■2001年行政書士試験・基礎法学1

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■罪刑法定主義(2001−1)【理論問題】

「法律なければ刑罰なし」という法的格言の今日的意味を表す記述として、正しいものはどれか。

1) 国民の行為を禁ずる法律が少なければ、国民の犯罪処罰も少なくてすむ。

2) 法律はそれを免れる新たな犯罪を生み出すので、法律があるため、かえって犯罪処罰が多くなりやすい。

3) 人の行為自体に社会的・反社会的の別はなく、禁止する法律があってはじめて人の行為が犯罪となり、刑罰を科されることにもなる。

4) 犯罪かどうかは法律以前に社会的に決まっているが、法律の罰則がないと刑罰を科することができない。

5) 犯罪と刑罰は、議会が定めた法規によってあらかじめはっきり規定しておかなければ法的に成立しない。

■解説

【難易度】普通。

法律なければ犯罪はなく、法律なければ刑罰なしという原則を「罪刑法定主義」(憲法31条)と呼ぶ(大塚仁『刑法概説総論』第3版〔1997年、有斐閣〕56頁以下)。

なお憲法31条は、文言上適正「手続」(科刑「手続」)の保障のみを定めたようにも解されるが、罪刑の法定という実体(法)的側面の保障をも含むと解されている点には注意。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)235−236頁。

1) 誤り。確かに処罰規定をもつ法律が少なければ少ないほど、国民は処罰されることが少なくなるが、これは罪刑法定主義の内容とは直接関係がない。

2) 誤り。「法律(処罰規定)の存在が犯罪の増加を招く」とも読み取れる肢だが、この論旨の正誤はともかく、これは罪刑法定主義の内容とは直接関係がない。

3) 誤り。後半部分は罪刑法定主義の内容と合致する。しかし人の行為に社会的、反社会的の区別はないとする点は誤りである。例えば殺人行為は、法律がなくとも悪い行為として反社会的と解されるのである(自然犯)。前掲大塚91頁以下参照。

4) 誤り。「法律の罰則が」以降の部分は正しい。しかし、先ほどの自然犯とは異なり、元々社会的な行為としては犯罪とまでは言えないのだが、その行為についてあえて法律で刑罰をもって禁止するという犯罪類型(法定犯)もある。前掲大塚91頁参照。

5) 正しい。犯罪と刑罰は議会の成文法により明確に定められねばならないのである。