■2004年行政書士試験・行政法

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■情報公開法(2004−8)【条文知識問題】

情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)の文書開示に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 行政機関の長は、開示請求に係る行政文書に不開示情報が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときには、当該行政文書を開示しなければならない。

2) 開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当言亥開示請求を拒否することができる。

3) 行政機関の長は、個人識別情報であっても、当該個人が公務員等である場合には、職務遂行の内容のみならず、その職についても開示しなければならない。

4) 行政機関の長は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することはできないが、公にすることによりなお個人の権利利益を害するおそれがあるものが記録されている場合には、開示してはならない。

5) 行政機関の長は、開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合において、不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。これが正解である。紛らわしい肢だが、開示「しなければならない」のではなく、開示することが「できる」のである(情報公開法7条)。

2) 正しい。8条。

3) 正しい。5条1号ハ。

4) 正しい。5条1号。

5) 正しい。6条本文。

■行政行為の効力、公定力(2004−9)【理論問題】

行政行為の効力に関する次の文章の(ア)−(エ)を埋める語の組合せとして、最も適切なものはどれか。

行政行為の効力の一つである(ア)は、行政行為の効力を訴訟で争うのは取消訴訟のみとする取消訴訟の(イ)を根拠とするというのが今日の通説である。この効力が認められるのは、行政行為が取消し得べき(ウ)を有している場合に限られ、無効である場合には、いかなる訴訟でもその無効を前提として自己の権利を主張できるほか、行政事件訴訟法も(エ)を用意して、それを前提とした規定を置いている。

ア イ ウ エ

1) 公定力 拘束力 違法性 無名抗告訴訟

2) 不可争力 排他的管轄 瑕疵 無名抗告訴訟

3) 不可争力 先占 違法性 客観訴訟

4) 公定力 排他的管轄 瑕疵 争点訴訟

5) 不可争力 拘束力 瑕疵 争点訴訟

■解説

【難易度】普通。

ア) 公定力。(ウ)以降で、「効力の一つである(ア)が認められるのは、行政行為を取消し得べき場合であり、無効の場合には認められない」旨の記述が出てくるが、これを手がかりにすれば、ア)に公定力が入ることがわかる。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)160頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)93頁。

イ) 排他的管轄。公定力についての実定法上の根拠は、行政事件訴訟法における取消訴訟の制度であり、法律がこの制度を用意しているということは、訴訟で処分を直接攻撃できるのはこの訴訟だけであるということになる。これが取消訴訟の排他的管轄である。前掲塩野145頁、櫻井他85頁。

ウ) 瑕疵。取消訴訟の排他的管轄という特権が認められるのは取消し得べき瑕疵を有する行政行為であり、無効の瑕疵を有する行政行為はこの特権を享受できない。前掲塩野159−160頁、櫻井他93−94頁。

エ) 争点訴訟。争点訴訟は排他的管轄を前提とした制度である。前掲塩野149−150頁。

よって正解は4)となろう。

■即時強制(2004−10)【理論問題】

行政機関が行う次のような行為のうち、行政法理論上「即時強制」にあたるものは、いくつあるか。

ア) 建築規制法規に違反する建築物として除却命令が出ているにもかかわらず義務者が自主的に除却しないため、行政の職員が義務者に代わって除却する行為

イ) 営業許可に付された条件の履行を促す行政指導を無視したまま営業を継続している業者の氏名を行政庁が公表する行為

ウ) 建築規制法規に違反する建築物の所有者からの給水申し込みを市長が拒否する行為

エ) 車両が通行する公道上に寝ころんだまま熟睡している泥酔者の安全を確保するため、警察官がその者を警察署に運び保護する行為

オ)火災の発生現場において消防士が、延焼の危険のある近隣の家屋を破壊してそれ以上の延焼を防止する行為

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】普通。個数問題という点で若干難易度が上がるかもしれない。

ア) 代執行である。代執行に対し即時強制は、義務の賦課や義務の不履行を前提としない。前掲塩野252頁、櫻井他169頁。

イ) 公表である。義務の不履行あるいは行政指導に対する不服従がある場合、その事実を一般的に公表することを「公表」という。前掲塩野241頁以下、櫻井他179頁。

ウ) 給付拒否である。これは私人の対応に不適切さがあるとき、生活必需的なサービスの給付を拒否することで、私人の対応の是正を図ったり、私人の行動を規制しようとするものである。塩野前掲239頁以下、櫻井他180頁以下。なお公表や給付拒否は、代執行、執行罰、直接強制、即時強制等と並び別個存在する義務履行確保の制度である。

エ) 即時強制である。警察官職務執行法3条参照。

オ) 即時強制である。よって正解は2)の2つとなる。

■国家賠償法1条(2004−11)【判例問題】

国家賠償に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、妥当でないものはどれか。

1) 公立学校における教員の教育活動は、行政処分ではなく体罰等の事実行為であっても国家賠償法での公権力の行使にあたる。

2) 議員に対し、町議会が辞職勧告決議をなしたことが議員に対する名誉駿損にあたるとする国家賠償の訴えは、決議が違法か否かが審査されるので法律上の争訟にはあたらない。

3) 公務員が主観的には職務権限行使の意思を有しなかったとしても、客観的に職務行為の外形を備える行為であれば、国家賠償法第1条の職務を行うについてという要件をみたし、損害が発生している場合には、国または公共団体は損害賠償責任を負担する。

4) 行政処分の違法性を理由とする国家賠償法上の訴えを提起するにあたっては、その前提としてあらかじめその行政処分の取消または無効確認の判決を得ておく必要はない。

5) 公務員個人は、国または公共団体がその責任を負担する以上、被害者に対し直接責任を負うことはない。

■解説

【難易度】易しい。

1) 正しい。最高裁は、国家賠償法1条の「公権力の行使」について、国の私経済作用および2条の対象となるものを「除いたすべての活動」であるとする(広義説)からである。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)324頁。

2) 誤り。よってこれが正解。最高裁は、このような国家賠償請求が法律上の争訟にあたるとしている(最判平成6年6月21日)。

3) 正しい。最判昭和31年11月30日。外形標準説(外形主義)の採用である。前掲塩野350頁。

4) 正しい。最判昭和36年4月21日。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)147−148頁。

5) 正しい。最判昭和30年4月19日。代位責任説の帰結である。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)353頁。

■行政手続法(2004−12)【条文知識問題】

行政手続法に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか(本試験後の法改正により複数正解あり)。

1) 行政手続法は、行政処分をもっぱら対象とし、その事前手続について法的規律を設けるとともに、事後的救済手続についても定めを置いている。

2) 行政手続法は、侵害的行政処分ならびに公権力の行使に当たる行為のみならず、許認可などの授益的処分についても規律を定めている。

3) 行政手続法は、不服申立てに対する行政庁の裁決、裁判の執行としてされる処分、公務員の身分に関してされる処分についても、その事前手続につき法的な規律を設けている。

4) 行政手続法は、行政処分については事前聴聞手続を、行政立法についてはバブリック・コメント制を一般的に義務的手続とすることにより、行政過程に広く手統的な規制を行うものである。

5) 行政手続法は、行政処分について手続的規律を設けるほか、行政機関が一方当事者である一定金額以上の契約について、入札制などの手続規定を置いている。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。行政手続法は、もっぱら事前手続に関する規定を設けている。事後的救済は、行政手続法ではなく行政不服審査法、行政事件訴訟法等の問題である。

2) 正しい。行政手続法5条、12条以下。

3) 誤り。これら処分は、行政手続法第2章−第4章の規定が適用されない。3条1項2、9、15号。

4) 誤り。本試験時点では誤りであったが、現在では法改正により意見公募手続に関する規定(38条以下)が設けられたため、正しい選択肢となっている。

5) 誤り。行政手続法は、処分、行政指導、届出、命令制定手続に関する規定を設けているが(1条1項)、入札制に関する規定はない。

■行政手続法(2004−13)【条文知識問題】

行政手続法の条文においては、申請により求められた許認可等の行政処分を行う行政庁が「必ずしなければならないもの」と「努めなければならないもの」の区別がなされているが、これに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるように努めなければならない。

2) 行政庁は、申請により求められた許認可等に対する処分をする場合は、あらかじめ審査基準を定め、これを公にしておくよう努めなければならない。

3) 行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請の審査の進行状況・処分の時期の見通しを示すように努めなければならない。

4) 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、当該処分の理由を示さなければならない。

5) 行政庁は、申請に対する処分であって申請者以外の者の利害を考慮すべき場合は、公聴会の開催その他適当な方法により、当該申請者以外の者の意見を聞く機会を設けるよう努めなければならない。

■解説

【難易度】普通。条文知識問題だが、試験現場で解くと頭の中が混乱しそうな問題である。こういう問題は冷静に解かなければならない。

1) 正しい。6条。なお標準処理期間を実際定めた場合は、それを公にしなければならない。

2) 誤り。5条。この場合の審査基準の設定及び公表は努力義務にとどまらない、必ずしなければならないものである。

3) 正しい。9条1項。

4) 正しい。8条。

5) 正しい。10条。

■行政手続法(2004−14)【条文知識問題】

行政手続法の適用範囲に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 行政手続法は、行政処分、行政指導、届出について一般的規律を定める法であるが、他の法律に特別の手続規定を設けた場合は、その特別規定が優先する。

2) 行政処分、行政指導、届出に当たる行為であっても、第3条第1項に列挙されている類型に該当するものについては、行政手続法は適用されない。

3) 行政処分、行政指導、届出に当たる行為であって、第3条第1項に列挙されている類型に該当しないものについては、他の法律で特別の手続規定を設けることができる。

4) 地方公共団体の機関がする行政処分であって、その根拠となる規定が条例または規則に置かれているものでないものについては、行政手続法が適用される。

5) 地方公共団体の機関がする行政指導については、その根拠となる規定が条例または規則に置かれているかどうかにかかわらず、行政手続法が適用される。

(参考条文)

第1条(略)  

2 処分、行政指導及び届出に関する手続に関しこの法律に規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる

第3条 次に掲げる処分及び行政指導については、次章から第4章までの規定は、適用しない。     

一 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分    

二 〜 十 六 (略)  

2 前項各号に掲げるもののほか、地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導並びに地方公共団体の機関に対する届出(前条第7号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)については、次章から第5章までの規定は、適用しない。

*現在は法改正のため条文番号がずれている。

■解説

【難易度】易しい。

1) 正しい。1条1、2項。なお現在は法改正のため、「行政処分、行政指導、届出、命令を定める手続について一般的規律を定める法」とするのが正確である。

2) 正しい。3条1項。

3) 正しい。1条2項。なお現在は法改正のため、「行政処分、行政指導、届出に当たる行為並びに命令等を定める手続であって」とするのが正確である。

4) 正しい。3条3項。「地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)−中略−については、次章から第5章までの規定は、適用しない」、の反対解釈である。

5) 誤り。3条2項。地方公共団体の機関がする行政指導については「すべて」行政手続法の適用外になる。

■行政不服審査法(2004−15)【条文知識問題】

行政不服審査法の審査請求に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

1) 処分の全部または一部の取消しの申立てのほか、処分の不存在確認の申立て、不作為についての申立てを行うことができる。

2) 法人でない社団または財団も、代表者または管理人の定めがある場合、その名で不服申立てをすることができる。

3) 審査請求は、原則として、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、しなければならない。

4) (法改正に伴い削除)

5) 審理員は、申立てまたは職権に基づいて、必要な場所につき、検証をすることができる。

■解説

【難易度】

1) 誤り。よってこれが正解。処分の不存在についての申立は存在しない。処分の全部一部取消については行政不服審査法46条1項。不作為については3条。

2) 正しい。10条。

3) 正しい。18条1項本文。旧14条1項と比べ審査請求期間が延長されている点に注意。また起算点は処分があったことを「知った日の翌日」という点に注意。

4) 法改正に伴い削除。元々は弁明書の提出に関する旧22条2項、3項を問う肢であったが、両規定共に新法では削除されている(旧22条2項、3項の内容は、新法の下では政令で定めることが予定されている〔19条1項〕)。なお29条参照。宇賀克也『行政不服審査法の逐条解説』(2015年、有斐閣)96、128頁。

5) 正しい。35条1項。

■行政不服審査法(2004−16)【条文知識問題】

行政不服審査法における不作為についての審査請求に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

1) (法改正に伴い削除)

2) 不作為に対する審査請求が認められるのは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分をすべきにもかかわらず、これをしない場合である。

3) (法改正に伴い削除)

4) 不作為に対する審査請求が理由のあるときは、審査庁は裁決で当該不作為が違法もしくは不当であることを確認し、申請者はこの確認裁決後、再度不作為庁に対して申請する。

5) 処分に対する審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内にしなければならないが、不作為に対する不服申立てには、そのような期間制限はない。

■解説

【難易度】

1) 法改正に伴い削除。元々は旧7条の知識を問う肢であったが、同条は異議申立の廃止により削除された。新法では、不作為についての不服申立は審査請求によることとなった(3条。なお4条も参照)。

2) 正しい。3条。

3) 法改正に伴い削除。元々は旧50条2項の知識を問う肢であったが、同条は異議申立の廃止により削除された。なお不作為についての審査請求の裁決につき49条参照。

4) 誤り。よってこれが正しい。不作為に対する審査請求が理由のあるときは、「審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言する」(49条3項柱書)ことになるが、この場合審査庁は、不作為庁に対し処分をすべき旨ことを命じるか(審査庁が不作為庁の上級行政庁である場合)、処分をする(審査庁と不作為庁が同じ場合)ことになる(49条3項1、2号)。申請者が再度不作為庁に対し申請するという事は必要ではない。

5) 正しい。不作為については、その状態が継続している限りいつでも審査請求を行うことができる(前掲宇賀90頁)。