■2002年行政書士試験・行政法

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■情報公開法(2002−8)【条文知識問題】

情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)が定める「情報公開審査会」に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 情報公開審査会は、総務省に置かれる。

2) 情報公開審査会は単なる諮問機関ではなく、自ら開示・不開示の決定をなす権限を有する機関である。

3) 情報公開審査会には、いわゆるインカメラ審理の権限は認められていない。

4) 情報公開審査会の委員は、優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。

5) 情報公開審査会は、全国に8つの支部(地方支分部局)を有している。

■解説

【難易度】普通。なお情報公開審査会は平成15年改正により廃止され、現在は情報公開・個人情報保護審査会設置法に基づく「情報公開・個人情報保護審査会」になっている(情報公開法附則〔平成15年〕2条参照)。

1) 誤り。設置されるのは「内閣府」である(情報公開・個人情報保護審査会設置法2条)。

2) 誤り。情報の開示不開示決定は、情報公開・個人情報保護審査会の答申を受けた審査庁、処分庁が行う(情報公開・個人情報保護審査会は諮問機関である)。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)343頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)224−225頁。

3) 誤り。インカメラ審理(「審査会が、諮問庁に対して、不開示等とされた行政文書を提出させて、現物を直接見分した上で審議する」こと。前掲櫻井他224−225頁)は認められている。9条1項後段。

4) 正しい。4条1項。

5) 誤り。情報公開審査会に地方支分部局はない。

■行政強制(2002−9)【理論問題】

行政処分により課された義務を履行しない者に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 義務不履行者には刑事罰が科されることが原則であり、罰則の間接強制により行政処分の実効性が確保される。

2) 義務不履行者には、執行罰としての過料が課されることとなっており、金銭的な負担を通じて行政処分の実効性が確保されることが原則である。

3) 義務不履行者に対しては、行政機関の職員による行政強制を通じて、義務を履行させることが原則である。

4) 義務不履行者に対しては、行政強制、罰則の間接強制などによる実効性の確保が図られるが、統一的な仕組みが設けられているわけではない。

5) 義務不履行者に対し義務履行を確保するためには、行政機関は裁判所に出訴して司法的執行に委ねなければならない。

■解説

【難易度】普通。行政強制に関する俯瞰問題である。

1) 妥当ではない。肢の趣旨が少々不分明である。「刑事罰が科されることが原則であり、(この)罰則の間接強制により…」と読ませたいのであろうか。間接強制(執行罰)は、刑事罰を科すものではなく、「義務の不履行に対して、一定額の過料を課すことを通告して間接的に義務の履行を促し、なお義務を履行しないときに、これを強制的に徴収する」制度である。前掲塩野237頁、。

2) 妥当ではない。現行法上執行罰は、砂防法36条においてのみ認められているに過ぎず、義務履行確保手段の「原則」形態とは到底言えない。前掲塩野237頁、櫻井他177頁。

3) 妥当ではない。肢の趣旨が少々不分明である。行政上の義務不履行については、司法的執行(刑事罰)が戦後増えてきており、行政強制といった行政的執行モデルが原則とは言い難い。前掲塩野221頁以下、249頁参照。「直接強制は個別法でとくに認められた場合のみ認められ」、代執行は「きわめて例外的な状況でしか実施されない」(前掲櫻井他166頁)のが現状である。

4) 妥当である。前掲塩野222−223頁参照。

5) 妥当でない。行政庁は、自力執行力のついた行政行為については、裁判所から債務名義を得ることなく、義務の実現を自分の力でなしうる。前掲塩野154頁、櫻井他91頁。

■国家賠償法(2002−10)【理論問題】

国または公共団体が、国家賠償法に基づいて被害者に賠償金を支払った後の求償関係についての記述として、妥当なものはどれか。

1) 国または公共団体は、加害行為を行った公務員に対し、その加害行為が軽過失による場合であっても、求償することができる。

2) 国または公共団体の加害行為を行った公務員に対する求償権については、不法行為に基づく損害賠償請求権の消減時効期間は適用されない。

3) 国または公共団体は、加害行為を行った公務員に対して求償することが認められていることから、職務上の義務違反を理由とする懲戒処分を行うことはできない。

4) 国または公共団体が加害行為を行った公務員に対して求償する場合、被害者に支払った損害賠償額全額、支払日以降の法定利息および弁護士費用を請求できる。

5) 国または公共団体が、被害者との間の和解に基づいて損害賠償金を支払ったときは、加害行為を行った公務員に対しては求償できない。

■解説

【難易度】難しい。

1) 妥当でない。求償権が発生するのは、加害公務員が加害行為を故意又は重過失で行った場合である(国家賠償法1条2項)。

2) 妥当である。求償権は損害賠償請求権と異なるので、民法724条は適用されない。では求償権の時効消滅期間は何年かというと、「会計法30条」「地方自治法236条」の5年か(国家賠償法5条参照)「民法167条」(国家賠償法4条参照)の10年という両者が考えられる。この点、求償権の行使は故意又は重過失の行為を前提とするという極めて例外的な場合であるため、10年で構わないと解されている。

3) 妥当でない。不法行為は、職務上の義務違反(国家公務員法82条1項2号、地方公務員法29条1項2号)をも構成するから、加害行為を行った公務員は、不法行為から生ずる求償義務ばかりでなく、身分法上の責任も負わねばならない。

4) 妥当ではない。求償権は損害賠償請求権と異なるので、弁護士費用を当然に請求できるわけではない。

5) 妥当ではない。損害賠償をしている以上求償の要件を満たせば求償可能である。

■行政手続法(2002−12)【条文知識問題】

行政手続法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか(本試験後の改正により誤りの肢が2つある)。

1) 行政手続法は、いわゆる情報公開法に先んじて施行された。

2) 行政手続法の条文総数は、38ヵ条である。

3) 行政手続法は、その第1条(目的)で行政運営における公正・透明の原則と並んで、説明責任(アカウンタビリティ)を明示している。

4) 行政手続法が規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる。

5) 地方公共団体は、行政手続法第3条第2項において同法の規定を適用しないこととされた手続について、同法の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

■解説

【難易度】易しい。ただ1)、2)は珍問に近く、今後出題はないように思われる。

1) 正しい。行政手続法の施行は平成6年であり、情報公開法の施行は平成13年である。

2) 誤り。本試験時は正解であったが、今現在は法改正により意見公募手続についての章が加えられたため、条文総数は46条になっている。

3) 誤り。アカウンタビリティは情報公開法1条において定められている。

4) 正しい。行政手続法1条2項。

5) 正しい。46条。よって行政手続条例などの制定が相次いでいるのである。

■行政手続法(2002−13)【条文知識問題】

次のうち、行政手続法の規律の対象となっていない手続は、いくつあるか。

ア) 命令制定手続
イ) 申請に対する処分手続
ウ) 計画策定手続
エ) 行政指導手続
オ) 届出手統

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】易しい。これを本試験で落とすようであれば、合格は厳しいものとなろう。

イ)は5条以下、エ)は32条以下、オ)は37条に規定されている。出題当時の正解は、ア)、ウ)の2つであったが、05年の改正でア)命令制定手続(38条以下)についても規定が設けられたので、現在では正解はウ)の1つとなる。

■行政手続法(2002−14)【条文知識問題】

次のうち、行政手続法上、聴聞を経る処分の手続には認められても、弁明の機会の付与を経る処分の手統には認められていない手続的保障は、いくつあるか。

ア) 予定される不利益処分の内容等の通知
イ) 処分基準の設定
ウ) 不利益処分の理由の提示
エ) 参加人の関与
オ) 文書閲覧権

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】難しい。対比問題は、どの科目でもよく出題され得るものであり、今後も出題される可能性が高い。また対比問題は結構受験生を悩ませるものであるので、十分注意しておいてほしい。

ア) 聴聞手続については15条1項1号、弁明の機会については30条1号。

イ) これは不利益処分の「通則」(12条)に規定されている以上、通則規定は、各則にある聴聞、弁明の機会両手続に共通して認められると解されよう。なお不利益処分の処分基準の設定及びその公表は、両者共に努力義務である。

ウ) これもイ)と同じく通則にあるので(14条1項本文)、両手続に共通して適用されよう。

エ) 聴聞手続については17条、弁明の機会については準用がない(31条参照)。

オ) 聴聞手続については18条1項、弁明の機会については準用がない(31条参照)。

よって正解は、エ)とオ)の2つであり、正解は2)となる。

■行政不服審査法(2002−15)【条文知識問題】

行政不服審査法に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 「不服申立て」に関する法律の定めは、行政不服審査法しか存在していない。

2) 行政不服審査法は、「行政庁の違法な処分その他公権力の行使に当たる行為」に限り不服申立てのみちを開いている。

3) 行政不服審査法にいう「処分」には、「公権力の行使に当たる事実上の行為で、人の収容、物の留置その他その内容が継続的性質を有するもの」が含まれる。

4) 行政不服審査法にいう「処分」には、「不作為」も含まれる。

5) 行政不服審査法は、列記主義を採用している。

■解説

【難易度】

1) 誤り。行政不服審査法は、それ以外の法律における不服申立手続の存在を認めている(行政不服審査法1条2項)。

2) 誤り。行政不服審査においては、行政訴訟と異なり、違法な処分に加え不当な処分についても審査することができる(1条1項)。

3) 正しい。本肢の根拠であった旧2条1項は削除されたが、新法の下でも行政不服審査法の「処分」(1条1項)概念に継続的な権力的事実行為は含まれると解されている。改正法から継続的事実行為に関する規定が削除されたのは、継続的事実行為が処分に含まれるということに異論がなく、規定を置く実益に乏しいとの理由からである。宇賀克也『行政不服審査法の逐条解説』(2015年、有斐閣)12頁。

4) 誤り。行政不服審査法は、不作為についても不服申立の対象としているが(3条)、処分概念と不作為概念を別物として扱っている(2、3条参照)。

5) 誤り。列記主義を採用したのは訴願法であり、行政不服審査法は一般概括主義を採用している。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)22−23頁、前掲櫻井他232−233頁。

■行政不服審査法(2002−16)【条文知識問題】

次のうち、行政不服審査法が明文で要求する審査請求書の記載事項ではないものは、どれか(法改正に伴い記述を改めた)。

1) 審査講求人の氏名又は名称及び住所又は居所

2) 審査請求に係る処分の内容

3) 審査請求に係る処分がなされた年月日

4) 審査請求の趣旨および理由

5) 審査請求人が代理人によって審査講求をする場合の代理人の氏名及び住所又は居所

■解説

【難易度】

1) 記載事項である。19条2項1号。

2) 記載事項である。19条2項2号。

3) 記載事項ではない。よってこれが正解である。記載が必要なのは「処分がなされた年月日ではなく」、「処分があったことを知った年月日」(19条2項3号)である。

4) 記載事項である。19条2項4号。

5) 記載事項である。19条4項。