5) 正しい。876条の7第2項、843条3項。

よって正解は2)2つとなろう。

■不動産物権変動と登記(2005−25)【判例問題】

不動産と登記に関する次の記述のうち、判例の趣旨に照らし妥当なものはどれか。

1) Aの所有する甲土地につきAがBに対して売却した後、Bが甲土地をCに売却したが、いまだに登記がAにある場合に、Bは、甲土地に対する所有権を喪失しているので、Aに対して移転登記を請求することはできない。

2) Aの所有する甲土地につきAがBに対して売却した後、Aが重ねて甲土地を背信的悪意者Cに売却し、さらにCが甲土地を悪意者Dに売却した場合に、第一買主Bは、背信的悪意者Cからの転得者であるDに対して登記をしていなくても所有権の取得を対抗できる。

3) Aの所有する甲土地につきAがBに対して売却し、Bは、その後10年以上にわたり占有を継続して現在に至っているが、Bが占有を開始してから5年が経過したときにAが甲土地をCに売却した場合に、Bは、Cに対して登記をしなくては時効による所有権の取得を対抗することはできない。

4) Aの所有する甲土地につきAがBに対して売却したが、同売買契約が解除され、その後に、甲土地がBからCに売却された場合に、Aは、Cに対して、Cの善意悪意を問わず、登記をしなくては所有権の復帰を対抗することはできない。

5) Aの所有する甲土地につきAがBに対して遺贈する旨の遺言をして死亡した後、Aの唯一の相続人Cの債権者DがCを代位してC名義の所有権取得登記を行い、甲土地を差し押さえた場合に、Bは、Dに対して登記をしていなくても遺贈による所有権の取得を対抗できる。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。不動産の買主は、目的不動産を転売した後でも、売主に対する登記請求権を失わないとするのが判例である(大判大正5年4月1日)。淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』第2版(1994年、有斐閣)79頁。

2) 誤り。背信的悪意者からの転得者自身も、Bに対する背信的悪意者であると評価されない限り、転得者Dは民法177条の「第三者」に該当する(最判平成8年10月29日)。Dが単純悪意者であれば、Bは対抗するのに登記を要する。前掲淡路他74頁。

3) 誤り。判例は、時効期間満了時における時効取得者と、時効完成時の真正所有者との関係を、物権変動の当事者と同視し、時効取得者が真正所有者に時効を主張するのに登記を不要としているが(大判大正7年3月2日参照)、本肢の場合も同様の考えをしている。つまりBにとってCは、第三者ではなく「当事者」と解せられるので、Bは登記なくしてCに自己の権利を主張できる(最判昭和41年11月22日)。前掲淡路他62頁。

4) 正しい。解除後の第三者に関する肢である。この場合、B−AとB−Cという二重譲渡類似の関係が生じるので、AはCに対抗する場合登記が必要となる(大判昭和14年7月7日)。前掲淡路他54頁以下。

5) 誤り。遺贈による物権変動も、第三者に対抗するには登記を要する。松坂佐一『民法提要物権法』第4版(1980年、有斐閣)38頁。

対抗問題については、米倉明『プレップ民法』の説明が分かりやすいので、一読を薦めたい。

■即時取得(2005−26)【理論問題】

次のア)−オ)のうち、Aの所有するそれぞれの物について、Bが即時取得(民法192条)によりその所有権を取得できる可能性がある場合は、いくつあるか。

ア) Aがその所有する建物をCに賃貸していたところ、Cがその建物を自己の所有する建物としてBに売却した場合。

イ) Aの所有する山林に生育する立木について、Bがその山林および立木を自己の所有するものであると誤信して、その立木を伐採した場合。

ウ) 成年被後見人Aは、その所有するパソコンをBに売却したが、Bは、Aが成年被後見人である事実について善意・無過失であった場合。

エ) Aの所有する自転車をCが借りた後に駅前駐輪場に停めていたところ、Bがその自転車を自己の自転車と誤信して、その自転車の使用を継続した場合。

オ) Aの所有する宝石をCが盗み出し、CがこれをBに売却したが、Bは、その宝石が盗品である事実について善意・無過失であった場合

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】やや難。個数問題ということで、ちょっと難しくなっている。

ア) 可能性はない。192条の条文にある通り、即時取得の対象は「動産」だからである。前掲淡路他90頁。

イ) 可能性はない。Bは「取引行為」によって、立木の占有を始めたわけではないからである(大判大正4年5月20日参照)。前掲淡路他91頁。

ウ) 可能性はない。この場合即時取得を成立させると、制限能力者制度の趣旨を没却してしまうからである。また、Aが錯誤や詐欺などでAB間の取引行為を取消したような場合も、即時取得成立の余地はない。AB間の取引行為は有効なものでなければならないのである。前掲淡路他91頁。

エ) 可能性はない。取引行為がないからである。前掲淡路他91頁。

オ) 可能性がある。前掲淡路90頁参照。

よって正解は1)の1つとなろう。

■債権者代位権(2005−27)【判例問題】

債権者代位権に関する次の記述のうち、判例の趣旨に照らして妥当でないものの組合せはどれか。

ア) 著名な陶芸家の真作とされた陶器がA→B→Cと順次売却されたが、後にこれが贋作と判明した場合において、無資力であるBがその意思表示に要素の錯誤があることを認めているときは、Bみずから当該意思表示の無効を主張する意思がなくても、Cは、Bに対する売買代金返還請求権を保全するために、Bの意思表示の錯誤による無効を主張して、BのAに対する売買代金返還請求権を代位行使することができる。

イ) 債権者Aは、Bに対する金銭債権を保全するためにBのCに対する動産の引渡請求権を代位行使するにあたり、Cに対して、その動産をBに引渡すことを請求することはできるが、直接自己に引渡すことを請求することはできない。

ウ) 不動産がA→B→Cと順次売却された場合において、それらの所有権移転登記が未了の間に、Dが原因証書等を偽造して、同一不動産につきA→Dの所有権移転登記を経由してしまったときは、Cは、Bの債権者として、BがAに代位してDに行使することができる所有権移転登記の抹消請求権を代位行使することができる。

エ) AはBから同人の所有する建物を賃借する契約を締結したが、その建物の引渡しが行われていない状態のもとでそれをCが権原なく占有してしまった場合において、Aが、自己の賃借権を保全するためにBに代位して、Cに対して建物の明渡しを請求するときは、Aは、建物を直接自己へ引き渡すことを請求することができる。

オ) 自動車事故の被害者Aは、加害者Bに対する損害賠償債権を保全するために、Bの資力がその債務を弁済するに十分であるか否かにかかわらず、Bが保険会社との間で締結していた自動車対人賠償責任保険契約に基づく保険金請求権を代位行使することができる。

1) ア)、ウ)

2) ア)、エ)

3) イ)、エ)

4) イ)、オ)

5) ウ)、オ)

■解説

【難易度】普通。

ア) 正しい。このように解する説が有力である。内田貴『民法V』初版(1996年、東大出版会)257頁参照。なお判例はこの事案において、債権者代位権の転用ではなく、表意者以外の第三者による錯誤主張を認めるという構成をとっている(最判昭和45年3月26日)。

イ) 誤り。代位債権者は、自己に動産を引き渡すよう請求することもできる。前掲内田261−262頁。

ウ) 正しい。債権者代位権の転用事例である。CはBに対し登記請求権を有するが、その保全のためにこのような事も行うことができる。また債権者代位権をさらに代位することも可能である。前掲内田250頁以下参照。

エ) 正しい。対抗力を備えた不動産賃借権には妨害排除請求権が認められるが(最判昭和28年12月18日、借地借家法31条1項参照)、この事案でAは対抗力を具備していない。そこでAは、債権者代位権の転用という形でBが有する妨害排除請求権を代位行使し、建物をAに明け渡すよう請求できる。前掲内田179、251、261頁参照。

オ) 誤り。最高裁は、この場合損害賠償請求権は金銭債権にほかならないから、Bの無資力要件を必要であるとした(最判昭和49年11月29日)。自動車損害賠償保障法(自賠法)上の強制保険(16条)と同様に、本肢のような任意保険についても現在では険約款が改定され、Aは保険会社に対し直接保険金を請求できるようになった。前掲内田253−254頁参照。
よって正解はイ)、オ)の4)となろう。

■贈与契約(2005−28)【判例問題】

贈与者Aと受贈者Bとの関係に関する次の記述のうち、判例の趣旨に照らして妥当でないものはどれか。

1) 未登記の建物を書面によらず贈与した場合において、AがBにその建物を引き渡したときは、Aはその贈与契約を取り消すことができない。

2) 既登記の建物を書面によらずに贈与した場合において、AがBにその建物を引き渡したときは、所有権移転登記が未了であっても、Aはその贈与契約を取り消すことができない。

3) 既登記の建物を書面によらずに贈与した場合において、AからBにその建物の引渡しが行われていないときであっても、所有権移転登記がなされていれば、Aはその贈与契約を取り消すことができない。

4) 負担付贈与においてBがその負担である義務の履行を怠るときは、Aは契約の解除をすることができる。

5) Bに対する定期の給付を目的とする贈与であらかじめ期間の定めがあるものは、Aが死亡しても、その期間内は効力を失うことはない。

■解説

【難易度】易しい。

1) 正しい。550条は、「書面によらない贈与は、各当事撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない」と規定するが、不動産を引渡した場合は、550条但書いう「履行の終わった」場合に該当すると解されているので、撤回できない。内田貴『民法U』初版(1997年、有斐閣)158頁。

2) 正しい。不動産の場合は、引渡か登記の移転があれば、550条但書にいう「履行の終わった」に該当すると解されているので、撤回できない。

3) 正しい。上と同じ理由からである。

4) 正しい。負担付贈与は双務契約に関する規定を準用する(553条)。よって解除の適用がある。最判昭和53年2月17日参照。前掲内田161頁。

5) 誤り。552条。よってこれが正解である。

■遺留分減殺請求権(2005−29)

遺留分減殺請求権に関する次の記述のうち、判例の趣旨に照らして妥当でないものはどれか。

1) 遺留分減殺請求権は、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位権の目的とすることができない。

2) 遺留分減殺請求権の行使は、受遺者または受贈者に対する意思表示によってすれば足り、必ずしも裁判上の請求による必要はなく、いったんその意思表示がなされた以上、法律上当然に減殺の効力を生じる。

3) 被相続人の全財産が相続人の一部の者に遺贈された場合において、遺留分減殺請求権を有する相続人が、遺贈の効力を争うことなく、遺産分割協議の申入れをしたときは、特段の事情のない限り、その申入れには遺留分減殺の意思表示が含まれる。

4) 相続人が被相続人から贈与された金銭をいわゆる特別受益として遺留分算定の基礎となる財産の価額に加える場合には、贈与の時の金額を相続開始のときの貨幣価値に換算した価額をもって評価するべきである。

5) 遺言者の財産全部についての包括遺贈に対して遺留分権利者が減殺請求権を行使した場合には、遺留分権利者に帰属する権利は、遺産分割の対象となる相続財産としての性質を有すると解される。

■解説