■2003年行政書士試験・法令記述式問題

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■憲法(2003−36)【条文知識問題】

次の文章を読み、文中の(A)(漢字1字)として正しいものを記入しなさい。

日本国憲法の英訳(昭和21年11月3日英文官報)によれば、第29条第1項は

The right to own or to hold property is inviolable.

であり、41条は

The diet shall be the highest organ of state power, and shall be the sole law-making organ of the State.

とされている。この両者の日本国憲法正文を比べてみると、(A)という1文字だけが共通していることに気がつく。rightとpowerが日本語の上では同一視されて怪しまれないという事実は、日本人の法観念のありようを示唆しているようにも思われる。

■解説

奇をてらった問題だが、解くにあたり、29条と41条の条文(日本語)を思い出し共通の1語を探すという作業は必要ではない。問題文に、「rightとpowerが同一視されて…」という部分が出てくるが、これを手掛かりにするとよい。

つまり、rightは「『権』利」であり、powerは「『権』力」であるから、「権」がAに入る(ただ正確に言えば、41条のpowerは「国『権』」が正しい訳ではあるが)。 なお2003年行政書士試験憲法・行政法「傾向と対策 ここが出た!」で指摘したとおり、本問は悪問に限りなく近いと評価してよい。このような出題形式を取り、受験生を惑わすのが良いのか悪いのか、考える余地はあろう。

■地方自治法(2003−37)【条文知識問題】

地方自治法の次の諸規定を参考にし、これから推定される新地方自治法において新設された制度(第252条の17の2)について、下記の(A)(B)に該当する語(漢字各2字)を記入し、その名称(条文見出し)を完成させなさい。

旧地方自治法第153条
@略 
A都道府県知事は、その権限に属する事務の一部をその管理に属する行政庁又は市町村長に委任することができる。
B 略

新地方自治法第2条
@〜G 略
H この法律において「法定受託事務」とは、次に掲げる事務をいう。

一 略 
二 法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであつて、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第2号法定受託事務」という。)

新地方自治法第 252条の14

@ 普通地方公共団体は、協議により規約を定め、普通地方公共団体の事務の一部を、他の普通地方公共団体に委託して、当該普通地方公共団体の長又は同種の委員会若しくは委員をして管理し及び執行させることができる。
A 前項の規定により委託した事務を変更し、又はその事務の委託を廃止しようとするときは、関係普通地方公共団体は、同項の例により、協議してこれを行わなければならない。
B 略

(A)による事務処理の(B)

■解説

本問は、条例配分事務(条例による事務処理の委託等)の理解があれば正解に達することは可能と思われるが、難しい問題と評価できよう。正解は(A条例)による事務処理の(B特例)である。参照、兼子仁『新地方自治法』(1999年、岩波新書)208、169頁。

【追記】(2004年1月18日)
試験センターはこの問題について、「特例」以外にも「委託」「委任」でも正解としている。

■行政不服審査法(2003−38)【条文知識問題】

次に示す条文(行政不服審査法第1条第1項)中の(A)(漢字4字)、(B)(漢字2字)に該当する正しい語を記入しなさい(法改正に伴い記述を改めた)。

「この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の(A)の救済を図るとともに、行政の(B)な運営を確保することを目的とする」。

■解説

A) 権利利益、B) 適正、が答えである。

■行政書士法(2003−39)

■解説

現在行政書士法は試験科目ではないため、問題文の掲載、解説を省きます。

■民法(2003−40)【判例知識問題】

次の記述中の(ア)(漢字6字)、(イ)(漢字3字)に、適当な語句を記入しなさい。

最高裁判所は、「A所有の甲土地をAがBに譲渡したが、B名義の所有権移転の登記が行われていない状況で、当該甲土地をAがCに譲渡しC名義の所有権移転登記を経由していても、Cが(ア)である場合には、BはCに所有権者であることを登記なしに対抗することができる。しかし、当該甲土地をCがDに譲渡しD名義の所有権移転登記が行われた場合、Bは、Dが(ア)でない限り、Dに対しては所有権者であることを登記なしには対抗できない」という見解に立っている。上記の最高裁判所の見解は、転得者であるDとの関係では、(ア)であるCにも、Aから(イ)が移転しているとの考えを前提としたものといえる。

■解説

物権変動における二重譲渡、背信的悪意者及びそれからの転得者に関する問題である。

自己の不動産物権変動を第三者に対抗するには、登記の具備が必要だが(民法177条)、逆に言えば177条にいう第三者に該当しない「第三者」に対しては、登記を経ずとも物権変動を対抗し得る。つまり、当事者以外の者であれば、全て177条にいう第三者に該当するわけではない(制限説〔大連判明治45年12月15日〕、通説)。内田貴『民法T』第2版(1999年、東大出版会)430頁。

ア) 背信的悪意者。上記大審院明治45年判決は、登記の欠缺を主唱するにつき正当な利益を有する者を177条に言う第三者としたが、昭和40年代以降、背信的悪意者は177条の第三者ではないという判例理論が固まった。つまり背信的悪意者は、登記の欠缺を主唱するにつき正当な利益を有しない、ということになる。
よってCが背信的悪意者であれば、Bは登記なくして自己の物権をCに対抗することができる。

イ) 所有権。背信的悪意者からの転得者との関係が問題となる。A−C(背信的悪意者)間の売買は−公序良俗違反なら別−、有効なものとして扱われる。よってCはDへの(イ所有権)移転が可能なので、BがDに対し物権変動を対抗するには登記を要する。いうことになる。前掲内田435−436頁。