■2003年行政書士試験・地方自治法

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■法律と条例の関係(2003−17)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 法律が個別に定めていないような罰則を、条例で規定することも、一定限度内において可能である。

2) 個別の法律の罰則よりきびしい罰則を条例に規定することも、一定範囲内において可能である。

3) 法律の委任がある事項につき、委任の範囲内で条例に罰則を定めることは可能である。

4) 条例には、法律の個別委任がない限り、刑罰でない過料を規定することもできない。

5) 条例で罰則に関し施行規則に包括委任することは許されない。

■解説

1) 正しい。本肢は、国会制定法が刑罰を以て禁止していない行為を、条例により禁止対象としそれに刑罰を科すことができるかどうか、という点を問うているものと思われるが、これについては肯定してよい。青少年保護育成条例における淫行処罰規定の合憲性につき、最判昭和60年10月23日。塩野宏『行政法V』第2版(2001年、有斐閣)145頁。

2) 正しい。上乗せ条例の可否が問題となる。これについては、法律が、全国一律の基準で罰則を定めているという趣旨を有していないのであれば、条例中に法律よりも重い刑罰を定めるとことは可能である(徳島市公安条例事件〔最判昭和50年9月10日)〕。

3) 正しい。地方自治法上科すことのできる刑罰は限定されており、また条例の制定手続は法律に準ずるものであるから、委任の程度が相当程度に具体的であれば、条例で罰則を定めるのも憲法31条との関係で合憲であるとされている(大阪市売春防止条例違反事件〔最判昭和37年5月30日〕)。

4) 誤り。刑罰と異なり、過料の場合委任の有無や程度は問題にはならないと言えよう。刑罰の場合でも相当程度の委任で足りると解される以上、過料の場合につき、前者以上の委任の程度たる個別的委任が必要とするのはバランスが取れないと言える。

5) 正しい。罰則に関し、条例ではなく「施行規則」に包括委任するということは、許されないと解されよう(憲法73条6号但書が罰則の包括的委任を禁止するのと同じである)。

■100条調査権(2003−18)

地方公共団体のいわゆる100条調査権に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 普通地方公共団体の議会は、法定受託事務・自治事務の区別なく、当該普通地方公共団体の事務すべてについて調査を行い、選挙人その他の関係人の出頭および証言ならびに記録の提出を請求することができる。

2) 普通地方公共団体の議会が、調査を行い、選挙人その他の関係人の出頭および証言ならびに記録の提出を請求するときは、あらかじめ当該普通地方公共団体の長その他関係する官公署との協議を経なければならない。

3) 議会が当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため、選挙人その他の関係人に出頭および証言または記録の提出を請求した場合に、正当な理由がないのに、これを拒否したときは、条例の定めるところにより、2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処することができる。

4) 議会は、選挙人その他の関係人が公務員たる地位において知り得た事実について、その者から職務上の秘密に属するものであることを理由に当該事実に関する証言または記録の提出を拒否されたときは、議員数の3分の2以上が出席しその4分の3以上の特別多数決に基づき、当該事実に関する証言または記録の提出が得られないときには公の利益が害される旨の声明を公にすることにより、選挙人その他の関係人の守秘義務を解除することができる。

5) 議会は、選挙人その他の関係人に出頭および証言または記録の提出を請求した場合に、正当な理由がないのに、これを拒否したとき、または虚偽の陳述をしたものと認めるときは、告発しなければならない。ただし、虚偽の陳述をした選挙人その他の関係人が、議会の調査が終了した旨の議決がある前に自白したときは、告発しないことができる。

■解説

1) 誤り。「法定受託事務・自治事務の区別なく、当該普通地方公共団体の事務すべてについて」調査できるわけではない。100条1項括弧内には、調査権が及ばない項目が規定されている。後半部分の説明は正しい。

2) 誤り。議会が100条調査権を行使する場合、普通地方公共団体の長等と協議をしなければならないということはない(100条1項参照)。

3) 誤り。このような拒否に対する刑罰は、6箇月以下の禁錮又は10万円以下の罰金である(100条3項)。

4) 誤り。この場合、守秘義務は当該官公所の承認がなければ解除されない(100条4項)。また当該官公所が承認をしない場合については、100条4−6項を参照。

5) 正しい。100条9項。

■住民訴訟(2003−19)

地方自治法上の住民訴訟による差止め請求に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 当該執行機関または職員に対する当該行為の全部または一部の差止めの請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによって当該普通地方公共団体に回復の困難な損害を生ずるおそれのあるときは、することはできない。

2) 当該執行機関または職員に対する当該行為の全部または一部の差止めの請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによって当該普通地方公共団体に回復の困難な損害が生ずるおそれのあるときもしくは公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない。

3) 当該執行機関または職員に対する当該行為の全部または一部の差止めの請求に基づく差止めは、当該行為が違法であると思料するに足りる相当な理由がある場合であって、当該行為を差し止めることによって、当該普通地方公共団体に回復困難な損害を生ずるおそれがあり、かつ、当該行為を停止することによって人の生命または身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときに限り、することができる。

4) 当該執行機関または職員に対する当該行為の全部または一部の差止めの請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによって人の生命または身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない。

5) 当該執行機関または職員に対する当該行為の全部または一部の差止めの請求は、これを差し止めることにより、公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償または防止の程度および方法その他一切の事情を考慮したうえ、その差止めが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は請求を棄却することができる。

■解説

1) 誤り。「当該普通地方公共団体に回復の困難な損害を生ずるおそれのあるときは、することはできない」のではなく、「人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない」、が正しい(242条の2第6項)。

2) 誤り。「当該普通地方公共団体に回復の困難な損害が生ずるおそれのあるときもしくは公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない」のではなく、「人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない」、が正しい(242条の2第6項)。

3) 誤り。242条の2第6項。「当該行為を停止することによって…その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときに限り、(差止を)することができる」という記述は常識的に変であろう。むしろ公共の福祉を阻害するのであれば、差止できないという結論の方が自然である。

4) 正しい。242条の2第6項。

5) 誤り。おそらく事情判決をモチーフにしたひっかけの肢であろう。

■法定受託事務(2003−20)

地方自治法上の法定受託事務に係る処理基準に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 都道府県の執行機関は、市町村の執行機関の担任する第一号法定受託事務および第二号法定受託事務について、市町村の執行機関が当該法定受託事務を処理するにあたりよるべき基準を定めることができる。

2) 各大臣は、その所管する法令に係る都道府県の法定受託事務の処理については、都道府県が当該法定受託事務を処理するにあたりよるべき基準を、都道府県との協議に基づき定めることができる。

3) 各大臣は、特に必要があると認めるときは、その所管する法令に係る市町村の執行機関が担任する第一号法定受託事務および第二号法定受託事務の処理について、市町村の執行機関が当該法定受託事務を処理するにあたりよるべき基準を定めることができる。

4) 各大臣は、特に必要があると認めるときは、その所管する法令に係る市町村の執行機関が担任する第一号法定受託事務および第二号法定受託事務の処理について、都道府県の執行機関に対し、都道府県の執行機関が定める処理基準に関し、必要な指示をすることができる。

5) 法定受託事務の処理基準は、一般的基準にとどまらず、個々具体的な事例を対象とすることができ、かつ、個々の都道府県または市町村に対し、訓令または通達の形式で発することもできる。

■解説

1) 正しい。245条の9第2項。

2) 誤り。ここで述べられているような協議は不要である(245条の9第1項)。

3) 誤り。「各大臣は、特に必要があると認めるときは、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る市町村の第一号法定受託事務の処理について、市町村が当該第一号法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準を定めることができる」(245条の9第3項)、が正しい。二号法定受託事務については定めることができない。

4) 誤り。3)と同様に、この場合も一号法定受託事務の処理について指示できるだけであり、二号法定受託事務については指示できない(245条の9第4項)。

5) 誤り。245条の9の解釈として、処理基準を訓令や通達を用いて発することはできないと解されている。