■2004年行政書士試験・民法

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■制限能力者制度(2004−25)【条文知識、理論問題】

不動産の売買に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) Aが19歳の時に、その法定代理人Bの同意を得ずにCにAの所有する不動産を売却した場合に、AおよびBは、Aが成年に達したときには、AC間の売買契約を取り消すことはできない。

2) 被保佐人Aが、その保佐人Bの同意を得ずにCにAの所有する不動産を売却した場合に、AおよびBは、AC間の売買契約を取り消すことができる。

3) Aの所有する土地の上に、Aの所有する建物がある場合において、Aは、土地の所有権を自己に留保したまま、建物だけをBに売却することはできない。

4) 権利能力なき社団Aが不動産を買い受けた場合において、Aは、法人に準じて扱われるので、登記実務上、A名義の登記が認められる。

5) AがBに対しAの所有する不動産を売却した後に、同不動産を重ねてCにも売却した場合において、B、Cのうち、同不動産の引渡しまたは登記の移転を先に受けた方がその所有権を取得する。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。Aが20歳になった場合、CはAに対し1ヶ月以上の期間を定め、その間にAが締結した契約を追認するか否かを催告する。そしてAが、期間内にCのなした催告に対しなんらの確答をしない場合、Aは当該契約を追認したとみなされる(20条1項)。この結果、Aは売買契約を取消せなくなるのであり、Aの成年を以って直ちに取消せなくなるのではない。

2) 正しい。13条1項3号、13条4項、120条1項。

3) 誤り。土地と建物は別個の不動産なので、Aは、自己の土地上に建っている建物だけをBに売却することができる。

4) 誤り。登記実務上、権利能力なき社団について社団名義での登記は認められていない。山田−河内−安永−松久『民法T』第3版補訂(2007年、有斐閣)94頁。

5) 誤り。不動産の対抗要件は登記なので(177条)、BCの内、登記を先に具備したほうが所有権を取得する。

■共有・総有(2004−26)【条文知識、理論問題】

甲地について、複数の者が、民法上の共有(民法第249条以下)として共同所有している場合(以下では、この場合を「Aの場合」という。)と、共有の性質を有する入会権(民法第263条)を有するものとして共同所有している場合(以下では、この場合を「Bの場合」という。)に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 甲地の共同所有者は、Aの場合には、自己の持分を自由に譲渡することができるが、Bの場合には、持分の譲渡については共同所有者の属する入会集団の許可を得なければならない。

2) Aの場合には、甲地の管理について、各共同所有者の持分の価格に従い過半数で決するが、Bの場合には、甲地の管理について、共同所有者の4分の3以上の多数により決する。

3) 甲地の共同所有者は、Aの場合もBの場合も、甲地の分割について他の共同所有者全員の同意があるときのみこれを行うことができる。

4) Aの場合もBの場合も、共同所有者全員の合意によって甲地を第三者に売却することができる。

5) 甲地の所有権は、Aの場合もBの場合も、各共同所有者にその持分に応じて帰属する。

■解説

【難易度】普通。

共同所有の形態には、共有、合有、総有の3つがある(淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』第2版〔2001年、有斐閣〕155頁以下)。「持分」「持分処分の自由」「分割請求権」につき、すべて認められるのが共有(249条以下)、すべて否定されるのが総有(入会財産等。持分については認められる場合もある)、持分は認められるがその処分は制限され分割請求は認められないというのが合有(組合財産等)である。

1) 誤り。入会のような総有による共同所有については、個人的な持分は認められないのが原則である。よって持分の譲渡も認められない。前掲淡路他『民法U』第2版(2001年、有斐閣)157頁。

2) 誤り。前半は正しい(252条本文)が、入会の場合の管理方法は慣習による。前掲淡路他195頁。

3) 誤り。共有においては、「」共有者はいつでも共有物の分割を請求できる(256条1項本文)。一方総有において分割請求権は認められない。

4) 正しい。共有につき251条(同条の「変更」には売却等も含まれる)。入会については前掲淡路他202頁。

5) 誤り。入会の場合持分が認められないことは前述した。

■抵当権(2004−27)【条文知識問題】

民法の抵当権に関する規定については、近時、改正(平成15年8月1日公布・平成16年4月1日施行)がなされた。次の抵当権に関する記述は、改正のあった事項であるが、改正後の規定(現行の規定)に照らして、誤っているものはどれか。

1) 根抵当権者は、元本確定期日の定めがある場合を除き、いつでも担保すべき元本の確定を請求することができ、この請求があったときには、その請求の時に担保すべき元本が確定する。

2) 抵当権者に対抗することができない賃貸借に基づく抵当建物の占有者が、競売手続の開始前よりその建物を使用または収益をなしているときは、建物の占有者は、建物の競売による買受けの時から6か月間は、買受人に対して建物を引き渡すことを要しない。

3) 抵当不動産について所有権を取得した第三者は、抵当権者に対して抵当権消滅請求をすることができるが、抵当権者は、これに対し、抵当権消滅請求を受けた後2か月内に、通常と同様の手続で競売の申立てをすることができる。

4) 抵当権設定後に抵当地に建物が築造された場合に、その建物が抵当権設定者以外の者によって築造されたときは、土地の抵当権者は、抵当地と共に一括してその建物を競売することはできない。

5) 登記された賃貸借は、その登記前に抵当権の登記をしている抵当権者のすべてが、その賃借権に対抗力を与えることに同意し、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。

■解説

【難易度】普通。

1) 正しい。398条の19第2項、3項。

2) 正しい。395条1項。

3) 正しい。384条1号。

4) 誤り。よってこれが正解。389条1項。旧法では抵当権設定者が建てた場合に一括競売の成立を限定していた(抵当権設定の後其設定者が抵当地に建物を築造したるときは抵当権者は土地と共に之を競売することを得)。

5) 正しい。387条。

■委任(2004−28)【条文知識問題】

委任契約に関する次の記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア) 無償委任の受任者は、自己の財産におけるのと同一の注意をもって事務を処理する義務を負う。

イ) 委任者は、委任契約をいつでも解除することができるが、受任者が委任者にとって不利な時期に解除するには、やむをえない事由がなければならない。

ウ) 受任者が委任事務を処理するため自己に過失なくして損害を被った場合には、委任者は、無過失であっても、受任者に対して損害賠償の責任を負う。

エ) 受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理状況を報告する義務を負う。

オ) 受任者が、委任事務を処理するについて費用を要する場合には、その事務を処理した後でなければ、委任者に対してその費用の支払いを請求することができない。

1) ア)、イ)
2) イ)、ウ)
3) ウ)、エ)
4) エ)、オ)
5) ア)、オ)

■解説

【難易度】易しい。

ア) 誤り。受任者は、無償有償問わず「善管注意義務」を負う(644条)。なお寄託の場合の注意義務(659条)との違いに注意。

イ) 誤り。当事者は委任契約をいつでも解除することができる(651条1項)が、当事者一方が相手方にとって不利な時期に解除しようとする場合、損害賠償が必要となる(651条2項)。但しやむを得ない事由がある場合は、賠償を要せず解除し得る(651条2項但書)。

ウ) 正しい。650条3項。

エ) 正しい。645条。

オ) 誤り。受任者は、費用の前払の請求をし得る(649条)。

よって答えはウ)、エ)の3)になる。

■婚姻(2004−29)【判例知識問題】

婚姻に関する次の記述のうち、判例の趣旨に照らして、誤っているものはどれか。

1) 婚姻の届出は戸籍吏に受理されれば完了し、戸籍簿に記入されなくても婚姻は成立する。

2) 配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、重婚関係を生ずるが、後婚は当然には無効となるものではなく、取り消し得るものとなるにすぎない。

3)  内縁を不当に破棄された者は、相手方に対して、婚姻予約の不履行を理由に損害賠償を請求することができるとともに、不法行為を理由に損害賠償を請求することもできる。

4) 事実上の夫婦共同生活関係にある者が婚姻意思を有し、その意思に基づいて婚姻の届書を作成したときは、届書の受理された当時意識を失っていたとしても、その受理前に翻意したなど特段の事情のない限り、届書の受理により婚姻は有効に成立する。

5) 婚姻の届出が単に子に嫡出子としての地位を得させるための便法として仮託されたものにすぎないときでも、婚姻の届出自体については当事者間に意思の合致があれば、婚姻は効力を生じ得る。

■解説

【難易度】普通。

1) 正しい。大判昭和16年7月29日。佐藤−伊藤−右近『民法X』第2版補訂(2000年、有斐閣)21頁。

2) 正しい。744条。なお無効原因につき742条参照。

3) 正しい。大連判大正1年4月26日。前掲佐藤他37頁。

4) 正しい。最判昭和44年4月3日。前掲佐藤他7頁。

5) 誤り。よってこれが正解。最判昭和44年10月31日。最高裁は、「たとえ婚姻の届出自体については当事者間に意思の合致があつたとしても、それが単に他の目的を達するための便法として仮託されたものにすぎないときは、婚姻は効力を生じない」としている。