■2003年行政書士試験・行政法

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■情報公開法(2003−8)【条文知識問題】

情報公開法(「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」)は、何人にも「行政文書」の開示請求権を認める(第3条)。開示請求は、開示請求書を行政機関の長に提出してしなければならないが、次に揚げる事項(ア−オ)のうち、同法第4条が開示請求書の記載事項として要求しているものは、いくつあるか。

ア) 開示請求をする者の氏名または名称および住所または居所ならびに法人その他の団体にあっては代表者の氏名

イ) 開示請求をする者の本人性を証する書類

ウ) 行政文書の名称その他の開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項

エ) 当該行政文書の開示を請求する理由

オ) 開示請求に対して決定がなされるべき期限

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】普通。単純な条文知識問題だが、少し細かい知識を問うていること及び個数問題であることを考慮すると、本問は受験生にはやや手ごわい問題であったであろう。

情報公開法4条が開示請求書の記載事項として要求しているのは、 ア(1項1号)、ウ(1項2号)の2つである。よって正解は2)となる。

■行政上の法律関係(2003−9)【判例問題】

行政に関する公法と私法の関係についての次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らして妥当なものはどれか。

1) 食品衛生法の許可を得ないで取引をなした場合においては、消費者保護の法理により、その取引に関する売買契約は私法上無効であり、買主は代金の返金を要求することができる。

2) 公営住宅に入居するにあたって、入居者は地方公共団体から使用許可を受けなければならず、入居者と地方公共団体の間には公営住宅法ならびに関係条例が適用されるから、借家法は適用される余地は無い。

3) 防火地域内にある耐火構造の建築物の外壁を隣地境界線に接して設けることができるとしている建築基準法第65条の規定は、相隣関係に関する民法第234条の規定の特則として、民法の規定の適用を排除するものである。

4) 道路を利用する利益は反射的利益であり、建築基準法に基づいて道路位置の指定がなされている私道の敷地所有者に対し、通行妨害行為の排除を求める人格的権利を認めることはできない。

5) 公営住宅の使用関係は基本的に私人間の家屋賃貸借関係と異なるところはないから、公営住宅の入居者が死亡した場合には、その相続人は当該公営住宅を使用する権利を原則として継承する。

■解説

【難易度】やや難しい。公務員試験ではおなじみの問題であるが、行政書士試験受験をきっかけに初めて法律学を勉強したという人にとっては、本問は難問であったと思う。

本問は要するに、どのような法律関係において、私法の適用が排除され行政法が適用されるのか、それとも私法法規が適用されるかを問うものである。

1) 誤り。許可を要する行為を許可なくして行った場合、その行為を規制する法律が取締法規であれば違法行為を無効とせず、強行法規であれば違法行為を無効とするのが判例である(最判昭和35年3月18日)。判例は、この事案で問題となった食品衛生法21条を取締法規としている。塩野宏『行政法T』第5版(有斐閣、2009年)42、37頁参照、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)33頁。

2) 誤り。判例は、公営住宅関係における公営住宅法及び関係条例の優先的適用を肯定するが、民法や借地法(借地借家法)の適用を排除しているわけではない(最判昭和59年12月13日)。前掲櫻井他30頁。

3) 正しい。最判平成1年9月19日である。前掲櫻井他30頁。

4) 誤り。妨害排除請求権の行使も認められる。最判昭和39年1月16日。

5) 誤り。権利の承継を認めないのが判例である。最判平成2年10月18日。

■国家賠償法(2003−10)【判例問題】

国家賠償法についての次の記述のうち、判例に照らして妥当なものはどれか。

1)国家賠償法第1条の責任は、公務員の違法な公権力の行使があった場合について国・公共団体が代位する責任であることから、違法な公権力の行使がなされたとしても、その公権力の行使者たる公務員が特定されない場合には、国家賠償責任が成立することはない。

2) 国家賠償法は国・公共団体の不法行為責任にかかる一般法であることから、国公立病院の医療過誤に関する責任も、民法第709条以下の不法行為責任に関する法理は適用されることなく、国家賠償法第1条が適用される。

3) 国家賠償法は、国・公共団体の個別・具体的な公権力の行使に関する賠償責任であるから、執行権としての行政機関の行為が対象となる。これに対して、議会の立法は抽象的な法規範を定めるものであり、個別具体的に個人の権利を侵害するものではないので、そもそも国家賠償法に基づく賠償責任の対象とはならない。

4) 国家賠償の責任は、公務員の違法な公権力の行使についての制度であることから、行為者は国家公務員法もしくは地方公務員法上の常勤の公務員であることを要する。これに対し、一時的な公務を行う非常勤公務員の行為に起因する損害は、民法の不法行為責任の対象となり、国家賠償責任の対象外である。

5) 非番の警察官が、管轄区域外で犯罪を行った場合でも、それが職務執行に名を借りて行ったものである以上、当該警察官の行為は国家賠償法第1条にいう「職務を行う」につきなされた違法な公権力の行使であり、当該警察官の所属する地方公共団体が賠償責任を負う。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。一般に国家賠償法1条の責任の理解につき、自己責任説は、加害公務員の特定を「不要」とする。一方代位責任説は、国、地方自治体が公務員個人の責任を肩代わりするという立場を取るので、国家賠償請求には、加害公務員の特定を「必要」とするのが筋であるが、代位責任説を前提としても、加害公務員の特定を不要と解することもできる(東京地判昭和39年6月19日、最判昭和57年4月1日)。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)323頁、前掲櫻井他363−364頁。

2) 誤り。国公立病院における医療過誤責任については、国家賠償法を適用するのではなく、実務上民事の不法行為や債務不履行により処理されている。前掲塩野329頁注1。

3) 誤り。国家賠償法1条にいう「公権力の行使」には、立法作用も含まれる。前掲塩野328頁、櫻井他374−375頁。頻出の肢である。

4) 誤り。国家賠償法1条にいう「公務員」とは、公権力の行使を委ねられた者を指す。つまり公権力の行使を委ねられた者が、公権力を行使する際損害を発生させれば−常勤であろうが非常勤の公務員であるか関係なく−、国家賠償法の対象となる。前掲塩野322頁、櫻井他366頁。

5) 正しい。最判昭和31年11月30日。前掲塩野350頁、櫻井他367頁。

■行政事件訴訟法(2003−11)【条文知識問題】

訴訟を提起することができる期間が法律によって定められている場合、それを「出訴期間」という。行政庁の処分をめぐる各訴訟とその出訴期間の原則に関するア)−オ)の記述のうち、正しいものはいくつあるか(法改正のため記述を改めた)。

ア) 行政事件訴訟法によると、無効等確認訴訟の出訴期間は、処分があったことを知った日から6か月以内である。

イ) 行政事件訴訟法によると、取消訴訟の出訴期間は、処分があったことを知った日から6か月以内である。

ウ) 国家賠償法によると、国家賠償請求訴訟の出訴期間は、原因となる行為のあったことを知った日から3か月以内である。

エ) 行政事件訴訟法によると、不作為の違法確認訴訟の出訴期間は、申請をした日から3か月以内である。

オ) 行政事件訴訟法によると、義務づけ訴訟の出訴期間は、申請をした日から3か月以内である。

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】普通。

ア) 誤り。「無効」の行政行為には、出訴期間の制限はない。行政事件訴訟法38条。

イ) 正しい。14条1項本文。

ウ) 誤り。国家賠償法には出訴期間に関する条文は存在しない。国家賠償請求訴訟の出訴期間(時効期間)は、国家賠償法4条により民法724条が適用される。前掲塩野376頁。

エ) 誤り。「不作為の違法確認訴訟」には、出訴期間の制限がない。行政事件訴訟法38条4項参照。

オ) 誤り。義務付け訴訟、義務付けの訴えについては、出訴期間の制限はないが、取消訴訟と併合する場合(37条の3第3項2号参照)においては、取消訴訟の出訴期間に従うことになろう。

■行政手続法・行政不服審査法(2003−12)【条文知識問題】

次の手続的権利には、行政手続法に定められているものと行政不服審査法に定められているものとがある。そのうち、両法に定められているものは、いくつあるか。

ア) 関係職員への質問

イ) 反論書の提出

ウ) 証拠書類等の提出

エ) 物件の提出要求の申立て

オ) 検証の申立てと立会い

1) 1つ 
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】難しい。個数問題かつ複合問題であり、難易度が高かったと思われる。

ア) 行政手続法20条2項。

イ) 行政不服審査法30条。

ウ) 行政手続法20条2項、行政不服審査法32条。

エ) 行政不服審査法33条。

オ) 行政不服審査法35条。よって正解は1)の1つとなろう。

■行政手続法・地方自治法(2003−13)

行政手続法が施行された時点(平成6年10月1日)では、同法と地方自治法の関係は希薄であった。ところが、いわゆる地方分権一括法(「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」)により改正された新地方自治法(平成12年4月1日施行)には、第245条以下に、行政手続法と極めて似かよった規定がいくつか置かれることになった。 次のア)−オ)のうち、行政手続法と地方自治法が共通して定めを設けている事項は、いくつあるか。

ア) 申請拒否処分の際の理由の提示

イ) 許認可に際しての標準処理期間の作成・公表

ウ) 許認可の取消しに先立つ聴聞の実施

エ) 許認可の取消しに際しての書面主義

オ) 届出に関する到達主義

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】難しい。

ア) 共通した定めがある。行政手続法8条と地方自治法250条の4が共通した定めを有している。

イ) 共通した定めがある。行政手続法6条と地方自治法250条の3が共通した定めを有している。

ウ) 共通した定めはない。行政手続法13条に対応する地方自治法の条文はない。

エ) 共通した定めはない。行政手続法上の許認可の取消(不利益処分)を書面でする際は、書面で理由を示すことになるが(行政手続法14条3項)、地方自治法250条の4は書面の交付を必ず行うことを要求している。

オ) 共通した定めがある。行政手続法37条と地方自治法250条の5が共通した定めを有している。

よって正解はア)、イ)、オ)の3)3つとなろうか。以上につき塩野宏『行政法V』第2版(2001年、有斐閣)184頁参照。

■行政手続法(2003−14)【条文知識問題】

次の記述のうち、行政手続法上正しいものはどれか。

1) 聴聞の主宰者は、弁明または聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者および参考人の陳述の要旨を明らかにしなければならない。

2) 聴聞の主宰者は、聴聞の期日における審理が行われた場合には各期日毎に聴聞調書を作成しなければならない。但し、当該審理が行われなかった場合には、聴聞の終結後速やかに作成しなければならない。

3) 聴聞の主宰者は、聴聞の期日毎に、前回作成した聴聞調書を当事者または参考人に示し、その内容に異議がないかどうか確認しなければならない。当事者または参考人は、聴聞調書の内容に異議があるときは、直ちに行政庁に対し異議申立てすることができる。

4) 聴聞の主宰者は、聴聞の終結後速やかに、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した聴聞裁定書を作成し、聴聞調書とともに行政庁に提出しなければならない。

5) 当事者または参考人は、行政庁の許可を得て、聴聞裁定書の閲覧を請求することができる。

■解説

【難易度】やや難しい。やや細かい知識が問われている。

1) 誤り。聴聞の主宰者は、「聴聞の審理」の経過を記載した調書を作成し、が正しい(行政手続法24条1項)。

2) 正しい。24条2項。

3) 誤り。このような規定は行政手続法にはないと思われる。なお、27条参照。

4) 誤り。この場合作成するのは聴聞の報告書であり、聴聞の主宰者は、この報告書と聴聞調書を行政庁に提出しなかればならない(24条3項)。

5) 誤り。閲覧請求できるのは、24条1項の聴聞調書と3項の報告書である。またこれらの閲覧には行政庁の許可は不要である。

■行政不服審査法(2003−15)【条文知識問題】

行政不服審査法による審査請求をめぐる次の記述のうち、正しいものはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

1) 審査請求は、行政庁の「処分」に対しては認められているが、行政庁の「不作為」に対しては認められていない。

2) 審査請求は、「国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分」に対しても認められる。

3) 処分につき審査請求をすることができる場合においても、処分の取消しの訴えを直ちに提起してかまわない。

4) 審査請求は、「処分庁に上級行政庁がないとき」にすることができる。

5) 再審査請求は、法律に「再審査請求をすることができる」旨の定めがなくても、審査請求が認められていれば、当該審査請求の裁決に不服がある場合、当然にすることができる。

■解説

【難易度】

1) 誤り。不作為も審査請求の対象となる(行政不服審査法3条)

2) 誤り。「国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分」については、審査請求の除外対象とされている(7条1項1号)。

3) 正しい。行政事件訴訟法8条1項本文。自由選択主義である。

4) 誤り。処分庁に上級行政庁がない場合(4条1号)の他、上級行政庁がある場合でも審査請求をなし得る(4条2−4号)。

5) 誤り。再審査請求をするには、法律に「再審査請求をすることができる」旨の定めがあることを必要とする(6条1項)。なお条例で再審査請求制度を設けることはできない。宇賀克也『行政不服審査法の逐条解説』(2015年、有斐閣)38頁。

■行政不服審査法(2003−15)【条文知識問題】

ア)−オ)の記述のうち、行政不服審査法に照らして誤っているものは、いくつあるか(法改正に伴い記述を改めた)。

ア) 審理員は、申請した利害関係人に、参加人として審査請求に参加することを許可する権限を有する。

イ) 審査請求人は、審理員に、必要と考える参考人の事実陳述を求めるよう申し立てることができる。

ウ) 審査請求人は、審理員に対し、証拠書類といった提出書類等の閲覧を正当な事由があれば求めることができる。

エ) 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書類その他の物件の所持人に対し、相当の期間を定めて、それらの提出を命ずることができる。

オ) 審査請求の審理は書面によるのが原則で、審査請求人に口頭意見陳述の機会を与えるのは、審査請求を審査する審理員が必要と認めた場合である。

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】

ア) 正しい。13条1項。

イ) 正しい。34条。

ウ) 誤り。正当な理由があれば閲覧を求め得るのではなく、閲覧できるのが原則であり(38条1項前段)、例外として審理員は正当な理由があれば閲覧を拒み得るのである(38条1項後段)。

エ) 誤り。「提出を命ずることができる」のではなく「提出を求めることができる」のである(33条前段)。よって提出要求を受けた者に提出義務が生じるのではない。前掲宇賀143頁。

オ) 誤り。「審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者」「に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない」(31条1項本文)のである。なお現在は、旧25条1項本文と異なり審査請求が書面審理主義による旨の明文規定はないが、改正法下でも書面審理主義に変更はない。前掲宇賀136頁。

よって正解は3)の3つとなろう。