■2005年行政書士試験・法令記述式問題

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■憲法・違憲審査基準(2005−36)【判例問題】

次の文章は、最高裁判決の一節である。下線部ア)、イ)の法理は、一般にどのように呼ばれるか、記入しなさい(アは5字以内、イは9字以内)。

集会の用に供される公共施設の管理者は、当該公共施設の種類に応じ、また、その規模、構造、設備等を勘案し、公共施設としての使命を十分達成せしめるよう適正にその管理権を行使すべきであって、これらの点からみて利用を不相当とする事由が認められないにもかかわらずその利用を拒否し得るのは、利用の希望が競合する場合のほかは、施設をその集会のために利用させることによって、他の基本的人権が侵害され、公共の福祉が損なわれる危険がある場合に限られるものというべきであり、このような場合には、その危険を回避し、防止するために、その施設における集会の開催が必要かつ合理的な範囲で制限を受けることがあるといわなければならない。そして、右の制限が必要かつ合理的なものとして肯認されるかどうかは、基本的には、基本的人権としての集会の自由の重要性と、当該集会が開かれることによって侵害されることのある他の基本的人権の内容や侵害の発生の危険性の程度等を較量して決せられるべきものである。本件条例7条による本件会館の使用の規制は、このような較量によって必要かつ合理的なものとして肯認される限りは、集会の自由を不当に侵害するものではなく、また、検閲に当たるものではなく、したがって、憲法21条に違反するものではない。以上のように解すべきことは、当裁判所大法廷判決の趣旨に徴して明らかである。

そして、このような較量をするに当たっては、(ア)集会の自由の制約は、基本的人権のうち精神的自由を制約するものであるから、経済的自由の制約における以上に厳格な基準の下にされなければならない

本件条例7条1号は、「公の秩序をみだすおそれがある場合」を本件会館の使用を許可してはならない事由として規定しているが、同号は、広義の表現を採っているとはいえ、右のような趣旨からして、本件会館における集会の自由を保障することの重要性よりも、本件会館で集会が開かれることによって、人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであり、その危険性の程度としては、前記各大法廷判決の趣旨によれば、(イ)単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要であると解するのが相当である。

■解説

本問は、泉佐野市民会館事件(最判平成7年3月7日)からの出題である。

ア) 二重の基準。「精神的自由は立憲民主政の政治過程にとって不可欠の権利」であり「経済的自由に比べ優越的地位を占める」。よって法律の違憲審査においては、「経済的自由の規制立法に関して適用される」基準は、精神的自由の規制立法については適用できず、「より厳格な基準によって審査されなければならないとする理論」が、二重の基準(論)である。芦部信喜〔高橋和之補訂〕『憲法』第3版(2002年、岩波書店)100頁。

イ) 明白かつ現在の危険。最高裁はこれまで、「明白かつ現在の危険」の基準を用いて憲法判断をしたことはない。但しこの基準の「趣旨を示した」判例として、本件があげられる。

■行政法・行政審判(2005−37)【理論問題】

次の文章の(A)(漢字4字)(B)(漢字5字)に当てはまる最も適切な語を記入しなさい。

独占禁止法による公正取引委員会の審判・審決、特許法による特許庁の審判・審決、土地収用法による収用委員会の審理・裁決、労働組合法による労働委員会の審問・命令の手続など、独立性・中立性の高い行政委員会が、準司法的手続に従って、争訟の裁定など特定の処分をする手続を総称して(A)と呼ぶ。

この手続に基づく決定(審決)に関しては、それについての訴訟の局面でも、「委員会の認定した事実は一定の場合に裁判所を拘束するという(B)の法則」や、審級の省略など、通常の行政処分取消訴訟に対する特例が法定されていることがある。

■解説

A) 行政審判。独立行政委員会やそれに類似した行政機関が、準司法的手続により、一定の決定を行う場合その決定そのもの、その決定にかかわる制度全体を行政審判という。塩野宏『行政法U』第4版(2005年、有斐閣)39頁。

B) 実質的証拠。独占禁止法80条1項には、「公正取引委員会の認定した事実は、これを立証する実質的な証拠があるときには、裁判所を拘束する」と規定されているが、ここでいう、認定事実につき実質的証拠がある場合、裁判所を拘束するというのが、実質的証拠法則のことになる。前掲塩野44頁以下。

なおこの実質的証拠法則を無限定に認めると、裁判所から事実認定権を奪う結果となり、憲法32条、76条2項に違反する疑いを生じさせる。そこで独禁法は、「実質的な証拠の有無は、裁判所がこれを判断するもの」(80条2項)として、違憲性への疑いを回避している。芦部前掲318−319頁。

■行政救済・職権主義等(2005−38)【理論問題】

次の文章の(A)(漢字4字から6字以内)(B)(漢字4字)に当てはまる適切な語を記入しなさい(法改正に伴い記述を改めた)。

行政不服審査法は、当事者のみならず審理員が物件の提出要求をし、検証をするなどを認める(A)の特色を有する。これは、行政不服審査手続が行政の自己抑制の仕組みであり、訴訟手続と比べて手続の簡易性と迅速性を必要とするためである。
これに対し、行政事件訴訟では、これまでは一般の民事訴訟と同様に当事者主義的な審理手続がとられてきたが、改正行政事件訴訟法により、行政訴訟の審理の充実・促進の観点から、裁判所が必要があると認めるときは、処分の理由を明らかにする資料を提出させる制度が、新たに導入された。これを(B)の特則という。

■解説

A) 職権主義(職権審理主義、職権探知主義)。問題文後半における、「これに対し、行政事件訴訟では、これまでは一般の民事訴訟と同様に当事者主義的な審理手続がとられてきた」という部分を手掛かりにする。「(A)に対し」後半部分で当事者主義の説明がなされているので、当事者主義に対する対概念である「職権主義」が答えとなる。
問題文にあるように、行政不服審査法は、審理員が物件の提出要求(33条)や検証(35条1項)をなし得る事を認めているが、これらが職権証拠調べを認めているのは明らかである。そして職権探知主義については明文がないもののこれを肯定するのが判例である(最判昭和29年10月14日)。前掲塩野27頁。

B) 釈明処分が入る(行政事件訴訟法23条の2)。

■地方自治法(2005−39)【条文知識問題】

次の1および2の文章は地方自治法の条文の一節である。(A)(B)(各漢字4字)に当てはまる適切な語を記入しなさい。

1 地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づき、かつ、国と地方公共団体との適切な(A)を踏まえたものでなければならない。

2 法律又はこれに基づく政令により地方公共団体が処理することとされる事務が(B)である場合においては、国は、地方公共団体が地域の特性に応じて当該事務を処理することができるよう特に配慮しなければならない。

■解説

それぞれA)役割分担(2条11項)、B)自治事務(2条13項)が入る。

■民法・消費貸借契約(2005−40)【条文知識問題】

次の文章を読み、(A)(漢字2字)(B)(漢字3字)に当てはまる最も適切な語を記入しなさい。

消費貸借契約は、(A)契約であるから、相手方から目的物を受け取ることによって成立するが、これに先立って貸主の債権を担保するために抵当権が設定された場合にも、判例は、この抵当権の設定を有効としている。すなわち、貸主の返還請求権は目的物の授受の時に生じ、抵当権設定当時にはまだ存在していないはずであるが、判例は、抵当権は将来の債権のためにも設定できるものとして、抵当権の(B)を緩和しているのである。

■解説

A) 要物。問題文中に、「目的物を受け取ることによって成立する」とあるので、ここから判断して要物(契約)という言葉を思い出すことになる。なお民法の中で要物契約とされているのは、消費貸借(587条)、使用貸借(593条)、寄託(657条)の3つである。

B) 附(付)従性。附従性とは、被担保債権なければ担保物権が成立しないことをいう。附従性を徹底すると、本問のような抵当権設定時、消費貸借契約の目的物を受け取っていないという場合、消費貸借契約自体が成立しておらず、よって抵当権も発生しないことになる。淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』第2版(1994年、有斐閣)209頁。
しかし本問のような場合でも、抵当権の成立に異論はないとされている(大判昭和7年6月1日)。つまり「抵当権の(B附従性)を緩和している」のである。前掲淡路他247頁。