■2005年行政書士試験・行政法

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■行政立法(2005−8)【条文知識問題】

次の文章は、国の行政機関の長が命令等を発する権限について規定している「国家行政組織法」の条文である。(ア)−(オ)にあてはまる語として正しいものの組合せはどれか。

第12条 各省大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、または法律若しくは政令の特別の(ア)に基づいて、それぞれその機関の命令として(イ)を発することができる。

第14条 各省大臣は、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、公示を必要とする場面においては、(ウ)を発することができる。
2 各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達するため、所管の諸機関及び職員に対し、(エ)又は(オ)を発することができる。

ア・イ・ウ・エ・オ
1) 委任・規則・告示・訓令・通達

2) 授権・政令・通達・告示・訓令

3) 委任・訓令・布告・通達・規則

4) 委任・省令・告示・訓令・通達

5) 授権・省令・通達・訓令・告示

■解説

【難易度】易しい。国家行政組織法まで条文を読んだという受験生は多くはないと思うが、石川敏行『はじめて学ぶプロゼミ行政法』改訂版(2000年、実務教育出版)にも記述がある事柄からの出題なので、正解しておきたい問題である。

ア) 委任。執行命令委任命令という言葉を思い出せば、アを埋められるだろう。

イ) 省令。国家行政組織法12条に基づき各省大臣が制定する。

ウ) 告示。告示とは「行政機関がその意思や事実を広く一般に公示する」(原田尚彦『行政法要論』全訂第3版〔1994年、学陽書房〕84頁)のことである。

エ) 訓令。

オ) 通達。なお通達は命令一般を内容とする点で訓令と共通するが、通達は書面の方式を取る点で訓令と異なる。前掲原田37頁。

よって正解は4)になろう。なお本問につき、石川敏行『はじめて学ぶプロゼミ行政法』改訂版(2000年、実務教育出版)147頁以下参照。

■行政指導とその法的統制(2005−9)【理論問題】

行政指導に関する次の記述のうち、妥当なものはいくつあるか。

ア) 行政指導は相手方私人の任意的協力を求めるもので、法令や行政処分のように法的拘束力を有するものではなく、宅地開発指導要綱のように書面で正式に公示される形式をとった場合や、指導に従わなかった場合には相手方の氏名が公表されることが条例によって定められている場合においても、法的拘束力がないということに変わりはない。

イ) 規制的な行政指導によって、私人が事実上の損害を受けた場合こは国家賠償請求訴訟によってその損害を求償することができる。これに対し、受益的な行政指導の場合においては、強制の要素が法律上のみならず事実上もないのであるから、行政指導に基づき損害が発生した場合には、民法上の不法行為責任を問うことはできても、国家賠償責任を問うことはできない。

ウ) 行政機関が行政手続法による規律をうける行政指導を行うことができるのは、行政機関が行政処分権限を法律上有しており、処分に代替して事前に行政指導をする場合に限られる。これに対し、組織法上の権限のみに基づいて行われる事実上の行政指導については、行政手続法上の規定は適用されない。

エ) 行政機関が同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し 同種の行政指導をしようとするときは、行政機例は、あらかじめ、事案に応じ、これらの行政指導に共通してその内容となるべき事項を定め、かつ行政上特別の支障のない限り、これを公表しなければならない。

オ) 行政指導は、その内容および責任者を明確にするため書面で行うことを原則とすべきであり、書面によることができない相当な理由がある場合を除いて、口頭による行政指導をすることはできないという行政手続法の定めがある。これに対し、一部の行政手続条例では、行政手続法の規定とは異なり、口頭の行政指導を許容する規定を置いている場合がある。

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】やや難しい。問題のレヴェルは普通だが、個数問題かつ問題文の長さということを考慮にいれると、若干解きにくい部類に属すると言えよう。

ア) 正しい。あくまで行政指導(の内容)は、「相手方の任意の協力によってのみ実現されるもの」(行政手続法32条1項)だからである。行政指導不服従の場合、行政指導の相手方氏名が公表されることについては、塩野宏『行政法T』第5版(有斐閣、2009年)241頁以下、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)179頁以下参照。

イ) 誤り。建築確認申請(建築確認は授〔受〕益的行政行為である)について処分留保と行政指導の関係が問題となった品川マンション事件(最判昭和60年7月16日)は、国家賠償責任を肯定している。前掲櫻井他141頁以下。

ウ) 誤り。組織法上の権限のみに基づいて行われる事実上の行政指導についても、行政手続法の拘束を受ける(最判昭和59年2月24日)。前掲塩野206頁、櫻井他138頁。よって組織法の権限を越えた行政指導は、行政手続法違反となろう(32条1項)。

エ) 正しい。36条。

オ) 誤り。行政手続法に本肢のような規定はない。行政指導は、口頭によっても行うことはできる(35条2項)。

よってア)、エ)が正しく、答えは2)が正解となろう。

■行政手続法(2005−10)【条文知識問題】

申請についての行政手続法の定めに関する次の記述のうち、妥当なものはいくつあるか。

ア)補助金の交付申請は、法令に基づかない申請であっても、行政手続法上の申請とみなされる。

イ) 行政手続法上の申請のうち、行政庁が諾否の応答を義務づけられるのは、許可あるいは認可を求めるもののみに限られる。

ウ) 許認可の申請にあたっては、申請者には申請権があり、行政庁には申請に対する審査・応答義務があるので、形式要件に適合している限り、申請書類の返戻は許されない。

エ) 行政庁は、申請がその事務所に到達したときは、遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならない。

オ) 申請に対し許認可を与える場合、それは、申請通りの内容を行政庁として認めることを意味しているので条件を付すことは許されない。

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】やや難しい。

ア) 誤り。行政手続法は、「申請」概念につき「法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分−中略−を求める行為」(2条3号)と規定している。

イ) 誤り。許認可以外にも、免許や自己に何らかの利益を付与する処分についても、行政庁には諾否の応答義務がある(2条3号)。

ウ) 正しい。従来行われていた、申請が形式的要件を具備していても、申請者に申請書類を戻すという返戻は、行政手続法上許されないものとなった(7条)。

エ) 正しい。7条。

オ) 誤り。条件を付すことも可能である。仮に条件を付し得ないのであれば、行政行為の附款論は意味をなくすことになる点に注意したい。

本問の正解はウ)の2となろう。

■行政手続法(2005−11)【条文知識問題】

行政手続法に規定されている聴聞手続に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 聴聞手続は行政庁の通知によって開始される。通知文書には、予定される不利益処分の内容、聴聞期日、場所等が必ず記載されていなければならない。

2) 聴聞は行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰する。この場合に、行政庁が指名しうる職員の範囲については特に明文の制限はないので、その実質的な当否はともかく、当該不利益処分に関与した担当者を主宰者として指名することも不可能ではない。

3) 聴聞の期日における審理は非公開が原則である。しかし、行政庁が相当と認めるときは、その裁量により公開して行うことができる。

4) 聴聞手続の主宰者は、期日ごとに聴聞の審理の経過を記載した聴聞調書を作成し、また聴聞終結後は報告書を作成する。しかし、これらの文書には当事者の主張を整理して記載することが求められているだけで、主宰者の意見を記載することは許されていない。

5) 行政庁は不利益処分の決定をするときは、聴聞調書の内容等を十分に参酌しなければならない。これは単にそれを参考に供するということだけを意味するのではなく、行政庁が聴聞調書に掲げられていない事実に基づいて判断することは原則として許されないことを意味する。

■解説

【難易度】普通。

1) 正しい。15条1項。

2) 正しい。19条1項。本肢にあるように、不利益処分に関与した担当者を主宰者として指名することもできないわけではないが、聴聞への信頼等を考慮すれば、当該事件に直接関与した職員(調査担当者、処分案起案者等)は、主宰者から除外されると考えるべきであろう。前掲塩野304頁。直接関与者が聴聞を行うというのでは、聴聞のチェック機能がうまく働かないからである。

3) 正しい。20条6項。但し当事者が公開を求める場合や、社会的に公正さの担保がより必要な場合は、公開相当の事由に該当するといえよう。前掲塩野304頁。

4) 誤り。24条3項。よってこれが正解。同条項は「主宰者は、聴聞の終結後速やかに、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し、第1項の調書とともに行政庁に提出しなければならない」と規定している。

5) 正しい。前掲塩野305頁、櫻井他207頁。

■行政代執行法(2005−12)【条文知識問題】

行政代執行法に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 行政代執行法の定める手続要件は、憲法上の要請と解されているので、個別の法律で簡易代執行を認めることはできない。

2) 行政代執行法では、代執行の前提となる命令等の行政処分がすでに文書で告知されているので、戒告を改めて文書で行う必要はない。

3) 行政代執行法では、緊急の必要性が認められ正規の手続をとる暇がない場合には、代執行令書による通知手続を経ないで代執行をすることができる。

4) 行政代執行は、義務者の義務不履行をその要件として、その意に反して行われるので、行政代執行手続においても、行政手続法上の不利益処分に関する規定が適用される。

5) 行政代執行法は、法令違反の是正が目的とされているから、義務の不履行を放置することが著しく公益に反しない場合であっても、代執行が可能である。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。行政代執行法は、代執行についての一般法にすぎないので、個別法律で簡易代執行を認めることは可能である(行政代執行法1条参照)。

2) 誤り。文書による戒告が原則必要である(3条1項)。

3) 正しい。3条3項。

4) 誤り。行政代執行手続は、行政手続法上の「不利益処分」から除外されている(行政手続法2条4号イ)。

5) 誤り。行政代執行法2条。

■国家賠償法(2005−13)【判例問題】

国家賠償法に関する次の記述のうち、判例に照らし妥当でないものはいくつあるか。

ア) 国家賠償法1条に定める公共団体の責任とは、公共団体自体の責任を問うものではなく、加害公務員の責任を代位するといういわゆる代位責任であるから、具体的に損害を与えた加害公務員の特定が常に必要とされる。

イ) 国家賠償法における公権力の概念は非常に広く、法的行為のみならず、警察官による有形力の行使等の事実行為をも対象とするが、教育活動や公共施設管理などのサービス行政に関わる行為など民法709条の不法行為責任を問うことができる場合については、国家賠償法に基づく責任を問うことができない。

ウ) 職務を行うについてという要件の範囲は非常に広く、勤務時間外に行われた、公共団体にとってはおよそ直接監督することができない、職務とは関わりのない行為でも、それが制服を着用していたり、公務であることを騙ったりして、外見上職務であるように見えれば、国家賠償法上の職務関連行為として認定されることがある。

エ) 国家賠償法1条の責任は、国・公共団体の客観的な責任を問うものであり、損害が発生したことについて、行為者たる公務員本人の故意過失が認められない場合であっても、損害の発生が国・公共団体の作為・不作為に起因するものである場合には、賠償責任が成立することが、最高裁判例により認められている。

オ) 国・公共団体の機関は、規制権限の行使・不行使に関する判断をする裁量的な権限を一般的に有しているが、国民の生命・身体に直接の危害が発生するおそれがある場合には、規制権限の不行使が国家賠償法上責任のあるものとして認められる場合がある。

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】易しい。

ア) 誤り。国家賠償法1条の責任が「代位責任」であるという説明は正しいが(塩野宏『行政法U』第6版〔2019年、有斐閣〕317頁以下、前掲櫻井他363頁)、国家賠償請求において、加害公務員を具体的に特定する必要はなく、何人かの公務員が不法行為を行ったと特定できれば、国、公共団体の責任を認めることができる(前掲塩野323頁、櫻井他363−364頁)。なお最判昭和57年4月1日参照。

イ) 誤り。教育活動から生じた損害については、国家賠償法1条で処理できる(「広義説」、前掲塩野324頁、櫻井他365頁以下。最判昭和62年2月6日)。一方公共施設管理から生じた損害については、国家賠償法2条の問題となる。

ウ) 正しい。「外見主義」である。前掲塩野350頁、櫻井他367頁。最判昭和31年11月30日。

エ) 誤り。公務員に故意過失が認められない場合には、国家賠償法上の責任は成立しない。

オ) 正しい。最判平成7年6月23日等。前掲塩野327頁、櫻井他376頁以下。なお「裁量権収縮論」も注意。前掲塩野331頁注(3)参照。

よって正解は3)3つとなろう。

■行政不服審査法(2005−14)【条文知識問題】

次のア)−オ)の記述で、行政不服審査法の審査請求の対象とならないものが2つある。その組合せとして、正しいものはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

ア) 都市計画法に基づく開発許可処分

イ) 外国人の出入国に関する処分

ウ) 人の収容、物の留置その他その内容が継続的性質を有する事実行為

エ) 建築基準法上の建築確認処分

オ) 国税犯則事件に関する法令に基づき、国税庁長官が行なう処分

1) ア)、ウ)
2) ア)、オ)
3) イ)、エ)
4) イ)、オ)
5) ウ)、オ)

■解説

【難易度】

正解は4)のイ)、オ)である(行政不服審査法7条1項10号、7号)。前者は2000年15問で出題されている。

なお旧2条1項は、ウ)が行政不服審査法上の「処分」に含まれる旨規定していたが、同条項は新法では削除された。但し新法の下でも、従前同様行政不服審査法の「処分」(1条1項)概念に継続的な権力的事実行為は含まれると解されている。新法から継続的事実行為に関する規定が削除されたのは、継続的事実行為が処分に含まれるということに異論がなく、規定を置く実益に乏しいとの理由からである。宇賀克也『行政不服審査法の逐条解説』(2015年、有斐閣)12頁。

■行政不服審査法(2005−15)【理論問題】

次の文章の空欄(A)−(D)に入る適切な文言の組み合わせとして、妥当なものはどれか(法改正に伴い正解なし)。

不作為に対する不服申立ては、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らの判断も示さない場合に行政庁がすみやかに判断を下すように督促し、事務処理の促進を求めるものであるから、(A)のほうが(B)より実効性がないということは、必ずしもいえない。むしろ不作為の不服申立ては、(C)自体に直接行ったほうが、迅速、適切な措置を期待できる場合もあるので、本法は、不作為に関する不服申立てに関しては(D)をとった。
(出典 田中館照橘ほか「判例コンメンタール行政不服審査法」より)

A B C D
1) 異議申立て 審査請求 上級庁 自由選択主義

2) 審査請求 再審査請求 上級庁 審査請求中心主義

3) 審査請求 再審査請求 処分庁 自由選択主義

4) 異議申立て 審査請求 処分庁 自由選択主義

5) 審査請求 再審査請求 処分庁 審査請求中心主義

■解説

【難易度】 旧規定の下では、不作為の不服申立は自由選択主義が採用されていた(旧7条)。即ち不作為については、不作為庁の直近上級行政庁への審査請求、不作為庁への異議申立いずれかを選択できた。その理由は、問題文中にあるように「不作為の不服申立ては、処分庁自体に直接行ったほうが、迅速、適切な措置を期待できる場合もある」とされたからであった(なお旧規定を前提にするとこの問題の正解は肢4であった)。

しかし改正法では不作為についての不服申立も、異議申立が廃止された結果審査請求一本で争うことになった(3条)。なお不作為については、再調査の請求(5条)は認められていない。前掲宇賀17頁以下。

■行政事件訴訟法・行政事件訴訟法の改正事項(2005−16)【条文知識問題】

平成16年の行政事件訴訟法改正では、行政訴訟における国民の救済の範囲が拡大と国民にとっての利用しやすさの増進がはかられた。次の記述のうち、改正法でなお実現されなかったものはどれか。

1) 従来、抗告訴訟における被告は処分庁とされてきたが、改正後は、国家賠償法と同様に、国又は公共団体を被告とすることになった。

2) 従来、無名抗告訴訟の一種と位置付けられていた義務付け訴訟や差止訴訟が、改正後は法定抗告訴訟とされたのにともない、仮の義務付けおよび仮の差止めの制度が設けられた。

3) 従来、きわめて厳格であった「回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があるとき」という執行停止の要件が、「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」とされ、改正前に比べ緩和された。

4) 従来、原告適格の要件としての「法律上の利益」が厳格に解釈されてきたが、当該法令と目的を共通にする関係法令も参酌すべきことなどとされ、、その拡大がはかられた。

5) 従来、厳格に解釈されてきた取消訴訟における処分性について、具体的効果など諸事情を総合的に考慮し判断すべきとの解釈規定が加えられ、その拡大がはかられた。

■解説

【難易度】易しい。

1) 正しい。行政事件訴訟法11条。

2) 正しい。義務付け訴訟につき3条6項、37条の2、差止訴訟につき、3条7項、37条の4参照。

3) 正しい。25条2項。

4) 正しい。9条2項。

5) 誤り。このような改正は行われていない。